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仇討の島  作者: タヌキ
22/25

テスト

 軍曹は自身のデスクにあった電話のダイヤルを回し、海軍の友達へ電話を掛けた。

 一時間後。

 水兵服に身を包んだこれまたくたびれた兵士が、大きな油紙の包みを抱えてやってきた。


「おう、ジョンソン。ご注文の品だぜ」


 軍曹もといジョンソンは、包みを受け取る。


「サインは結構」


 水兵はジェイスへ目を向けると、胸ポケットから四つに折りたたんだ書類を差し出す。


「アンタがテキサスから来たカウボーイか。これ、ウチ(海軍)の憲兵隊のハンコ押してある持ち出し許可証」

「ああ、ありがとう」


 ジェイスが礼を言うと、水兵は彼の肩を叩いて「任務、頑張ってくれよ」と激励した。

 武器庫から出て行く水兵の背中を見送ってから、ジョンソンは自身のデスクの上に広がったマグカップやらスポンジ菓子のゴミを押しのけてスペースを作る。

 そして、そのスペースに包みを置き、油紙を解く。

 中から現れたのは、S&W社製M76短機関銃と9ミリルガー弾を三十六発装填出来る五本の弾倉、そして9ミリルガー弾が五十個詰まった六つの紙箱であった。


「おお……」

「スウェーデンのM/45短機関銃を、S&Wがコピーしたモンだ。だが、コピー元よりも高性能だ。元ネタはM3短機関銃みたくフルオートオンリーだが、こっちはセミオートでの射撃も可能」

「これ、持ってていいのか?」

「持ち出し許可証貰ったろ。友達には、俺の方から礼をしとくから。アンタはしっかり仕事してくれ」


 それを聞き、ジェイスはM76へ手を伸ばそうとするも、不意に手を止めた。


「……俺が貴方にするべき礼は?」


 そうジョンソンへ問うと、彼は一瞬キョトンとしたがすぐにニヤリと笑う。


「ヤクザと一戦交えたら、そん時の話をしてくれや」

「分かった」


 ジェイソンは力強く頷き、ジョンソンと約束した。



 M1912に負い紐を装着してもらって背負い、小脇にM76とその他諸々を包んだ油紙を挟んで、ジェイスは会議室へと戻る。

 物騒な格好で戻ってきた彼を前に、カズミはギョッとした顔をした。


「……凄いですね」


 机の上に銃を置き、ジェイスはカズミに調子を尋ねた。


「動けそうか」


 するとカズミはベットから跳ね起き、右腕で力こぶを作り左手をこぶに被せ、元気いっぱいとジェスチャーしてみせる。


「動けます」


 真剣な表情で言うが、顔はまだ青白い。


「そう言うならいいが、無理だけはするな。まだ出はしないから、ゆっくりしていろ」

「……すいません」


 カズミは詫びたが、ジェイスはまったく気にしていなかった。

 9ミリルガー弾の紙箱を二つ開き、M76の弾倉を二個手に取る。

 ジェイスは弾を弾倉へ装填していく。仕事でも趣味でも銃を扱っている分、手際が良い。

 静かな時間が淡々と流れていく。

 カズミは黙々と作業するジェイスの背中へ、何処か熱っぽい視線を向けていた。

 装填を終えると、ジェイスは弾倉を叩いて中の弾の並びを均す。


「……よし。行けるか、カズミ」

「はい」


 彼女の顔色は先程より良くなっていた。それでも無理は禁物だと念を押し、ジェイスは弾倉とM76、散弾の紙箱を抱え、M1912を背負った。



 昨日ぶりに屋外射撃場へ入る。暑さはまだ堪えるが、少し慣れてきたとジェイスは感じる。

 自分のレーンにM1912を置き、M76と弾倉をカズミのレーンに置く。

 そして、武器庫でジョンソンから聞いた説明をほぼそのまま伝えた。


「構え自体は、グリースガンとほぼ同じだ。反動に慣れるために、最初はセミオートで撃ってみてくれ」

「分かりました」


 十メートル先の的へ狙いを定め、カズミは引き金を絞った。ガバメントのよりも小さい銃声が響く。

 カズミは一瞬、ハッとした顔をする。反動の小ささに驚いているようだ。

 彼女は続けてM76を十発ほど撃った。そして一度銃を下ろし、安全装置を掛ける。

 後ろで見ていたジェイスが的へ向かい、弾痕を確認する。

 弾が当たった穴は的の中心に集まっていた。カズミの拳銃の腕を考えれば、距離と銃床の有無を鑑みればかなりの精度だ。


「どうだ?」

「撃ちやすいです! 四十五口径よりも、よっぽど」

「よし、じゃあ次はフルオートだ」


 ジェイスが射撃範囲から離れたのを確認してから、カズミはセレクターを「FULL」に合わせた。

 連続した銃声と共に二十数の空薬莢が宙を舞う。

 再びジェイスが集弾率を確認する。セミオートに比べればバラけているが、それでもかなり集弾率が高い。


「……これからは、九ミリの時代がくるかもな」


 ジェイスはしみじみと言った。彼は四十五口径こそ使っているが、官給品だからであり信者ではない。そこらへんについては、かなりアッサリとしている。もっとも、彼は好き嫌いを問わず、優れているモノは素直に褒める主義だが。


「ですね。これから、女性兵士も増えるでしょうし、九ミリの方が多く弾を携行出来ますから」


 カズミは声を弾ませ、空になった弾倉を交換する。それから彼女が新しい弾倉を挿し込んだタイミングで、ジェイスもM1912のチューブ弾倉へ散弾を押し込みだした。

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