03:デスキャンサーの大群とマヤ
眼前に見えるのは、青く美しい空と海・・・・。
どこまでも続くその海と空は、とても雄大だ。
そして真下に見えるのは、わらわらと集まるデスキャンサーの大群である。
ワタシはそんなデスキャンサーの大群を、カロンに跨り、上空から眺めている。
カロンには飛行する魔法があり、そのデスキャンサーの大群が、押し寄せるや否や、その飛行魔法で上空に、逃げ延びたというわけだ。
「さてこの状況・・・どうしたものですかね・・・」
ここから地面に降りて戦うのもいいが、ただ無策であの大群に挑むのも、危険な気がする。なぜなら上空を睨みつけ、ハサミを上に向け、ワタシ達が地面に降りるのを、今か今かと待ち受けるデスキャンサーが、わんさかといるのだ。地面に降り立った途端に、あのハサミで攻撃してくるのは確実だ。
ワタシはステータスを睨みつけながら、どんな作戦でいくか思考を巡らす。
そして今のワタシのステータスが、以下の通りだ。
名前 マヨネーズ
年齢 5歳
HP 15/15
MP 460/460
STR 13
MAG 78
奇跡ポイント 4
スキル 【森羅万象】
習得魔法一覧
水魔法 【操水】
土魔法 【操土】【操鉄】【結晶抽出】
生命魔法 【身体強化】
闇魔法 【黒渦】
精神魔法 【思考加速】
植物魔法 【植物改良】
我ながら、なかなかの成長ぶりである。奇跡ポイントにもまだ余裕はあるし、森羅万象を使ってこの危機を乗り越えるのも得策だろう。だがデスキャンサーごときで、奇跡ポイントを失うのは、どうも割に合わない気もする。
ではこんな作戦はどうだろう?
ワタシは思いついた作戦を実行するために、掲げた指先に、大気中の水蒸気を集めていく。ここは海のすぐ近くとあって、水蒸気の量はとても多いと見える。指先には水玉が出来上がり、ぐんぐん巨大化していく。そして直径10mになろう、巨大な水玉が完成した。
『おいマヤ! それをいったどうするつもりだい!?』
その巨大な水玉を見て、カロンが焦ったようにそう尋ねてくる。
「もちろんこうしますよ・・・・」
ワタシは狙いを定めるように、真下を見回していく。するとワタシがこれから何をするのかを察した、いくらかのデスキャンサーは、カサコソと逃走を始める。
「真水はお好きですか?」
ワタシはそう言うと、一気にその巨大な水玉を、真下に向けて投下した。これ程の水が持つ質量が、一気に襲い掛かれば、どれ程の圧力を生み出すことだろうか?
ザパアァァァァン!!
一気にその巨大な水玉が、質量をもって地面に降り注ぐ。その巨大な水玉は地面に接触すると、一気に波となり、デスキャンサーの大群を押し流した。
「やりい!!」
『ものすごい力技だね・・・・。魔法名で言うならフルートヴェレってとこかな・・・・』
喜ぶワタシをよそに、カロンは呆れた様子でそう呟いた。
「そ~れ~!!」
『あまり無茶しないでおくれよ!』
そう注意を促すカロンの背中から飛び降り、ワタシは地面に降り立つ。その高さは6m強といったところだが、ワタシの身体強化であれば、そのくらいの高さは、平気で直地出来る高さだ。
「まずはどれを目標にしようかな・・・・」
周囲を見渡すと、あちらこちらに転倒し、急所であるふんどしを晒している、デスキャンサーがいた。ワタシは腰に帯刀している、黒塗りの短刀をスラリと引き抜き、標的を見定める。
「彼奴からだ!!」
まずは近くにいるデスキャンサーから標的にして、黒塗りの短刀で、その急所を貫いていく。
ザク! ザクザク! ザクーン!!
「2、3、4匹目!!!」
そして4匹目を仕留めた時点で、周囲にいるデスキャンサーは、全て逃走を終えてどこかに消えていた。デスキャンサーは意外に臆病で、仲間の危機を知ると、真っ先に逃走するのだ。あれ程の大群を仕留めれば、かなりの食料を得られたのに残念だ。
『格上の魔物複数の討伐により、奇跡ポイントに1加算されました!』
だが嬉しいことに、この討伐で奇跡ポイントが追加された。
残り奇跡ポイント5・・・・
『少し強引だったけど、まずまずの戦果だねマヤ・・・・』
そして上空からワタシを褒め称えながら、カロンが降りて来た。
「でもあんな奴らがいたんじゃあ、うかうかと生活もできませんね・・・・。何かいい方法でもあるといいんですが・・・」
土魔法で壁を造り、周囲に建てて行くのもいいかもしれないが、土の壁は固定化しないとすぐに崩れるし、大きな壁を造るのは、それなりに時間もかかる。
『街によっては結界で周囲を覆い、その安全を確保している場合もあるね・・・・』
「結界ですか・・・」
だがワタシには結界に関する知識は全くない。だがもしかしたら、森羅万象に問えば、その方法を示してくれはしないだろうか? しかも魔法に頼らない知識だけなら、負担も小さくなるのではないだろうか?
「街を覆うような結界の作り方が知りたいですね・・・・」
そう考えたワタシは、街の結界を造る方法を、森羅万象に問いかけてみた。
するとなんと森羅万象のスキルは、その知識のみを、ワタシの頭の中に流し始めたのだ。それは知識のみが、次々とイメージとして浮かんでくるという不思議な体験だ。
まず石板に、結界と半永続的な発動を可能にする、魔法陣を掘り込むのだ。魔法陣に関しては、様々な形が存在し、今回は結界を半永久的に出現させる役割の物のみが、ワタシの知識に刷り込まれた。
次に魔物の魔石を用意する。今回は魔石を4つ用意する必要がある。そしてその魔石の属性が全て一致している必要がある。魔石の属性が一致しない場合、この結界が作動することはない。
その魔石を、ある魔法を用いて操作し、粘土のように引き伸ばしながら、掘り込んだ魔法陣のくぼみに、埋め込んでいくのだ。
最後に出来上がった、この4つの石板を、街の四隅に配置すれば、半永久的に作動する結界が完成するというわけだ。
今回ワタシの知識に刷り込まれたのは、こんな感じの内容だった。
そしてワタシの奇跡ポイントが消費され残り4となった。
残り奇跡ポイント4・・・・
「方法はわかりました・・・・」
『そんなはずないだろ? どうやって君が、唐突にそんな高度な知識を得ると言うんだい?』
カロンはそんなワタシに、困惑しながらそう尋ねて来た。
そういえばカロンには、森羅万象のことは話してはいなかった。薄々勘付いていそうなので、今まで黙ってはいたが、これは混乱を防ぐために、少し説明する必要があるかもしれない。
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