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07:剣の模擬戦とマヤ

 昼食が終わると、皆で城門前にある、広場にやってきた。その広さはテニスコート程しかないが、剣の訓練にはうってつけの場所だ。

 その広場にやってきた理由は、ワタシとセリアちゃんとメルちゃんに、護衛としての実力があるかどうか、剣技で測るために模擬戦をするためだ。その模擬戦の相手は、剣を得意としている、ラルフさんである。

 その模擬戦で使う木剣は、毎朝の剣の稽古をするために、それぞれが3人で、木を彫って作った物である。ラルフさんの木剣はないので、本人が見付けた、いい感じの棒がその手には握られている。

 その様子を面白がってか、以前カロンがつくった水精霊が、ふよふよと飛び回り見ている。


「それじゃあ3人とも頑張ってちょうだい・・・」


 腕を組みつつ、そんなワタシたちの様子を見守るのは、ラルフさんが仕えているフェリ姉ちゃんだ。

 ちなみにカロンは、そんなフェリ姉ちゃんの横で公箱座りをして、こちらを見つめている。


「では先にセリアさんとそれから・・・メルさんからお願いします・・・・」


 ラルフさんは広場の中央で、片手で木剣を構えつつ、2人にそう告げる。


「あら? その中にマヤは加えなくていいのかしら?」


 その様子を不審に感じたのか、フェリ姉ちゃんがラルフさんに尋ねる。


「マヤさんは聖獣カロンが認める程の御仁・・・・その実力は後でゆっくりと確認いたしますので・・・」


 ラルフさんがその理由を述べると、セリアちゃんとメルちゃんがラルフさんに、最近覚えたフェンシングの構えで向かい合う。


「ほう? 剣のリーチを最大限に活かした、なかなかの構えですな? どちらでその構えを?」


「マヤが教えてくれたの!」


「メルもマヤちゃんに聞いた!」


「ほう・・・・マヤさんが?」


 そう言いつつラルフさんは、何か意味ありげに、ワタシを一瞥した。


「・・・・では始めましょうか」


 ラルフさんのその言葉を合図に、セリアちゃんとメルちゃんは、その木剣を突き出した。

 前世とこの異世界の剣術の違いは、何と言っても身体強化があることだろう。身体強化を使えば、あの重い木剣も、まるで教鞭のように軽くなるのだ。

 身体強化が使える、セリアちゃんとメルちゃんの突きは、子供と思えない程速く鋭い。


「えいや!」


 カカン!!


「あっ!」「いたっ!」


 だがラルフさんは瞬時に細かく剣を動かし、まずメルちゃんの剣を叩き落し、次にセリアちゃんの頭に、木剣を打ち付けた。

 その瞬時の早業に、ただ息をのむばかりだ。


「二人はどう?」


「その突きの速さには正直驚きましたが・・・・実戦経験不足でしょうか・・・護衛が務まるかどうかと聞かれると、正直微妙なところです・・・・」


 フェリ姉ちゃんが2人の実力を尋ねると、ラルフさんからは、そんな答えが返って来た。

 獣人である2人の動きは、前世基準のワタシで言えば、かなりのものかと思われる。ところが異世界の剣士である、ラルフさんの感覚で見れば、まだまだのようだ。確かに2人の実戦経験は皆無に等しいし、その辺りも見破られてしまったようだ。

 それになによりフェンシングは、ポイント制であるために、当てる為だけの攻撃になりがちだ。剣に、相手を倒す気概が感じられないのも、お眼鏡にかなわなかった要因の、1つなのかもしれない。


「では次に・・・・マヤさんが来てください・・・・」


「はい!」


 指名されたワタシは、やり慣れた正眼の構えで、ラルフさんを迎え撃つ。


「先ほどの2人とは、構えが違うようですな?」


「あの剣技も嫌いではないですが、ワタシにはこちらの方が馴染みますので・・・・」


 フェンシングは鈍重な木剣さえ、片手で軽く扱えれば、難なくこなせる剣技だ。身体強化が使えるワタシにとって、それは容易いことではあるが、ワタシにとってはこの正眼の構えこそが手によく馴染むのだ。

 そしてラルフさんの剣速は、かなりのものである。思考加速でも使わないと、とてもワタシには、捉えきれないだろう。


「ほう? 目に紫の揺らぎ・・・・精神系の魔法ですかな?」


 ワタシが思考加速を使うと、あっさりと魔法の使用を、見破られてしまった。ただどんな魔法かは、特定できないようだ。


「まあ! 精神魔法ですって!?」


「えっと・・・・。精神魔法はなにかやばかったでしょうか?」


 フェリ姉ちゃんのその驚き方に、戸惑ったワタシはそう尋ね返した。

 精神魔法は、前世で読でいたラノベによっては、禁忌とする内容もあった。相手の精神を支配し、意のままに操るような魔法も、存在したからだ。それによって処罰される内容もよく目にしたものだ。そこのところこの国では、どう考えられているのだろうか?


「精神系の魔法には、相手に幻影を見せるようなものから、眠気を与えるようなものまで、さまざまなものが存在します。なので一概に非難される魔法ではありませんよ?」


「それを聞いて安心しました。今ワタシが使っているのは、ワタシ個人を強化するものですので、相手には何ら影響を及ぼしません・・・・」


「ほう? 精神系の魔法にはそんなものまであるのですかな?」


「まあ・・・剣を合わせて見ればわかりますよ・・・・たぶん・・・・」


 思考加速は自らの思考を加速することで、周囲の動きを遅く見せかける魔法だ。速い動きを見破るには、効果的な魔法と言ってもいい。ただ剣を合わせたからといって、思考加速を見破れるかどうかは、正直微妙なところである。


 こうして気を取り直したワタシは、再び静かに、ラルフさんに木剣を向けるのだった。

 お読みくださりありがとうございます!!


 マヨネーズが好きな方★

 冒険が好きな方★

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