1 どうして「NISA貧乏」が起きているのか?
◇老後不安と早く積み立てる「意義」
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は生活費や交際費を削ってまで積み立てを優先する「NISA貧乏」について考えていこうと思います。
SMBCコンシューマーファイナンスの調査によると、20代の月々の平均投資額は新NISA開始直前の23年に2万3589円だったものが、25年には2万9678円と、6000円以上伸び、月のお小遣いは3万7096円から3万2159円に減少、趣味や遊びへの支出は1万9027円から1万6596円まで減少したというデータがあります。
(両方削った分よりは投資できていないのも問題な気もしますけどね……)
質問者:
NISAと言えば筆者さんも推奨する非課税の投資制度ですけど、そこまでして積み立てる背景にはどのようなことがあるんでしょうか……。
筆者:
長期的に見れば右肩上がりで上昇している株式相場なので、
ようは「早めに積み立てて利益を多く得たい」という方が多いのです。
質問者:
筆者:
僕が思うに、「何かがしたいからお金を貯めている」ということよりも「老後にひもじい思いをしたくない」という方が非常に多いものと思われます。
実際にNISAを貯めてやりたいこと1位は「老後資金(56.8%)」という状況ですからね。
30代以下の約75%が公的年金に期待していないというデータもあるので老後不安を解消する目的でやっている若い方が非常に多いのだと思います。
質問者:
筆者さんが以前NISAについて語られた際には「インフレに負けないため」というお話をされていましたがそういうことも影響しているんですか?
筆者:
その要素も非常に大きいです。
年率2%のインフレが10年続くと今の100万円の価値は約82万円、20年続くと約67万円、30年続くと、約55万円相当の価値までそれぞれ目減りします。
預金利息なんて微々たるものですから預金に預けることよりはNISAにつぎ込んだ方が非常に合理的と言えます。
◇「年金だけでは駄目だ」という感覚が広がっている
質問者:
でも私の聞いた話では「老後2000万円問題」という金額が最近(2024年のデータ)では「1238万円に減っている」という話もあるんですがいったいどういう事なんですか? そんなに貯めなくても大丈夫なんですか?
筆者:
勿論出費する金額が違うという前提ではありますが、2024年の調査によると、毎月の赤字は「約3.4万円」ということで、30年そこから暮らすための金額として2017年の調査からは2万円近く減っているようなので、1238万円で問題ないという試算のようです。
ところが、これには「絶対条件」がありまして「リタイア後に働いている方が増えている」ために赤字額そのものが減っているんです。
貯金が必要無くなったというわけでは無く、「もっと長く働かなくてはいけない」ということで実は更なる「老後不安が深まった」高齢者の方が多いことを意味しているんです。
質問者:
なるほど、リタイア後に働けば現役世代の貯金額は少なくて済む……つまり、リタイア後に働きたくなければより貯めなくてはいけないという事なんですか……。
筆者:
今後インフレが進むことはほぼ間違いない上に、誰も年金に期待していないのでその状況は不可逆的だと思います。
そして年取ってまで働きたくない! と多くの方が考えるはずですからね。
そうなると、NISAに全力する方が出てきても不思議では無いと思います。
◇「今」を失ってまで株式投資をするものではない
質問者:
どうしても投資をしたいという気持ちは分かったのですが、
話を戻しますけど、それにしたって生活資金を減らしてまでやることなのでしょうか?
