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15:ラザ村の村人達とマヤ

「ワタシ・・・・いつの間に寝たんだ?」


 目が覚めるとそこは、猫砦の小屋にある寝室だった。


「そう言えば昨日この砦に付く直前に・・・・」


 前日の夕方にラザ村の避難民と共に、ワタシはこの猫砦に、到着する直前まで来ていたのだ。ところがその時、ワタシは激しい眠気に襲われ、そのままカロンの背中で寝入ったのを思い出した。


「わあああ・・・!」「どうやったのあれ!」「すごいね・・・・」


 すると何やら外から、騒がしい声が聞こえた来た。

 あの声はラザ村の避難民の子供達の声だろう。いったい何を騒いでいるのだろうか?


 小屋の外に出ると、何かを見てはしゃぐ子供達と、引きつった笑みを浮かべる、フェリ姉ちゃんがそこにはいた。その少し離れた場所では、ラザ村の人々が、驚愕の表情でその光景を見ていた。


『マヤ・・・・。あれ・・・どうする気だい?』


 すると子猫化したカロンが現れて、ワタシにそう問いかけて来たのだ。


「あれとはいったい何のことですかカロン?」


 そんなカロンの見ている先に、ふと目を向けると、そこには魔法を使って農作業をする、姉妹の姿があった。

 その時ふとワタシは、シュナル長老の言葉を思い出していた。


「あっ・・・! やべ・・・」


 魔法が使える獣人は、珍しい存在なのだ。それこそ英雄か王族くらいだと、シュナル長老は言っていた。そこへきて、あのさも当たり前のように、魔法を使っている姉妹を見て、皆はどう思っただろうか?


「マヤ様! あの姉妹に魔法を授けたのは、マヤ様というのは本当ですか!?」


 するといつの間にか、近くにやってきていたシュナル長老に、そうまくし立てるように尋ねられた。まさかすでに、魔法の出所が暴露されていたとは・・・・


「わたしにも魔法教えて!」「ぼくも魔法が使いたい!」


 そしてそう言ってワタシに詰めかけて来る子供達・・・・


「マヤ! よ~く反省なさい! これが現実というやつよ!?」


 さらにはフェリ姉ちゃんに、そんな小言を言われてしまう始末。どうしようかとカロンの方を見るが、プイッ!と目をそらされてしまった。

 いったいこの状況を、どう対処すればいいものか?


「マヤ・・・・いいえマヤ様・・・・」


「はい!?」


 そこへきて、唐突にセリアちゃんの口から紡がれる、様付けとなったワタシの名前・・・・

 その様子にワタシは、困惑を隠せなかった。

 そんなセリアちゃんの隣には、メルちゃんも静かにたたずんでいた。2人はワタシに、何か真面目な話でもあるようだ。


「えっと・・・・。改まっていったい何の用事でしょうかセリアさん、メルさん・・・・」


「お父さんの仇を討ってくれてありがとう!」


「ありがとう!!」


 するとセリアちゃんとメルちゃんが、目に涙を一杯溜めながら、一緒に頭を下げて来た。お父さんの仇? ワタシは2人のお父さんを知らないし、仇のことなど全くわからない。


『マヤが倒したマクベーンって名乗ってた剣士がいたろ? どうやらその剣士に彼女らの父親が命を奪われていたようなんだ・・・・』


「不憫なことですぢゃ・・・・」


 どうやら昨日帰還したおりに、セリアちゃんとメルちゃんは、シュナル村長に父親の所在を尋ねたようだ。そこで父親がすでに亡くなっていることを、シュナル村長に聞いたらしい。

 それから村人の中に、マクベーンを知る人物がおり、2人の父親の命を奪ったのは、そのマクベーンで間違いないという話になっていたようだ。

 そんなわけでワタシは、2人の父親の仇を撃った人物に、祭り上げられたというわけだ。


「聞いた時は私も驚いたわ! まさかあのマクベーンをマヤが倒していたなんてね!」


「マクベーンは達人の中の達人・・・・おいそれと倒せる相手ではありませんぞ・・・・」


 2人はそう言うが、最終的にマクベーンを凍らせて倒したのは、カロンだったはずだ。倒したのはワタシではない。


「カロン・・・・確かマクベーンに止めを刺したのはカロンでしたよね?」


 ワタシはそんなカロンを、ジト目で見つつそう尋ねた。


『確かに最後に奴を凍らせたのはボクだよ。でも剣で追い詰めて動けなくしたのはマヤだろ? ああなっていなければ、ボクはあの男を凍らせることなんて出来なかったよ。それに剣であの男に勝ったのはマヤだし、ある意味仇を討ったと言ってもいいよね?』


「それは詭弁というやつですよカロン・・・・」


 ワタシはそう言ってカロンと睨み合うが、セリアちゃんとメルちゃん、そして村人からの感謝のこもった目は、一心にワタシに注がれていた。どうやらカロンはこういう状況を予測して、上手く立ち回りをしていたようだ。先ほどの魔法の話も、このための伏線だったとしか思えない。まったく姑息な猫である。


「はあ・・・・。こちらはそのマクベーンの剣です・・・・」


 ワタシは【黒渦】から、マクベーンが所持していた剣を取り出した。その剣は細身のロングソードで、量産品ではなく、オーダーメイドだったらしく、紋章のような物も入れてあり、奴個人の物であることを示していた。


「仇の剣ですので・・・・貴方達に処遇は任せます・・・・」


 ワタシはそのマクベーンの剣を、姉妹に差し出した。奴の遺体はすでに、森の地中深くに埋められているし、今更腐れ果て、ゾンビとなった奴の姿を見せるのもなんである。そこで奴の遺体の代わりに、剣を差し出したというわけだ。


「この剣が私達のお父さんの命を・・・・」


 セリアちゃんもメルちゃんも、悲し気にその剣を見つめる。だが不意に目を反らすと、言葉を紡ぎ始めた。


「その剣はマヤ様の魔法で農具にでも変えて、皆のために役立ててくれると嬉しいわ!」


「メルからもお願い! そうして!」


 そして決意のこもった目で、そうワタシに提案してきたのだ。


「2人がそう言うなら・・・・そうしましょう・・・・」


 ワタシはさっそく2人の目の前で、その剣をクワに作り替えることにした。

 ますは【操鉄】を使い、マクベーンの剣の形をぐにゃぐにゃと変えると、最後のクワの刃床部の形に変えて、丁度良い形の木の棒に差し込んだ。これでクワの完成である。


「「「おおおお!」」」


「マヤ様の奇跡が行使された!」「奇跡だ!!」


 するとそれを見ていた村人が、奇跡奇跡と騒ぎ立てる。


 いや・・・魔法ですけどね・・・・


 そんなわけで、ワタシと元ラザ村の村人達の、共同生活が始まったのだ。

 お読みくださりありがとうございます!!


 マヨネーズが好きな方★

 冒険が好きな方★

 食べるのが大好きな方★


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