14:とっておきのゼリーとマヤ
「凄いよマヤちゃん!」「さっきのやつまほう!?」
「ねえねえ! あれどうやるの!?」
「私も魔法つかいた~い!」
休憩のために泉に立ち寄ると、さっそく子供達がワタシに詰めかけ、質問攻めにしてきた。
しばらく前にワタシは、ロックバードとの死闘を繰り広げ、無事に勝利して見せたのだ。子供達はその様子を、目をキラキラさせて見ていたという。
「これこれ! マヤ様に迷惑をかけちゃいかん!」
するとそんな子供達を、シュナル村長がやってきて嗜める。
「ええ~!」「だって気になるよさっきのやつ~!」
「まほうつかいたいよ~!」
「それに残念ぢゃが我ら獣人には魔法は使えぬ・・・・。使えるとしたらそれこそ英雄様か、王族くらいぢゃろうて・・・・」
シュナル長老はそれは残念そうに、そう口にした。
その話を聞いたワタシは、ちょっと冷や汗が出て来た。そしてあの姉妹のことを、思い浮かべる。彼女らは本当に、特別な存在になってしまったのだろうか・・・・
「ねえ! なんでじゅうじんはまほうがつかえないの!?」
「ほんとうにじゅうじんはまほうがつかえないの!?」「ねえねえマヤちゃん!」
「それはですね・・・! あのですね・・・・!」
すると再びワタシに詰めかける子供達。ワタシはどう答えていいかわからず、天手古舞となってしまう。
『マヤの機嫌が良ければ・・・・君達も魔法が使えるようになるかもね・・・・?』
するとカロンが大きな顔をのそっと覗かせて、そんな意味ありげなことを口にした。
それを聞いた子供達とシュナル村長が、一斉にワタシの顔を見る。
底意地の悪い猫め!
「せ、せせ、せっかくの休憩ですし・・・・甘いお菓子なんていかがですか!?」
焦ったワタシは話題を反らそうと、おやつタイムを提案してみる。
「おかし? なに?」「あの木の実のこと~?」
するとそのワタシの提案に、子供達は困惑顔となる。お菓子では伝わらなかっただろうか?
「マヤ様・・・・お菓子は高価な食べ物です。ましてや甘い物など、おいそれと口には入りません。子供達が知らないのも無理はありませんぢゃ」
そう言えばワタシも、ボーロ村でお菓子を見かけたことはなかった。ボーロ村で甘味と言えば、木の実だったのを思い出す。
「今回はクッキーの他にゼリーもあるんですよ!」
ゼリーは土魔法の【結晶抽出】で、ボアから抽出した、コラーゲンを材料に作り上げた、とっておきの一品である。このコラーゲンはボアの足を煮込んでも、作れなくはない。だがビジュアル的に問題があった。しかも微妙に豚臭さがある上に、非常に手間がかかるのだ。そこで【結晶抽出】を使ったところ、上手くいったので、そちらを採用したのだ。なおゼリーを固めるのに、カロンから氷を貰ったので、そのゼリーについてはカロンだけは知っている。
『あれ・・・・ついに皆に見せちゃうんだ?』
するとカロンが含みのある笑顔で、そんなことを言って来た。いったいゼリーがどうしたというのだろうか?
「これがゼリーですか? 不思議な食べ物ですなあ?」
「なにこれ? すらいむ?」「すらいむだ~!」
ワタシがゼリーを見せると、シュナル村長と子供達は、様々な反応を示した。そして気にる言葉を口にしたのだ。
何ですとスライム? スライムとはまだ遭遇していないが、子供達が知っているところを見ると、わりと身近な場所にいるのだろうか?
「あっまあああい!」「なにこれ! ふしぎな食感!」
「これはまた贅沢な食べ物ですな~・・・砂糖もふんだんに使われております・・・・」
さっそくゼリーを皆に振舞うと、皆嬉々としてゼリーを口にしていた。口に合ったようでよかった。
「ちょっとマヤ・・・!!」
そんな中フェリ姉ちゃんだけは顔色を変え、ワタシの前に仁王立ちをする。このゼリーを食べて、なにか気に入らないところでもあったのだろうか?
「また貴女はこんな争いが起こるレベルの食べ物をぽんぽんと出して・・・! この食べ物の存在を欲深な王族や貴族が知ればどんな事態が引き起こされるかわかる!?」
なるほど・・・・。そういえば以前、マヨネーズをフェリ姉ちゃんに出した時に、同じような内容のことを言われた記憶がある。どうやらゼリーも、戦争が起こるレベルの食べ物のようだ。
「今後新しい食べ物をつくる時は、まず私に見せなさい! いいわねマヤ!?」
「は・・・はい・・・・」
しばらく小言を言われたワタシは、最後にそう約束させられた。というかフェリ姉ちゃん「まず自分に見せろって」・・・・いつまでワタシと一緒に、いるつもりなのだろうか?
そんな騒動が終わると、再びワタシ達は猫砦を目指して、森の中に歩みを進めた。
途中小規模なゴブリンの群に遭遇したが、難なく撃退することが出来た。あまりに短時間で方が付いたために、ワタシがしたことと言えば、土精霊への命令だけである。
「もうすぐ猫砦よ! 皆がんばってちょうだい!」
そしてようやく猫砦も近付き、空の色が真っ赤に染まって来た夕方、ワタシは妙な眩暈に襲われた。
もしかして・・・・森羅万象の影響か? 遅れて今頃あの風魔法をダブルで覚えた影響が、やってきたのだろうか? いや・・・違う・・・これは・・・・眠気だ・・・・
『マヤ大丈夫かい? まっすぐ歩けてないようだけど?』
「や、やばいかも・・・・ちょっと限界かもしれません・・・・」
ワタシの足はふらつき、正直立っていられなかった。この眠気はいったいなんだろうか? もしかして未知の魔物の襲撃!?
「ちょっとマヤ! あんた大丈夫!?」
するとフェリ姉ちゃんも、ワタシを心配して、先頭から駆け付けて来た。
『マヤはまだ幼いからね・・・・朝も早かったし、そろそろお眠の時間なんだろ?』
確かにワタシは、まだ暗いうちに起床し、旅の準備や料理やらで、天手古舞だった気がする。幼い子供には多くの睡眠が必要と聞くし、正直この体には、負担をかけすぎていたかもしれない。
見ると獣人の子供達も船をこぎ始め、うつらうつらとしていた。そんな子供達を心配した母親達は、皆それぞれに子供を抱きかかえ、胸の中で寝かしつけていた。
「もう少し待ってちょうだいマヤ! 今ラルフに背負わせるから!」
『いや・・・・いいよフェリアンヌ。マヤはボクが背負うから・・・・』
カロンはフェリアンヌの申し出を断ると、ワタシをくわえ、器用に背中に乗せた。
ワタシはそのふわふわの毛皮の上に横になると、不意に眠気が増してきて・・・・ほどなくして意識が途切れた。
この後ワタシたちは、無事に猫砦に、到着することができた。聞いた話ではあの猫砦の大きな城門の開閉は、カロンが風魔法で行ったらしい。
皆無事に猫砦に到着出来て本当に良かった。
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