頭降
「お前はまた赤点か!?ほかの奴らを見てみろ。お前みたいに何回も赤点取ってる奴いねぇぞ!」
と、学生の田中は怒られていた。クスクスと笑う声が周りから聞こえる。惨めな気持ち、怒り、そして反発心が、心の底から湧いてくる。
(どいつもこいつも、人の言葉かにしやがって。馬鹿にする人間は、人間じゃねぇ。人にあるべき 心の何処かが欠落してるんだ。気にすることは無い。)
そう自分に言い聞かせ、田中はそそくさと席に座った。
「お前、また赤点だったのか?」
隣の席の山田だ。クソ、クソ、馬鹿にしやがって。田中は無視を決め込んだ。人間じゃないやつと関わるつもりは、ない。
「どいつもこいつも、人の心が欠落してやがる。」
「まぁまぁ、そんなに言うもんじゃねぇよ。」
帰り道、田中は親友の堀山に愚痴をこぼしながら歩いていた。
「義務教育で道徳をまともにやってこなかったやつらが、社会に出て人間になれると思うなよ!とにかく、人のこと見下してバカにするやつは、人間じゃねぇっつってんだ!」
随分と、歩いた。心の中の鬱憤を晴らしに晴らして、ようやくスッキリしかけたところ。横断歩道まで来た。ふと向こう側に目をやると、見慣れた顔があった。山田だ。いじけた気持ちで睨みを利かせながら、山田のことを見ていた。すると、山田が横にいる年配の方の荷物を持ってその人を助けているのがみえた。
空が陰り、雨が振ってきた。田中は、濡れないように下を向きながら歩くしかなかった。
人のことを馬鹿にする奴は…。
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