05:森羅万象のリスク
「君は自分のスキルについて・・・本当に理解しているのかい?」
カロンは呆れたような表情でそう口にした。
それはワタシが再び【森羅万象】のスキルを使うと、発言したからである。それはリスクである、連続使用を行うということだ。【森羅万象】の連続使用は、気絶するリスクがあるのだ。
「大丈夫ですよカロン・・・なぜならワタシは今回、知識のみしか得ていないのですから・・・・」
だが今回に限り、ワタシはそれが当てはまらないと確信している。今までの【森羅万象】の使用には、必ず魔法の習得があった。ところが今回は、知識のみの習得である。そのせいか【森羅万象】を使った負担も、そう感じてはいない。以前なら使った時点で、意識が遠のき、立ち眩みが起こるくらいだったのだ。
「君がそこまで言うのなら・・・【森羅万象】を使ってみると良い。まあ君がその結果気絶した場合の処遇は、ボクに全て任せてもらうことになるけどね?」
それはそれで色々不安を感じるが、今回ワタシは【森羅万象】を使うことで、ワタシの予想が正しいことを、証明しなければならない。
知識だけの習得であれば、連続使用でも、気絶のリスクがないということを・・・・
そして今回ワタシが習得したい魔法は、魔石を自由に操作する魔法だ。
その魔法を使うことで、石のキューブに彫り込んだ魔法陣のくぼみに、魔石を流し込むことで、結界の魔道具を完成させるのだ。
そして【森羅万象】のスキルがワタシの願いを叶え、魔石を自由自在に操作するための、道筋を描き出していく。
その魔法は生命魔法と、土魔法の合成魔法で、【魔石操作】という魔法だった。
こうしてワタシの魔法に、【魔石操作】が追加されたのだ。
習得魔法一覧
水魔法 【操水】
土魔法 【操土】【操鉄】【抽出】
生命魔法 【身体強化】
闇魔法 【黒渦】
精神魔法 【思考加速】
植物魔法 【植物改良】
合成魔法 【魔石操作】
そしてワタシの残り奇跡ポイントが消費され残り3となった。
残り奇跡ポイント3・・・・
「見てくださいカロン! ワタシ気絶しませんでしたよ!」
少しふらつきはしたものの、ワタシは今回の森羅万象のスキルの連続使用で、気絶することはなかった。これで知識のみの習得ならば、森羅万象のスキルを連続使用しても、気絶しないことが証明されたはずだ・・・・。
『それはそうとマヤ。さっそく習得した魔法を見せておくれよ』
カロンはワタシに、期待を込めた表情で、そう催促してきた。
「勿論ですよ! これが新たに習得した魔法・・・魔石操作です!!」
ワタシは【黒渦】に収納してあった、ビッグボアの魔石をいくつか取り出すと、さっそくその魔石に、【魔石操作】を試すことにした。
ビッグボアの魔石は、土属性のオレンジ色の魔石だ。【魔石操作】を使うと、そのオレンジ色の魔石が、まるで生き物のように、ぐにゃぐにゃと形を変えたのだ。
『これは確かに魔石操作だね・・・・。魔石操作は随分昔に、失われた魔法だったはずなんだけどね・・・・』
カロンはその様子を、興味深げに見ながらそう口にした。
カロンの言う昔とは、いったいどれくらい昔のことなのだろうか?
まあそんなことよりもワタシは、目の前の結界の魔道具を、完成させなければならないのだ。
次にワタシは魔石を、まるで糸のように這わせ、魔法陣が彫り込まれたくぼみに、入れていった。全ての魔法陣に魔石が入り込むと、まるで宝石で描いたよな、美しい見た目となる。そして魔法陣が光を放ち始める。それはとても美しい光景だった。
「これで完成ですよカロン! さっそくこの魔道具を四隅に配置しましょう!」
ワタシは完成した結界の魔道具を、500メートル間隔で、四隅に配置した。するとまるで4つの魔道具を囲むように、薄っすらと光る結界が出現したのだ。
その結界は天井にも広がり、真上からの魔物の侵入も、防げる仕様となっていた。
『それじゃあさっそくデスキャンサーをおびき寄せてきて、結界がきちんと魔物を弾くか、試してみようじゃないか?』
「いいですね! やりま・・・・」
気付くと空を見ていた。
コツン! コツン!
いったい何の音だろうか?
「うわ! デスキャンサー!?」
頭上を見上げると、そこにはデスキャンサーがいたのだ。デスキャンサーはハサミを振り上げ、攻撃してくるが、まるでガラスのような何かに、攻撃を阻まれているようだ。
「・・・・あれ? ワタシ・・・寝ていたのか?」
そこでようやくワタシは、自分が仰向けになっていることに気が付いた。
『君は結界が発動した直後に、気を失って倒れたんだよ』
いつの間にかワタシの足元にいたカロンが、そう教えてくれた。
ワタシが気絶した? いったいそれはなぜだろうか? あの時MPは十分にあったし、魔力枯渇なんてとても考えられない。
もしかして森羅万象の連続使用が、時間差でワタシにリスクを与えたのだろうか?
そう考えると、ワタシが気絶した原因は、一番しっくりくる。
『森羅万象の連続使用には、未知の部分が多すぎるから、ボクは使わない方がいいと断ずるよ』
カロンの言うことは、もっともだと思った。どうやらワタシは、この謎の多い森羅万象のスキルを、少し甘く見すぎていたようだ。森羅万象の連続使用は、知識のみの習得であっても、気絶のリスクを招く危険な行為のようだ。二度と使わないように、心がけなければならないだろう。
『それよりもあれを見るといいよ・・・・』
するとカロンが顎を向けて、結界の向こうを指し示した。
カロンの指し示す方向を見ると、見えない壁に阻まれて、こちらにやってこれない、デスキャンサーの姿が見えたのだ。
『結界は成功したようだね・・・・』
ワタシの結界の魔道具は、見事に起動し、魔物を防ぐ結界を発動していたのだ。紅潮する頬が次第に熱く感じて、込み上げてくる感情が、ワタシを奮い立たせる。それを見たワタシは、わくわくして、急にテンションが高くなってきたのだ。
「そうですね! この結界内にこれから、ワタシ達の拠点を建てていこうと思います!」
ワタシはそう口にすると、勢いよく起き上がり、さっそく拠点造りを開始した。
この海辺にワタシは、新たな拠点を、造り上げて見せるのだ!
森羅万象のスキルは確かにリスクはあるが、このスキルを上手く使えば、ワタシはどこでも安全に暮らしていけるだろう。
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