04:特殊なスキルとマヤ
「ワタシ実は、特殊なスキルを持っているんですよ・・・・」
ワタシはカロンに、そう話を切り出した。
海に到着したワタシとカロンは、デスキャンサーの大群に襲われてしまう。だが無事にデスキャンサーの大群を撃退し、今は住処とするこの場所に、魔物が近付かないように、結界を張るという話になっていたのだ。
そこで【森羅万象】を使ったワタシは、街に結界を張る、知識を手に入れたのだ。【森羅万象】で魔法を獲得したことはあったが、知識のみを得たのはこれが初めてだったが、どうにか上手くいった。そして魔法を得るよりも、知識だけを得る方が、その負担も軽く感じた。
これは連続で使っても、気絶をする心配はないかもしれない。
【森羅万象】のスキルは、連続で2回使うと気を失うのだ。それは2回とも魔法を得た時であり、今回のように、知識を得た状態ではなかった。
「そのスキルの名前は、【森羅万象】といいます」
ワタシは次に、その特別なスキルの名を口にした。【森羅万象】の名を・・・・
『【森羅万象】・・・・? それはボクもいまだに耳にしたことのない、未知のスキルだ・・・。でも今さらだねマヤ・・・・。何で今それを話す気になったんだい?』
カロンはワタシが、特殊なスキルを持っていることには、すでに勘付いている節はあった。だがどうしてもワタシは、カロンには【森羅万象】についての詳細を、この機会に明かす必要があると思ったのだ。
「この先カロンとは長い付き合いになりそうですし、スキルを秘密にしていたことで、何かの誤解を招くのも、良くないと思ったからです」
【森羅万象】のスキルで、新たな魔法を唐突に得ることで、重要な魔法を隠していたなどと思われ、信頼を失うなんてことも有り得る。また【森羅万象】は複雑なスキルだ。使えない事態も起こり得るので、これから背中を預けるカロンには、知っておいて欲しいのだ。
『で? 君のその【森羅万象】というスキルは・・・・どんなスキルなんだい?』
「そうですね・・・・。簡単に説明すると・・・・願うだけで望む魔法や知識を、得ることが出来るスキルですかね?」
森羅万象は願うことで発動し、その魔法に関する知識と能力を、ワタシに与えてくれるのだ。また先ほどのように、知識だけを得ることも可能だ。
ワタシがそう説明すると、カロンは懐疑的な目でワタシを見た。
『う~ん・・・・。もしそれが本当なら、君は魔王以上の存在ということになる・・・・。でも荒唐無稽すぎて、その話の内容を簡単に受け入れることができないよ』
そう言いつつカロンは頭を横に振り、否定の意をワタシに示した。
まあ簡単に信じろと言われても不可能だろう。【森羅万象】のスキルは、それ程に壊れスキルなのだ。ただそのスキルに、制約がなければの話だが・・・・。【森羅万象】のスキルには、失敗が有り得るのだ。ワタシの許容範囲を超える、魔法の習得は不可能だし、奇跡ポイントを失えば、使えなくもなる。
「それでは実際にカロンには、ワタシが先ほど得た、街に結界を張るための知識を披露しましょう」
ワタシはそんな懐疑的な様子のカロンに対して、【森羅万象】の効果を見せることにした。
それじゃあカロンには、たまげてもらいましょうかね。【森羅万象】のスキルで・・・!
ドドドドン!
