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01:聖騎士軍の遠征

 第三者視点~


 その日、聖都にある大聖堂の広場で、創世新教による大規模な集会が執り行われた。


「今こそ我らが聖地・・・・ミトーラを奪還する時なのです!! 皆剣を手に取り、立ち上がろうではありませんか!!」


 その集会で教皇ベサビヒト1世は、現在魔族の支配下にある、聖地ミトーラの奪還を目的とした遠征を、ラークスム王国中に呼びかけたのだ。

 ところが魔物の増加による影響か、各領地は疲弊し、その呼びかけに応じる者は、現れないかに思われた。


 そんな中公衆の面前に、さっそうと現れた青年が1人いた。青年は教皇の前に、うやうやしく傅くと、口を開いた。


「その聖地ミトーラの奪還・・・・必ずやこの勇者シュルケルが果たして見せましょう!!」


 そう名乗りを上げたのは、ラークスム王国第3王子、シュルケル・ラークスムだったのだ。そしてこの時シュルケル王子は、自らを勇者と名乗った。それはシュルケル王子が以前より、勇者と噂される人物だったからに他ならない。

 シュルケル王子の右手人差し指は、青色に輝く宝石があしらわれた、指輪が装着されていた。その指輪は雷鳴の指輪とよばれる国宝の1つである。その雷鳴の指輪こそが、彼を勇者たらしめる証拠の1つであった。

 それは雷鳴の指輪を扱えるのが、王族で唯一、シュルケル王子だけだったからだ。そして彼は雷鳴の指輪を装着した時分から、勇者の名乗りを上げ始めたのだ。


「おお! 雷鳴を操りし寵児よ! 其方こそ真なる勇者である!」


 そんなシュルケル王子を、まるで台本にあったかのように、教皇が称えた。


「「わあああああああ!!」」


 そしてその教皇の言葉に、民衆が沸き立つ。

 こうしてシュルケル王子は、勇者として魔族領遠征に赴く、大義名分を得たのだ。

 ところがシュルケル王子が遠征の参加者を、遺族や、各地の有力者から募るが、一行にその参加者が集まることはなかった。それはシュルケル王子の人格が影響しているのだが、それを本人が自覚しているわけもない。


 そこでシュルケル王子は魔術学園又は、騎士学園から、貴族平民問わす、参加者を募ることにした。魔術学園や騎士学園には将来有望な学生もおり、すでに魔術師や騎士として、活躍している者もいた。ところが集まってみればその参加者も少なく、更なる募集が必要となった。


 次にシュルケル王子が目を付けたのは、罪を犯し、現在潜伏中であった、国中の山賊やならず者であった。シュルケル王子は、恩赦などを条件に、山賊やならず者にも声をかけ、その勢力の拡大を図ったのだ。

 最終的にその勢力は2万にもおよび、シュルケル王子は率いるその軍勢の名前を、聖騎士軍と名付けたのだ。





「「「わああぁぁぁぁああ!!」」」


 あれから数ヶ月後、民衆の声援が鳴り響く中、聖騎士軍の行進が執り行われた。人々は誰しも、聖騎士軍を希望の眼差しで見つめていた。それはこのラークスム王国が、貧しく、魔物の多い土地だからである。聖騎士軍の遠征で聖地ミトーラが奪還されれば、肥沃で魔物がいない、魔族領の一部もラークスム王国の領土となるのだ。人々はその領地に、希望を見出していたのだ。

 

 その聖騎士軍を率いているのが、勇者と目されているシュルケル王子であることは言うまでもない。第3王子である彼は、雷の魔法を使う、魔法剣士でもあるのだ。そして彼に直接仕える者達は彼を含め、勇者パーティーとよばれていた。

