表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/79

05:目が光るマヤ

「ちょっと落ち着いてちょうだい! 私は少なくとも今現在は、聖騎士軍ではないわ!」


 その只ならぬ様子に、フェリ姉ちゃんが焦り、そう釈明してきた。確かにワタシは聖騎士軍を指揮する彼女を目にしているのだ。それでも彼女は、あの悪辣な聖騎士軍ではないというのだろうか?


「今更だけど私・・・・あの聖騎士軍の悪辣さに気付いて抜けてきたのよ・・・・」


 抜けて来た? あの聖騎士軍を?

 確かに目の前の娘は、ボーロ村の村人には、1人として怪我をさせてはいない。普通の聖騎士軍とは、違うのだろう。だがあの聖騎士軍を抜けたというのは本当だろうか?


「そうね・・・・。貴方達もあの聖騎士軍は許せないのよね? ただこれだけは聞いてくれる?」


 そう言うとフェリ姉さんは、只今警戒中のセリアちゃんとメルちゃんに向き直り、言葉を紡ぎ始めた。


「本当にごめんなさい・・・・。あの聖騎士軍があれ程悪辣だったなんて気付かなかったのよ・・・・。気付かなかったじゃ済まされないのはわかってる・・・・。それでもあのラザ村の村人だけは私に救わせてくれないかな? この証にちかって・・・・」


 そう言ってフェリ姉ちゃんが出したのは、トップにある紋章が付けられたペンダントだった。それはヴィルおじさんが、いつも大事に持っていた物と一致していた。あれは確か・・・・旧神教のシンボルのような物だったはずだ。つまりフェリ姉ちゃんは、旧神教ということになる。なぜそんなフェリ姉ちゃんが、創世神教に属する、聖騎士軍になんて入っていたのだろうか?


「私は貴族よ・・・・。宗教も偽らないと生きていけない立場なの・・・・」


 するとワタシの胸の内を察したのか、フェリ姉ちゃんがそうもらした。どうやら貴族も色々と、大変なようだ。ワタシも会社にいたころは、上司の命令には、いくら理不尽な命令でも逆らえなかったが、あれと同じだろうか? だとしたらちょっとかわいそうな気もする。


「はあ・・・・。ボーロ村で徴収する聖騎士軍を指揮する彼女を見かけましたが、とても誠実な対応でした・・・・あの聖騎士軍とは思えないくらいに・・・・」


 ワタシはセリアちゃんとメルちゃんに、フェリ姉ちゃんがボーロ村でどんなだったかを説明した。


「ええ? 貴女あの時ボーロ村にはいなかったでしょ?」


「岩山に潜んで、ずっと様子を窺っていたんですよ・・・・」


 あの時ワタシはボーロ村にある岩山の影に隠れて、ボーロ村の様子を見守っていたのだ。


「そうだね・・・・。フェリ姉ちゃんはあの兵士達とは全然違うもの・・・・。それにその証は仲間のもの・・・・」


「そうだよ! フェリ姉ちゃんは悪くない!」


 すると2人のわだかまりも解け、どうやらフェリ姉ちゃんを、受け入れられたようだ。その様子を見ていたカロンも、警戒を解き、ラルフさんも手を掛けていた剣から手を離した。ようやく周囲は落ち着いたようだ。


「はあ・・・・緊張した・・・・。びっくりしたわよもう! 貴方怒ると目が青く光るんだもの!」


 え? ワタシの目が青く? なにそれ怖い・・・・

 別にワタシは怒ってはいなかったが、フェリ姉ちゃんに警戒を向けて、感情が高ぶり、緊張していたことは確かだ。昔誰かにワタシの圧がどうとかと言われたが、もしかしたら、この目が光ることを言っていたのだろうか?


 そしてワタシは感情が高ぶると、目が青く光ることが判明した。


「それじゃあ仲直りの印にこれから昼食をご一緒しませんか?」


 ワタシはフェリ姉ちゃんとラルフさんにそう提案した。

 ちょうど今日は卵もあるし、なにより天然酵母も完成しているので、ふわふわパンだって作れるのだ。


「ちょっと貴女料理なんてできるの?」


「マヤちゃんのご飯は美味しいんだよ!」


 フェリ姉ちゃんがそんなワタシに懐疑的な目を向けるが、メルちゃんがそれを否定するようにそう口にした。


「ラルフ・・・・」


「は・・・・承知いたしましたお嬢様・・・・」


 そんなワタシがいまだに信用できないのか、フェリ姉ちゃんはラルフさんに、ワタシにの補佐に付くように促した。





「貴女・・・この卵を生で使う気!? お腹壊すわよ!」


 ワタシが卵を台所に出し、生で使うと宣言すると、フェリ姉ちゃんがそんなことを口にした。ボーロ村でも生卵は、腹を壊すと聞いていたし、一般的にそう言われているのだろう。だがワタシにはあの魔法がある。だから何の心配もいらないのだ。


