果てに
今回の短編集が、私の初めての掌編でした。非常に楽しかったので、次も新しい掌編集書こうと思います。
ディーは地獄に落ちた。見渡す限り荒れた荒野で、空は赤い。そこに引いてあった一本の道路の上にディーは立っていた。さっき死んだんだよな、とあまり実感がなかったが、道なりに歩いて行くことにした。
歩いていくと、前から悪魔が歩いてきた。
「おお、お前も地獄に落ちたのか。」
さらに歩くと、より多くの悪魔が歩いてきた。
歩いて歩いて、歩いた果てには閻魔が椅子に座っていた。
「おぉ、来たな人間。いや、今は悪魔と言うべきか?」
「え?」
ディーは少し困惑したが、自分の体に目をやってすぐに気づいた。自分の体が悪魔に変貌してしまっていた。
「ほう、あまり驚かないんじゃな。」
生前した所業から、地獄へ行く覚悟はしていた。
「あぁ。もう覚悟はできていた。どんな罰でも受ける。」
すると閻魔は大きく笑い、ディーに向かって話した。
「ブハッハッハ!!面白いことを言うわい。じゃが心配せずともよい。おぬしは再び人間として現世に戻れるぞ。」
ディーは困惑した。想像していた地獄と違うかったからだ。
「どういうことだ?俺が想像していた地獄と違う。」
閻魔はその質問に答えた。
「人間の中身は二つに分けられる。善と悪じゃ。善の心は天国へ。悪の心は地獄へ行き、再び交じり合い新たな生命として世界に生まれるのじゃよ。」
初めて知った世の摂理に、ディーは驚いた。
「じゃから、ほれ。早く行かんか。この先の道に行けば、お主は再び生を受けられる。…ん?」
閻魔は手元にあった資料を見、一瞬沈黙した。そして今度は先ほどより大きな声で馬鹿笑いし始めた。
「バッハッハッハ!愉快愉快!お主、現世でも人間ではなく悪魔だったようじゃな。天国に行っておるお主の魂の片割れが見つからぬわ!」
そして、嬉々として椅子から飛び降りた。
「ほれ。次はおぬしの番じゃ。」
閻魔の意図に気づいた途端、初めてディーの顔が恐怖に歪んだ。顔面が蒼白になり、手が震えた。
閻魔の椅子に半ば無理やり座らせられたあと、続々と悪魔が前から歩いてきた。数は数え切れぬほど多く。
それからディーは、自ら手にかけた80億人の悪魔を裁かなければならなかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。もし誤字脱字や設定の矛盾、不備等あれば、教えていただけるとありがたいです。




