12:炊き出しの結果・・・・
第三者視点
「「「ううううん!!」」」
豚汁を食にした皆から、歓喜の声が上がる。現在ワタシ達は、炊き出しに使う豚汁の、試食をしている最中である。
「美味しくて具だくさんで・・・・」「その上贅沢な味がして言うことはありません!」
「温まるわね~・・・・」
「美味しい! おかわり!」「ペトラも・・・・!」
こうして好評だった豚汁は、炊き出しの料理に選ばれたのだった。
その三日後炊き出しは行われた。
シスター達や、パトリスがどこからか手伝いも連れて来て、炊き出しのメンバーは総勢30人にも上った。炊き出しのメンバーにも、豚汁が振舞われるとあって、彼らは嬉々として手伝いのメンバーに、加わったのだという。
人気のいまいちな、旧神教の教会で開催される炊き出しとあって、初日は何人来てくれるかという不安もあったが、いざ当日になってみると、多くの人々がその炊き出しに列を作った。
「なんだこのスープ?」「始めて嗅ぐ香りだ?」
最初は初めての豚汁に、困惑していた人々だったが、その豚汁の匂いに吊られて徐々に口を付け始めた。
「うまあああい!」「複雑な味がしてなんとも言えねえ!」
「本当か!」「俺にもくれ!」「俺にもだ!」
「配りますので欲しい人はちゃんと列に並んでください!」
そして大きな鍋に、数人がかりで300食分用意したが、その全てがあっという間に空となった。
ところが数日後、その炊き出しをきっかけに、予期せぬ事態が勃発するのだった。
「我が創世新教にお布施をしないばかりか、異教の施しを受けるとはなにごとか!」
そう憤ったのは、創世新教の司教だった。司教は司祭を束ねる立場の者で、司祭から報告を受けたことで、信者たちに対してそう憤ったのだ。
どうやら創世新教の信者の中に、炊き出しに並んだ者が、多数いたらしいのだ。
「お布施ばっかり要求するくせに、施し1つしねえ創世新教には嫌気がさすぜ!」
「そうだそうだ! 神に仕える者ならそれらしいことをしやがれ!」
「旧神教の方がよっぽどましだぜ!」
「創世新教はあの聖騎士連中とつるんでるって話だったな!」
「そんな宗教つぶしちまええええ!!」
そして信者たちからは、次々と不満の声が上がり、いつしかそれが創世新教教会への暴動へと発展してしまったのだ。
その事態に収拾を付けるため、領主から鎮圧部隊が派遣されるが、それがさらに暴動に火を付けた。今度は日ごろからの重税に、不満を募らせていた領民たちが、領主に対して暴動を起こしたのだ。
「吾輩の騎士団にも、暴動を治めるようにと要請が来ておる・・・・」
バルタザール子爵は、困り果てた表情でそう口にした。領主への暴動の鎮圧であれば、当然騎士団を率いるバルタザール子爵は、暴動鎮圧に乗り出す必要がある。ところが彼の腰は、思いのほか重かった。
それはバルタザール子爵が、領民らが重税により、領主へと向ける不満を理解していたからだ。再三に渡り進言するも、その意見を領主は聞き入れず、事もあろうか税を引き上げる始末である。
聖騎士軍によって疲弊した、シムザスの街の領民が、これをきっかけに、ついに領主への不満を爆発させたのだ。
それはマヤがこのシムザスの街にやってきてから、たった15日目の出来事であった。
マヤ視点~
「吾輩はマヤ殿につくことにする・・・・。マヤ殿の意見はいかに!?」
バルタザール子爵はある日唐突に、そうワタシに尋ねてきた。それは領主から要請が来たであろう翌日のことだった。それはバルタザール子爵の屋敷の台所で、料理の指南をしていた時だった。
「え? なんで平民の子供であるワタシに意見を?」
『それを君が今更口にするのは野暮というものだよ・・・・』
カロンはそう言うが、平民の子供で幼女であるワタシに、そんな意見を聞かれても困るだけだ。
「正直に言うとワタシ・・・・ここの領主も創世新教もあまり好きでないんだよね・・・・」
そんなおり、ついぽろっとそんな意見が、口からこぼれてしまった。ワタシを忌み子と嫌う創世新教も嫌いだし、それを国教だと押し付ける領主も気に入らなかった。
「承知しましたマヤ殿! いやマヤ様!」
「はい?」
「ここより我らは領主に反旗を翻し、領民に味方するものとする!!」
そのワタシの意見が、バルタザール子爵を動かす、きっかけとなってしまったのだ。そして領主はその3日後に、バルタザール子爵の配下の騎士によって捉えられた。
「マヤ様!! 領民を苦しめた極悪な元領主でございます!!」
「ぶき!!」
そう言ってワタシの前に投げ出されたのは、豚のように肥え太った、豪華な衣装に身を包んだおじさんだった。
ワタシはいつの間にやら担ぎ上げられ、反乱軍の総大将とされていたのだ。
「えっとカロン・・・こういった場合どうすれば?」
ワタシはあれ以来ずっと側に侍っているカロンにそう尋ねる。
『人間の些事に首をつっこむことはしたくないけど、マヤがどうしてもって言うなら意見してもいいよ?』
「とりあえずその意見を伺いましょうか?」
『こういった場合、領主とその家の者は大概処刑されるものさ。そうでないと領民が納得しないからね』
処刑はちょっとかわいそうな気もしたが、このおじさんの今までの行いを聞くと、それも妥当なのかもしれないと思った。目の前の元領主は、領民に重税をかけるだけに飽き足らず、数々の犯罪にも手を染めていたのだ。
こうして元領主とその一家は処刑され、次のモンタルバン領領主は、反乱軍の総大将のワタシ・・・・ではなく、バルタザール子爵となったのだ。
「えっと・・・・。領主なんて面倒なことお断りです。ワタシは海にあるあの砦の領地さえ手を出さないで頂ければ文句はありません」
この先冒険者となって、世界を巡るという目標があるのに、領主なんかになって、領地に縛られるのは御免である。
「このモンタルバン領の領主の後任は、バルタザール子爵にお願いします」
「謹んでお受けいたします!!」
こうしてバルタザール子爵が新たなモンタルバン領の領主となり、モンタルバン領はバルタザール領と名を変えたのだった。
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