ワタシは最初に、4つの石のキューブを、土魔法で造り上げた。その石のキューブは、各辺が30センチメートルはある、それなりに大きなものだ。その石のキューブは砂で造った物なので、勿論魔力を解けば崩れてしまう。なので半永久的に崩れないように、物資同士の結合の処理も忘れない。土魔法で建築などを行う場合、この処理は必須だ。
『相変わらず見事な古代魔法だ・・・・。でもここまで君が出来るのは、すでに知っているからね。才能のある魔術師なら、幼い時分に、古代魔法を使うことぐらいはよくあることさ』
古代魔法とはその名の通り、古代に存在した魔法で、詠唱を必要としない感覚だよりの魔法だ。古代魔法は習得が困難で、使える者が限られたため、あまり使われない手法だと、カロンから聞いている。その古代魔法をワタシが使える理由は、【森羅万象】で得られる魔法が、古代魔法であるためだ。
「そう焦らないでください」
次にワタシは4つのキューブに、土魔法で魔法陣を掘り込んでいった。その魔法陣こそが、結界を半永永久的に、発動させるための魔法陣なのだ。
『これはまた随分と古い魔法陣だね? ふむふむ・・・・? ここが結界の部分で・・・半永久的な処理を可能にしているのがこの部分だね。確かに魔法陣の内容は正しいようだ・・・・』
どうやらカロンは、魔法陣に関しても詳しいようだ。魔法陣をまじまじと見て、どの部分がどう作用するのか、理解している。
『確かに君のような村の出身の子供が、これ程の魔法陣の知識を有しているというのは、不自然に感じるね。君がスキルでこの知識を得たというのも、あながち嘘ではないのだろう・・・・』
どうやらこの時点でカロンは、ワタシの言葉を信じてくれたようだ。だがそれでもまだカロンは、懐疑的な表情を崩す様子はない。ここまで来て、いったい何がそんなに、信用できないというのだろうか?
『でもこの先はどうするんだい? このままではこの魔法陣は、発動しないと思うけど?』
カロンが気にしていたのは、その魔法陣が発動できるかというものだったようだ。
「当然この魔法陣を作動させるためには、まだある魔法が必要ですよ」
その魔法とは、魔石を操作する魔法だ。ところが今回ワタシは、知識だけを得たわけであって、その魔法が使えるわけではない。そのため再び森羅万象を使い、その魔法を得る必要があるのだ。
「でもその前にカロンには、言っておかなければならないことがあります」
『言っておかなければならないこと・・・?』
「それはワタシが使う【森羅万象】の・・・リスクについてです・・・・」
だがその前にカロンには、【森羅万象】の連続使用のリスクについて、伝えておく必要がある。なぜなら今からワタシは、【森羅万象】を再び使うからだ。
だが今回ワタシは【森羅万象】による、負荷を受けてはいない。それは今回【森羅万象】を使うことで、知識しか得ていないからだ。つまり今回の【森羅万象】の連続使用で、ワタシが気絶することはないと予想している。
だがもしワタシの予想が外れ、ワタシが気絶した場合、その気絶の原因がわからないカロンは、大いに困惑することだろう。そのためにカロンに、【森羅万象】のリスクについて、これから説明するのだ。
「ワタシの使うスキルは、連続で使うことで、気絶してしまうのです」
『なるほど・・・・。過剰なスキルにリスク伴うことはよくあることだね。でもそれを差し引きしても、君のスキルは恐ろしいと心から思うね。なぜなら君がこの世界の滅亡を願うなら、それを可能にする魔法を、習得できてしまうからだよ』
「それはちょっと無理かもしれなせんね・・・・」
以前マヨネーズを創造する魔法を習得しようと、森羅万象のスキルを使って、気絶した記憶がある。【森羅万象】のスキルは、大きすぎる願い事をすると、失敗してしまうのだ。世界を滅ぼす規模の魔法であれば、習得しようとした時点で、また気絶してしまうのではないだろうか?
しかも【森羅万象】のスキルは失敗しても、使用回数である、奇跡ポイントを消費してしまうのだ。そのようなくだらない魔法を、リスクを冒してでも、習得しようとするのは得策ではない。
ワタシはそのことを、奇跡ポイントのことも含め、カロンに説明した。
『なるほどね・・・・。ただ都合が良いだけの魔法というわけでもなさそうだね。まだそのスキルに危険がないとは言い切れないけど・・・・使うのが君だしね・・・・』
するとなぜだか素直に喜べない、納得のされ方をしてしまった。まあ危険がないと判断されたなら、それでワタシはいいのだがね?
お読みくださりありがとうございます!!
マヨネーズが好きな方★
冒険が好きな方★
食べるのが大好きな方★
ぜひコメントをください!
そして面白かったらブックマークと評価をぜひお願いします!
★★★★★いただけたら作者はテンション爆上がりですよ!