「NISA貧乏」みたいな状況になるほど積み立てをするべきなのでしょうか……。
筆者:
そもそもの話として「豊かさ」というのは生活費や交際費の金額の総額で決まるものでは無いと僕は考えます。
これらの金額が下がっている若者が多いことを嘆いているために「NISA貧乏」という用語が出来ているのだと思いますが、健康状態の悪化や「人生の満足度」が下がっていない限りにおいては問題ないと思います。
つまり、節約生活をした上で「満足できて将来不安も無くなれば一挙両得」という状況ですからね。
生活効率がそれだけ上がっているという見方も出来ますしね。
また「生活費や交際費をかけなけばいけない」みたいな価値観を押し付けるのもどうなのかな? とも思います。
しかし、健康状態の悪化や満足度が下がっている状況で将来のために積み立て――そういう状況の方が多いのであれば非常に危険だと思います。
質問者:
筆者:
NISA利用経験者のうち「NISAを利用して良かった」と思う人は81.5%に達し、そのうち661.3%が「資産が増えた」と実感していることが㈱ベター・プレイスのアンケートで分かっています。
ただ、新NISA制度が始まってから2年間、株式相場は右肩上がりであるから満足しているのであって、
これが短期の視点で下落傾向に入ったならば分からないと思います。
特に現状でもホルムズ海峡されるかどうかで株式相場が乱高下している状況ですから不透明感は非常に強いと思います。
そういう下がっている状況であれば「同じ金額で多く買える」というマインドで積み立てて欲しいところなんですけどね。
質問者:
確かに含み損を抱えている状況だと怖いですし、精神上も良くないでしょうね……。
筆者:
これは月々の収入と出費の金額によると思うのであくまでも参考程度にご覧くださいね。
明治安田生命の月収手取り20万円の方を参考にした試算によりますと、 https://x.gd/Xuicr
家賃や食費など生活の基盤に必要な費用に12万円(6割~7割)、
交際費、教育、被服費に4万円(2割)
現金貯金2万円(1割)
NISA2万円(1割)
と言った形で1割ほどを現金で残し、1割ほどNISAに投資することがベストであるとしています。
若い方はこうした出費を見直しを極めて投資に勤しんでいるという事だと思います。
というのも、家電製品などが突如として壊れた際に、クレジットカードなどで支払うにしても、手持ちの現金・預金がゼロだと流石に不安であることがあるからです。
質問者:
確かに預金がゼロだと2か月後のクレジットカード決済で窮することはありそうですからね……。
筆者:
余裕を持たせる意味でも上記の記事では毎月の現預金積みたての他に「生活防衛資金」として3ケ月から6ケ月(上記の例だと36万~72万)ほどの資金を現預金で持っておく必要性を説いています。
それだけの金額があれば、すべての電化製品が同時に壊れるなどと言った事が起きても資金ショートになることはそうそうないと思います。
逆を言えば生活防衛資金を削ってまで投資をすることや生活防衛資金なしに投資を始めてしまう事は非常に危険であると言えるのです。
※何をどう投資したら良いのかはこちらをご覧ください https://ncode.syosetu.com/n1901li/
質問者:
筆者:
老後資金のために貯めている方が多いという話を最初にしましたが、
基本的に利益が出ている状態であればいつでも決済して良いと思いますよ。
問題は含み損を抱えた際に結婚、子育て、家や車購入と言ったライフイベントが生じた時にどうしたら良いのか? ということだと思います。
その際に長期的に見たら増えると言われても……ということになってしまうのでライフイベントを見据えてインフレに負けない程度の利益が出たらマメに決済することが大事なのかなと思います。
質問者:
確かに株式相場によってライフイベントを避けるような人生になったら問題ですからね……。
筆者:
人生設計において「おひとり様」を見越しているのであればその心配も無さそうではありますけどね。
また上記の設計にはローンの返済や教育費の積み立てなどは全く考慮されていません。返済を考慮すれば、夫婦の合同の家計となったとしても劇的に収入が増えない限りほとんど積み立てることが出来なくなると思われます。
ライフプランに応じて月々積み立てる額を柔軟に変更させることが大事なのかなとも思います。
ネット証券であれば自由に積立金額を設定しなおすことが出来るのでこの点は楽ではあると思いますけどね。
長くなったので次の項目に行きますが、次の項目ではそもそもNISAの構造的な問題について語っていこうと思います。




