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12:懐かしのボーロ村とマヤ

「やあ! 久しいですねヴェルおじさん!」


「おう!? マヤか!」


 聖騎士軍がボーロ村を去ってすぐに、ワタシは皆の集まる場所に、カロンに跨り降りたった。少し離れた場所から、アビィーおばさんらしき、舌打ちは聞こえるが、スルーして話を続ける。


「聖獣様もご無沙汰しております・・・・」


『堅苦しい挨拶は抜きでいいよヴェル』


「どれくらいとられました!?」


 ワタシは周囲の野菜や、木の実の様子を見渡しつつ、そうヴィルおじさんに尋ねる。


「全てはとらないと部隊長の娘が言っていたからな。大分残されてはいるだろう。だが鉄の農機具なんかは、残されちゃいないだろうな?」


 ヴィルおじさんの言う通り、畑の作物や、木に生っている実は、どれも半分くらい徴収されている感じだった。この状態なら、食料はます問題ないだろう。

 だが問題は徴収された農機具だ。鉄の農機具は鉄の部分を溶かして、兵士が使う武器を作り直すのだろう。だが正直ワタシみたいに、土魔法の【操土】が使えれば、農機具は必要ないが、それがない村人達にとっては死活問題だ。


「木の棒をいくつか用意してください! 農機具はなんとか用意しましょう!」


 村の岩山にあった、鉄鉱石の採掘場に行けば、まだいくらでも鉄はとれる。農機具を作るついでに、もう少し鉄を拝借していこう。さすがに兵士が採掘までしていかないだろうから、あの鉱石まで徴収されてはいないだろう。


「後これ食料です。村の足しにしてください」


 そう言うとワタシは最近仕留めたデスキャンサー2体に、ビッグボア1体を広場にどかどかと出した。


「悪いなマヤ・・・・。お前には貰ってばかりで、正直その貸しの一割も返す目途が立たない」


 ヴィルおじさんは申し訳なさげに、頭をかきながらそう口にした。


「いいってことです! 困った時はお互い様ですから!」


 ワタシは胸を張ってそう言うが、カロンは何やら、困った人を見るような目をしている。お人好しが過ぎるとでも言いたげだ。


「マヤちゃ~ん!!」「こらペトラ! 突然走ったら皆にぶつかるでしょ!」


「ペトラちゃん!」


 見るとペトラちゃんが群衆をかき分け、姉のヴェラさんを連れ立って、こちらに駆け寄って来るところだった。確かペトラちゃんは、水の魔法に目覚めたことから、シムザスの街にいる貴族のところへ、奉公に行ったと聞いていたが、いったいどうしたのだろうか?


「ペトラは10歳になるまでは、この村にいてもいいことになったんだ・・・・」


 するとヴィルおじさんが、ワタシの考えを察してか、そう教えてくれた。


「良かったですねペトラちゃん。まだ皆といられますよ・・・」


「うん!」


 ペトラちゃんは満面の笑顔で、ワタシにそう返すが、果たして本当にこの危険な村にいても良かったのだろうか? この村の外壁には、ワタシも不安を感じている。またいつあの脆い木の外壁を壊して、魔物が侵入してくるかわからないのだ。

 ワタシがこの村に滞在し、2~3ヶ月もかければ、石の城壁ぐらいは造れるかもしれないが、あの欲深な村長がいつ帰って来るかわからない今、そんなことも言ってはいられない。

 6歳になって適齢期がくれば、ワタシも冒険者になって、冒険者ギルドの庇護を受けることができるようになる。そうすればあの村長に、好き勝手されることもなくなるだろう。それまでの辛抱だ。


「マヤちゃんはいつまでここにいられるの?」


「正直農機具がいくつかできれば去るつもりです・・・・。向こうには気になるお家もありますし・・・」


 ワタシがそう答えると、ペトラちゃんはあからさまに、がっかりした表情をした。


「マヤは向こうに家を造ったのか?」


「ええ。今は聖騎士軍に目を付けられそうなので、正直あまり放っておきたくもないんです」


 聖騎士軍が今日中にあの距離を、やってくることはないだろう。カロンの話では最速でも1週間はかかるという話だった。カロンが1時間かけて飛行する距離でも、徒歩ならばその何十倍もかかってしまうそうだ。あの野営地までなら3日はかかるそうなので、あの男達に知らせを受けてから、準備をして出発しても、それくらいはかかるだろう。

 だからと言って、あまりあの猫砦を空けるのも、獣人の姉妹を心配させのでよろしくはない。


「聖騎士軍に目を付けられているのか!? 大丈夫なのか!?」


「ええ。それなりの作戦は立ててありますから・・・・」


 作戦というのはまだはっきりとはしていないが、あの街道を行軍するなら、必ず海に接した、狭い場所を通過するはずなのだ。そこを上空から巨大な水玉で攻撃すれば、道が寸断され、聖騎士軍はそれ以上の進軍が、出来なくなるだろう。

 カロンはその水玉で聖騎士軍を押し流して、海に転落させた方が効率的だと、怖いことを言っていたが、ワタシは出来るだけ命を奪うようなことはやりたくない。


 その後、ボーロ村は徴収で荒らされた箇所の片付けで、大忙しだったようだ。そんなボーロ村をしり目に、ワタシは鉄鉱石の採掘場で、くつかの鉄の農機具を製作すると、懐かしのボーロ村を後にした。


 お読みくださりありがとうございます!!


 マヨネーズが好きな方★

 冒険が好きな方★

 食べるのが大好きな方★


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