10:旧神教神殿とマヤ
冒険者ギルドでDランク資格を得たワタシは、カロンに連れられ、旧神教の神殿にやってきた。カロンによると、どうやらワタシは、一度教会で神と対話をする必要があるようだ。それが宗教的理由なのか、実際の対話なのかはわからないが・・・・
とにかくワタシは神殿にある、神の像に祈らなければならないようだ。
旧神教の神殿は小さな神殿で、人気のない寂れた場所にあった。やはり創世新教に、勢いで負けているだけあって、あまり普及していないのかもしれない。
ちなみにそんなワタシについてきたのは、ワタシの従者を自称するセリアちゃんとメルちゃん、皆を仕切る気満々のフェリ姉ちゃん、フェリ姉ちゃんに従うラルフさん、旧神教の神殿に興味津々でついてきたペトラちゃんだ。他は護衛に騎士が2人ついてきた。その騎士の内1人が、模擬戦で全敗した、不甲斐ないパトリスなのが納得いかないが・・・・
もう1人の騎士は平民出身の騎士で、ユーゴと名乗っていた。彼はパトリスの友人だという。
「これは聖獣カロン・・・・。今日はどういったご用向きですか?」
教会の敷地に入ると、さっそく老齢のシスターが声を掛けて来た。彼女は手に桶と水差しを持って、花壇に水やりをしていたようだ。
『今日は彼女を連れて来たんだ・・・・。他はおまけだよ』
「まあ!? もしや彼女は・・・・!?」
どうやらカロンのその言葉だけで、シスターは全てを察したようだ。
「これは失礼しました・・・・皆さま・・・わたくしはシスター・ドリアーヌと申します。ぜひお見知りおきを・・・・」
そしてシスター・ドリアーヌは、まるで取り繕ったように、皆に自己紹介をした。それに続いて皆も自己紹介と挨拶を返した。
「・・・・神に祈りを捧げられる方は、どうぞこちらへ・・・・」
皆の自己紹介と挨拶が終わると、シスター・ドリアーヌは、皆を教会内へと案内していく。
教会内はまるで前世で見たヨーロッパの教会そのものだ。ステンドグラスのようなカラフルな物は置いていないが、キリスト像の代わりに、頭に光の王冠を頂いた、ローブ姿の男の像が置かれていた。おそらくあれが神の像なのだろう。
そして全員が神の像の前に傅き、祈りを捧げ始めた・・・・
『よく来たなマヨネーズよ・・・・』
するといつの間にかワタシは、大きな流れの中にいた。
ワタシはこの風景には覚えがある。これは以前ワタシが神と会合したあの場所だ。
『マヨネーズに他数々の料理・・・大変美味であったぞ』
え? 一体何を言って・・・・?
ワタシは神に料理をご馳走した記憶はない。それなのに神はなぜ、ワタシに料理の礼を言うのだろうか?
『我の口には皆の口を通じて、その情報や喜びが伝わるのだ・・・・』
いかにも神らしい答えだ。
『シムザスの街の住人は、横暴な来客があったために飢えておる。施しをせよ・・・・。さすれば其方の周囲は其方にとって良好な方向に進むであろう・・・・』
ワタシの周囲? いったい何のことだ?
『施しをせよ・・・・』
その言葉を最後に、ワタシの目の前は光に包まれた。
「施しっていったい何をすればいいんですか!? ・・・・あれ?」
気付くとワタシは、再び教会にある、神の像の前にいた。
『神は施しをしろって言ったのかいマヤ・・・・?』
するとワタシの足元にいた、子猫姿のカロンがそう尋ねて来た。
「神の声を聞いたですって!?」
「神は貴女様に施しをせよと申したのですか!?」
すると皆が祈りを止めて騒ぎ出す。そして周囲が騒然となる。
「・・・・施し・・・? 炊き出しとかのことですかね?」
神はシムザスの街の人が、飢えていると言った。そして施しといえば、炊き出しのことではないだろうか?
「神はマヤに炊き出しをしろって言ったの!?」
「炊き出しでございますか? 確かにシムザスの街は現在貧しい状態が続いております。この教会もぜひ神の御言葉であれば協力したいのも山々ですが・・・何故先立つ物がございません」
「その心配はないわ! 食材ならマヤがいくらでも出せるもの!」
どうやらワタシの言葉を聞いた皆は、すでに炊き出しをする気でいるらしい。
「いくらでもというのは語弊がありますが・・・・魔力が続く限りであれば・・・・」
フェリ姉ちゃんの言う食材というのは、【植物改良】の魔法で造る作物のことだろう。あの魔法で植物を育てれば、瞬く間に育つが、それも魔力が続く限りだ。
「おお! もしやマヤ様は神がお使いになったといわれる創造魔法をお使いで!?」
創造魔法・・・・。確か以前そんな感じの魔法を使って、マヨネーズを作ろうとして、気絶した記憶がある。神であればそんな魔法も使えるのだろうか?
「創造魔法は無理ですが、植物を育てる魔法なら使えます・・・・」
「なんと!? マヤ様はエルフの魔法をお使いになるのですか!?」
「は、はあ・・・・まあ」
「で!? 何を作るのかしらマヤ!?」
そしてそんなフェリ姉ちゃんの言葉で、皆の注目がワタシに集まる。
「と、豚汁とかでどうでしょうか?」
豚汁なら豚にそっくりのボア肉が沢山、【黒渦】の中に収納してあるし、なんなら自分で獲りに行ってもいい。ボアならいくらでもこの辺りの森にいるからね。野菜だって豚汁であれば、そんなに量はいらないはずだ。問題は味噌だが、それはあのスキルでなんとかしよう。
「い、いいわね! そのトンジルとやらを皆で作るのね!?」
「私達も勿論お手伝いするよ!」「メルも手伝う!」「ペトラも!」
こうしてワタシは皆の協力を得て、豚汁ならぬボア汁を、炊き出しすることとなったのだ。
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