「心配ありません・・・・なぜなら浄化の魔法で腹痛の原因を駆除するからです!」


 そう・・・・それが【浄化】の魔法だ。

 ワタシは説明が終わると、いまだに懐疑的な表情のフェリ姉ちゃんをよそに、卵に【浄化】の魔法をかけた。


「嘘! 卵がぴかぴか!」


「ほう!? これは・・・!」


 【浄化】の魔法は卵を徹底洗浄して、つるつるのぴかぴかに磨き上げるのだ。

 その余りの卵の綺麗さに、フェリ姉ちゃんもラルフさんも驚愕している。


「でも聖職者の魔法が卵に使われるのなんて初めて見たわ・・・・」


「浄化を教会で頼めばけっこうな額のお布施を要求されますぞ・・・・」


 そして2人は次に、呆れたようにそう口にした。





「これがさっき言っていたマヨネーズとやらね? 見た目は随分と華やかね?」


「これなら貴族の食事会にでも出せますな・・・・」


 皆がテーブルに着くと、ラルフさんだけは一貫してテーブルにつかず、フェリ姉ちゃんの傍らに立った。そしてマヨネーズのついたパンを見せると、そんな感想を漏らした。


 今回の昼食はふわふわのロールパンに切れ込みを入れ、数種類の野菜に、ボアのハム、それらにマヨネーズをかけて挟んだものだ。マヨネーズはデコレーションが見えるように、外にはみ出るように、盛り付けてあるのだ。せっかくのデコレーションなので、隠すのももったいない。

 ちなみに野菜は、レタスに玉ねぎスライス、それに薄く切ったミニトマトも加えてみた。

 ボアのハムには手間がかかったが、毎日の料理研究の末に、ついに形になったのだ。


「あ~む! むぐむぐ・・・・」


 そのロールパンサンドにかぶりつくと、マヨネーズの酸味がパンの甘みを引きたて、さらにそれにまろやかさが加わる。それにハムの熟成による豊かな旨味が加わり、しゃきしゃきとしたレタスがメロディーを奏で、とても心地よい気分になる。玉ねぎの苦みがその風味をさらに押し上げ、たまに混ざるトマトの酸味が、味のハーモニーを生み出していく。


 なかなかに絶品な一品に仕上がっている。贅沢を言えばバターの風味も加えたいが、まだバターの研究には着手していない。確かバターは豚のラードでも作れたはずだ。今度研究してみよう・・・・


「美味しいね~・・・!」


「はむはむ! 美味しい!」


 セリアちゃんとメルちゃんは、一心不乱にそのロールパンサンドにかぶり付いている。


「はむ・・・・? 貴女これ・・・・」


 ところがフェリ姉ちゃんは、そのロールパンサンドを一口口に入れると、黙り込んでしまった。


「あの・・・お口に合いませんでしたか?」


 やはり貴族は口も肥えているし、この程度のロールパンサンドでは、納得いかないのだろうか?


「その逆よ・・・・」


 その逆? いまだにフェリ姉ちゃんはロールパンサンドを咀嚼し、その味を吟味しているようだ。


「なるほど・・・・」


 そしてマヨネーズを一舐めすると、なにか納得したように頷いた。


「ラルフ・・・・貴女もこれを食べなさい!」


 すると手付かずでテーブルの上に置いてあった、ラルフさんのロールパンサンドを指さし、フェリ姉ちゃんがそうラルフさんに命じた。


「お嬢様・・・・わたくしは執事でありますので・・・・」


「いいから食べてみて! 貴方の感想が聞きたいの!」


 いったいフェリ姉ちゃんは何が言いたいのだろうか?


「そう言うことでしたら・・・・はむ・・・・」


 そしてラルフさんも、ロールパンサンドを口にする。


「む・・・!?」


 するとラルフさんはロールパンサンドを口にして固まってしまった。

 いったいどうしたというのだろうか?

 お読みくださりありがとうございます!!


 マヨネーズが好きな方★

 冒険が好きな方★

 食べるのが大好きな方★


 ぜひコメントをください!

 そして面白かったらブックマークと評価をぜひお願いします!

 ★★★★★いただけたら作者はテンション爆上がりですよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