08:騎士との模擬戦とマヤ
「つ、次は油断しないぞ! その娘らが使う剣がどのようなものかはだいたい把握したしな・・・次こそは後れをとらんぞ!」
「よろしくおねがいします・・・・」
そんな騎士パトリスの前に立ちはだかるのは、メルちゃんのお姉さんであるセリアちゃんだ。
セリアちゃんはワタシが教えたフェンシングの構えで、パトリスを迎え撃つ。パトリスは次は油断しないようにと、今度は正眼のような構えで木剣を握った。
先ほどはパトリスが、メルちゃんをなめていたため、不意打ちが成功したのだが、今度はそうもいかないだろう。そう思っていた時期がワタシにもありました・・・・
カツ~ン!
「よっしゃあ! 今度は油断なく受けきった・・・・」
セリアちゃんの初激の突きを、防いだパトリスは安心するが、そこで終わる突きではなかった。
カカカカカッ!!
「「「速い!!」」」
そこでセリアちゃんの突きの連打を見た皆が息をのんだ。
獣人はもともとの運動能力が、人族よりも高い傾向にある。その上身体強化が使えるセリアちゃんであれば、獣人のさらに上の運動能力を、引き出せるのではないだろうか?
その突きは異常なほどに速く、目で追えない程の連打である。ぎりぎりあれを凌いでいるパトリスを、少し見直したくもなる程の猛攻だ。
だが所詮は無謀な連打。タイミングの良い一撃から、武器を叩き落される可能性もあるし、連打の終わりを狙われ、逆に追い込まれる可能性もあるのだ。
「ま・・・・参った・・・・」
だが気付けばセリアちゃんの剣先が、パトリスの喉元を捉えていたのだ。どうやらパトリスでは、あの連打の攻略は不可能だったようだ。
敗北を認めたパトリスは、力なく項垂れた。
「なるほど。この姉妹の強さは確かに異常なようだ。獣人とはいえとても子供の動きではないぞ。フェリアンヌの報告によれば、あの獣人の姉妹に力を与えたのはマヤ殿だと聞く・・・・その上ヴィルからは娘のペトラが水魔法に目覚めたきっかけもマヤ殿だと聞いておる。いったいマヤ殿はあの子らに何をしたというのだ?」
どうやら獣人姉妹の実力を見た理由は、ワタシが彼女らに与えた影響を、確認するためのものだったようだ。そのきっかけは勿論、ワタシが彼女らに与えた、知恵の実の影響に他ならない。それと同時にヴィルおじさんが、信頼するバルタザール子爵にまだ知恵の実の件を、秘密にしていることを悟った。これは伝えるなと、暗に言っているのだろうか?
「そういえばマヤ? 私も最近風魔法が急激に成長してるんだけど? それに魔力の量も増えている感じがするの? 貴女私にまで何かしていないわよね?」
フェリ姉ちゃんは手の平から竜巻を出しつつ、そんなことを尋ねて来た。
実はフェリ姉ちゃんの食事には、何度か知恵の実を入れているのだ。それは彼女が命を落とさないように、少しでも力をつけさせるためだが、どうも獣人姉妹の件から、その効果を悟られたようだ。まあそこは苦笑いをしつつ、誤魔化しておくがね。
「それにセリアとメルは獣人でありながら、身体強化に飽き足らず、魔法まで使えるのよ!」
「獣人が魔法を!? マヤお前・・・・」
「やれやれ・・・・。他人の成長にも大きな影響を与えてしまうとは・・・・」
そのフェリ姉ちゃんの言葉を聞いた、ヴィルおじさんとバルタザール子爵が、引きつった表情でワタシを見た。まあ獣人で魔法を使えたのが、王族や英雄などの異例な存在だと聞いているし、その反応も仕方がないことなのかもしれない。
「それでは次は、そのマヤ殿自身の実力を、見せていただくことにしよう・・・・」
バルタザール子爵がそう口にすると、先ほどから負け続きで、不機嫌そうなパトリスが、ワタシの前に出て来た。
「そう何度も負けると思うなよチビ共が! お前らの剣の特性はすでに見えて来てんだ!」
「ほう? すでにフェンシングの動きを、見切られたと?」
「先ほどの剣はふぇんしんぐっていうのか? 面白い剣だがもうこの俺には通用しないぞ!」
たったの二回の対峙で、フェンシングの動を見切ったのは、流石騎士だと言わざるを得ない。
そんなことを豪語するパトリスに対し、ワタシは静かに、正眼の構えをとった。
「お前はふぇんしんぐじゃないのかよ!!」
そんなワタシに対してパトリスは、そう突っ込みを入れて来る。そう言われてもワタシには、この剣道の方が、よく手に馴染むのだ。
「まあいい! 今度こそ油断はしないぞ!」
そして先手必勝と言わんばかりに、パトリスは連続で攻撃を仕掛けてくる。
袈裟斬り、逆袈裟斬り、平斬り、突きの連撃に兜割・・・・
だが既に【思考加速】を使っていたワタシには、そのどの攻撃も遅く見えていた。パトリスの攻撃を、次々と小さな動作で、紙一重で躱していく。
「はあ・・・はあ・・・! く、くそお! 俺の攻撃がかすりもしない・・・・!」
そんなパトリスは、徐々に息が上がり、疲労していく。当たらない攻撃を繰り返すというのも、意外に疲れるものなのだ。
一方小さな動作で、紙一重で攻撃を躱しているワタシは、無駄な体力を消費しないので、パトリスのような疲労はない。しかも身体強化により、持久力も跳ね上がっているので、まだまだ余裕で、攻撃を躱し続けることが可能だ。
「はあ・・・はあ・・・! く・・・・くそう・・・! この・・・・化け物どもめ・・・・!」
そう言いつつパトリスは、ついには疲労困憊となり、座り込んでしまった。
「ワタシの勝ちでいいですね?」
そんなパトリスの眼前に、ワタシは木剣の先を突きつけそう尋ねた。
「ああ・・・・降参だ! まったく・・・・勝てる気がしねえ!」
こうしてワタシの模擬戦も、無事に勝利で、終えることが出来た。
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