 勇者パーティーにはシュルケル王子含め、6人のメンバーがおり、それぞれ部隊が任されていた。

 ますメンバーの一人目が、先ほど紹介にあったシュルケル・ラークスム第3王子である。彼は第1部隊を率いるとともに、聖騎士軍の総大将でもある。


 メンバーの2人目が、教皇の派遣した熟年の司祭、グレゴリウス・ボルジアという男だ。その神聖魔術の腕は、本人曰く、国一であるという。彼は第2部隊を任されている。


 そして3人目のメンバーが、王国からの派遣で第2騎士団を率いてやってきた、騎士団団長ゴドフロワ・ブイヨーンであった。長身の彼は、騎士の鎧に身を包み、その鍛え抜かれた体は、歴戦の戦士そのものだ。現在グレゴリウス率いる第2騎士団は、第3部隊と名を変え、聖騎士軍に属している。


 4人目のメンバーは長身で貫録のある体型の、山賊やならず者を率いる、大盗賊サッチャーだ。髭面の強面の男で、数々の犯罪に手を染めた、大悪党でもある。彼は馴染みの山賊やならず者を集め、第4部隊を構成していた。


 5人目のメンバーは、元凄腕の剣士であり、国一番と称されていたが、ある事情により山賊に身をやつしていた、マークベンという優男である。彼は軽装の剣士で、細身のロングソードを好んで愛用している。長髪で無精ひげを生やし、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべた男だ。ただし彼の統率力は皆無で、任された第5部隊の全てを、自らが任命した副隊長に任せているという。


 最後の6人目が、齢10の若年にして魔術学園を主席入学した、現在12歳である、天才魔術師フェリアンヌ・オルブラントである。彼女は公爵家の一員であることから、一部隊の指揮を任され、嫌々ながらもその遠征に参加している。彼女が率いるのは第6部隊だ。

 

 こうして魔族領遠征は、無事に開始されるかに思われた・・・・。

 

 ところが山賊やならず者を招き入れたのが仇となったのだ。

 もともと人格に問題のあったシュルケル王子は、山賊やならず者とつるむことで、さらにその人格を歪ませていったのだ。そんな聖騎士軍が、まともに機能することなどあるはずもない。聖騎士軍の大半の部隊が、悪辣な部隊と成り下がったのだ。


 聖騎士軍は各領地から食料や物資を徴収する際に、略奪まがいの行為を始めたのだ。その徴収は苛烈を極め、断る街や村には、容赦なく火をかけるなどの行為を行った。

 そんな中でもフェリアンヌ・オルブラント率いる第6部隊は、まともに機能する、善意ある部隊であったが、それ以外は似て非なるもので、特にシュルケル王子率いる第1部隊と、サッチャー率いる第4部隊は悪辣であったという。


 中でもシュルケル王子の部隊は、差別対象の獣人、又は徴収を断った街や村に対しては、容赦なく攻撃し、虐殺を繰り返し、壊滅させるという非道な行為に及んだ。

 サッチャーの部隊は言うまでもなく、問答無用で略奪殺戮行為を繰り返していた。


 そんな中、シムザスの街から海に向かう途中の街道に、ある平和な獣人の村があった。その村の名を皆、ラザ村とよんでいた。

 そんなラザ村には、平和に暮らす、犬の獣人の一家があった。

 一家は4人家族で、狩人で父親のオードを中心に、妻のサロン、長女のマール、幼い次女のメルとともに仲睦まじく暮らしていた。


 そんな獣人の一家に、ある時不幸は訪れた。


 聖騎士軍の部隊が、戦時の物資の徴収に、ラザ村に訪れたのだ。しかもその部隊が不幸にも、あの悪辣で名高い、シュルケル王子の部隊ったのだ。


 シュルケル王子は馬に跨り、兵を引き連れて、ラザ村の目前に迫る。


「殺しつくせえええええ!!」


 そしてシュルケル王子は、獣人の村と見るや、下卑た笑みを浮かべつつ、ラザ村への攻撃命令を下した。

 お読みくださりありがとうございます!!


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