10:ボーロ村の様子とマヤ
『ほら・・・まだあんなところを歩いているよ?』
逃走した男達を上空から追うと、瞬時に追いつくことができた。6人いたはずが、その人数は4人にまで減っていた。デスキャンサーに喰われたのか? それとも他の魔物にやられたのか?
ワタシとカロンは、まず先ほど逃走した男達の、拠点を探ることにした。あの男達が向かう先に、本隊のいる拠点があるのだろう。
カロンはワタシを背に乗せ、風魔法で飛行して街道上空を進んだ。なるべく見つからないように、低空飛行で街道沿いにある、森の木々に隠れて飛行する。
『あの男達は始末しておくかい? 本隊に報告されてから、どれくらいの時間であの砦にやってくるかはわからないが、間違いなく次は、大勢でやってくるよ?』
するとカロンがそんな物騒な提案をしてきた。だがワタシ達と、あの姉妹の命を守るためには、それもやむを得ない選択なのかもしれない。
「その時は覚悟を決めて相手しましょう・・・・。まずはやつらの拠点の位置を探るのが先決です!」
だがそれは今じゃなくてもいい。最悪その拠点が近い場合、すぐにでもお亡くなりになってもらう可能性はあるがね。本隊に報告されて、即座に猫砦に押し入られても厄介だ。
『拠点を見付けたよ・・・・』
あれから街道を一時間程先に向かうと、やがて男達の拠点と見られる天幕が見えて来た。そこは冒険者の野営地のようで、広く開けた場所で、比較的安全な場所のようだ。
先程の男達と似たような出で立ちの男達が歩き回り、なにやら作業をしている。その拠点には所々に旗が建てられ、どうやらあの旗が、聖騎士軍の旗であるようだ。聖騎士軍の旗には、まるで星のような形のシンボルが描かれていた。
『あの砦までなら歩いて3日はかかる距離だね』
「巨大な水玉でも何個か落とせば、壊滅してくれませんかね?」
巨大な水玉とは、ワタシがデスキャンサーの大群を押し流すのに使った、例の水魔法の【操水】による攻撃だ。
『相手の戦力がわからないうちは手を出さない方がいい。戦闘には魔力を使うし、今はこんな場所で消費している場合じゃないだろ?』
ワタシの目的はあの知恵の実の木を回収することでもある。こんな場所で未知の軍隊と戦い、魔力を消費すれば、最悪ボーロ村には向かうことは出来なくなるかもしれない。それに戦ったとして、どれくらいの時間で討伐できるかもわからない。強い魔術師でも出てくれば、太刀打ちできない可能性もある。
「ボーロ村に急ぎましょう・・・・」
『今はそれが賢明だね・・・・』
ワタシとカロンは敵の拠点の位置を確かめると、次にボーロ村に向かうことにした。
ボーロ村にはあそこから2時間程で到着した。
「やばいですよカロン! すでに聖騎士軍が村に入ってます!」
見ると聖騎士軍の列がボーロ村に続いており、その先はすでに村に入り込んでいた。50人程が入れる小さな村だ。村に入りきれなくなった聖騎士軍の一部が、街道に残されてしまっているのだろう。その人数はざっと見て300人くらいだろうか?
「あそこに村人が集められています! 見た限りではけが人なんかはいないようですが・・・・」
どうやら村人は、村の中央広場に集められ、ひとまとめにされているようだ。座り込むヴェルおじさんと、その家族が上空から、確認することができた。そのすぐ近くにはあのいけ好かないアビィーおばさんの一家も見えた。
『聖騎士軍の指揮をとっているのはあの子だね・・・・』
カロンが指し示す方を見ると、そこには赤毛で気の強そうな、少女の姿が見えた。おそらく貴族であろうその少女は、周囲の兵士達に偉そうに指示を飛ばしているようだ。周囲の兵士達は何やら物資を運び出しているのが見える。
「とりあえず見つからないように、例の知恵の実の木の場所まで急ぎましょう!」
ワタシとカロンは森を迂回して、村の東にあるであろう、岩山に向かった。
岩山に向かうと懐かしの植物庭園の小屋が見えた。植物庭園は、以前ワタシがボーロ村にいたころに、植物の研究をしていた場所だ。そこにはワタシが村に建てた、住居もあるのだ。
「すでに何人かの兵士が入り込んで、木の実や野菜を持ち出し始めているようです」
『大方食料の徴収だろう・・・・。でも知恵の実の木にはまだ気付いていないようだよ』
知恵の実の木は岩山の上の方にある、開けた場所に移動してある。あの場所なら村人にだって、そう見付かることはないだろう。
「それはよかったです!」
ワタシとカロンは知恵の実の木を確認すると、兵士に見付からないように、上空からその位置に向かった。
「とりあえず土ごとこの木を回収します・・・・」
ワタシは知恵の実の木に接近すると、まずは土魔法の【操土】を使い、土ごと根からその木を引き抜いた。そして闇魔法の【黒渦】を使い、知恵の実の木の回収を完了した。
「なんだ!?」
その直後岩山の下の方から、男の兵士の何かに気付いたであろう声が聞こえた。
「しまった見付かったか!?」
とりあえず隠れて、カロンとその様子を窺う。
『岩山の下に小石が落ちたんだ。大方その音に反応したんだろう』
見ると兵士は岩山の下の方を探り、何かがいないか確認していた。ふとこちらを見上げたので、すぐさまカロンとともに身を隠す。
「気のせいじゃないか?」
「とりあえず姫に報告しよう・・・・」
姫とは先ほどの偉そうな少女のことだろうか?
そう言うと兵士は仲間を連れ立って、駆け足で植物庭園を後にした。
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