↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/80

01:ラザ村の現状

「これは酷いわね・・・・」


 フェリアンヌが見たラザ村の様子は、想像以上に酷い有様であった。

 民家は焼け落ち、あちこち焼け焦げた跡があり、村は原型をとどめていなかったのだ。


「だがしかし遺体の痕跡がありませんな・・・・何者かが埋葬しておるのやもしれませぬ・・・・」


 執事のラバスの見立てでは、これほどの襲撃を村が受ければ、死体があちこちに転がっていてもおかしくはないという。ところが焼け落ちたラザ村には、死体はおろか、その痕跡すら見当たらなかったのだ。そこでラバスは埋葬するために、何者かが死体を回収しているものと考えたのだ。


「この村にはもう誰もいないのかしら?」


「人の気配はありますが、誰一人出てくる気配がありません・・・・」


「それはそうね・・・・。私達がこの村を襲撃した聖騎士軍の仲間と思われていても仕方がないわ」


 村人が恐れて出てこない理由を、フェリアンヌは聖騎士軍を警戒してのことと考えた。聖騎士軍の中には当然貴族もおり、フェリアンヌとラバスのその整った服装から、そう見られていても可笑しくはないのだ。


「私達は聖騎士軍ではないわ! 安心して出て来なさい!」


 そこでフェリアンヌが掲げたのは、旧神教の証が付けられた、首飾りであった。

 現在この国では創世新教が勢力を増し、その存在が強く信じられていた。当然旧神教信者も多数おり、信仰自体は禁止されてはいなかった。ところが国王が創世新教を信仰していたため、貴族の多くは、創世新教の信者であることが求められていた。

 王国には創世新教に対する、お布施税なるものも既に存在し、当然フェリアンヌの公爵家も、毎年多額のお布施税を納めていた。

 ところが国民や貴族の中には、今も旧神教を信じる者がおり、隠れて崇拝していた。実は公爵家もその一員であるのだ。

 現在獣人のほとんどが、その旧神教を指示しており、そのため迫害の対象にもなっていた。聖騎士軍の指示する宗教は、創世新教であり、ラザ村が襲撃を受けた理由も、その辺りが背景にあった。

 そこへきてフェリアンヌが掲げたその首飾りは、ラザ村の獣人には、仲間の証にも見えただろう。


「おお! その証は・・・・!」


 そこへ現れたのは、獣人の老人であった。その老犬のような男は、わなわなと震えながら、その証を見ていたのだ。彼にとって今のフェリアンヌは、救いの女神にも見えたことだろう。

 すると物陰に隠れていた村人の生き残りも、次々と姿を現した。姿を現した村人は、老人や子供、女がほとんどで、男性の姿は見られなかった。その人数は20人程で、この村の少数の生き残りかと思われた。


「私はフェリアンヌ・オルブラント・・・・オルブラント公爵家の3女よ!」


「おお! 確かにその真っ赤な髪は・・・・」


「オルブラント公爵家と言えばあの・・・・」


 オルブラント公爵家と言えば、真っ赤な髪が特徴であった。そして獣人に対しても、慈悲深いことで有名であったのだ。


「貴方がこの村の代表かしら?」


「ええ・・・現在わたくしがこの村の村長を務めさせていただいておりますシュナルと申します」


 フェリアンヌが尋ねると、老人はそう答えた。


「現在の村の状況を聞かせてくれるかしら?」


「生き残った村人は半数もおりません・・・・。現在村の外れにある洞窟で過ごしておりますが、なにぶん食料や水が不足しておりまして、今のところ被害はありませんが、魔物の襲撃にも何度か遭っております・・・」


 村長から聞いた村人の状況は、とても安全と言えるものではなかった。とくに食料や水については深刻な問題だ。

 魔物の襲撃を受けながら、実害がない理由は、獣人達が団結して、魔物を追い返しているためだ。だがそれも老人や女子供だけでは、長くは続かないことだろう。いつか強力な魔物でも押しかければ、あっという間に、蹂躙されてしまうことが予想される。そうなればかなりの被害が出ることは、言うまでもない。


「他に安全な場所はなかったのかしら?」


「ここから半日程森を進んだ先に海岸がありまして・・・・その海岸にこの村の狩人が見付けたという洞窟があるらしいのです・・・・。もしやそこならば、その洞窟よりは安全なのではと考えたのですが、何分年寄りや女子供ばかりです・・・・。安全にあの森を抜け、確認に向かえるかどうかもわかりませぬ・・・・」


 村長のシュナルは森を指し示しつつそう答えた。森には魔物が徘徊しており、いつ襲われるかもわからない。木々や草木が生い茂る森の中では、どこに魔物が潜んでいるかもわからないのだ。森は村人にとっては、危険な場所であり、護衛なしで入るには、それなりの被害を受ける覚悟も必要となる。ましてや非力な老人や女子供であれば、その被害もさらに大きくなることだろう。


 またその森には竜種出現の噂こそなかったが、危険な魔物の情報がいくつかあった。その中でも海岸から森に流れ出てくる、デスキャンサーの存在が最も恐れられていた。攻撃も魔法も効かないというその怪物は、無敵の死神と恐れられていたのだ。


「わかったわ・・・・。その海岸の洞窟が安全かどうかは私が確認してくるわ!」


「お嬢様お止めください! あの森を抜けるのは危険です!」


「大丈夫よ! 馬で駆け抜ければすぐだわ!」


 そう猛りつつ公爵家のじゃじゃ馬は、躊躇なく森へと馬を向かわせた。


「お待ちくださいお嬢様!」


 その後を慌てながらも、執事のラバスが続いたのだ。


 結論から言えば森はすぐに抜けられた。とは言え4時間程はかかっているので、人の歩く速度に比べてはということである。その距離を歩けば、文字通り半日はかかる距離なのだ。


 魔物との遭遇も少なく、そのほとんどがゴブリンかウルフで、馬で駆け抜ければ、簡単に撒くことができたのだ。火の魔術師であるフェリアンヌにとって、当然ウルフやゴブリンはとるに足らない相手ではあるが、無理に魔力を消費してまで、戦う相手ではなかった。また執事のラバスも剣の腕が長けており、ゴブリンやウルフなど相手にはならなかっただろうが、道を急ぐためにもあえて無視して進んだ。

 当然馬の休憩に、30分程森の泉で過ごすことはあったが、運よく襲われることはなかった。


「砦? なんでこんなところに?」


「もしかしたら聖騎士軍に所属していたおりに、報告にあったものやもしれませんな・・・・」


 だが森を抜けた先には、建てられたばかりと思われる、新しい砦があったのだ。そしてその砦を見たラバスは警戒を強めた。なぜならその砦こそが、第4部隊の隊長と第5部隊の隊長が姿を消す前に、発見されていた砦だと、報告の内容から思い至ったからである。

 つまりラバスはこの砦こそが、2人の部隊長がいなくなった、あるいは命を落とした、場所だと考えていたのだ。

 お読みくださりありがとうございます!!


 マヨネーズが好きな方★

 冒険が好きな方★

 食べるのが大好きな方★


 ぜひコメントをください!

 そして面白かったらブックマークと評価をぜひお願いします!

 ★★★★★いただけたら作者はテンション爆上がりですよ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。