18:操鉄とマヤ
ペトラちゃんの件では、少しお説教を受けてしまったが、その後にヴィルおじさんは、ワタシに相談事を持ち掛けて来た。
「最近お前のつくった野菜や果樹を自らの畑に植えようと、村の連中が張り切って畑仕事をしているだろ?」
ワタシのつくった果樹や野菜は、すでにいくつか公開していて、それらを育てたいと申し出て来た村人達がいたのだ。ヴィルおじさんの言う張り切っている連中とは彼らのことだろう。
「そのおかげで農具の破損が多くなってきていてな・・・・」
村で使われている農具は、その多くが木製だ。木は加工しやすく、安価なため、この貧しいボーロ村でも、比較的簡単に木製のものは手に入るのだ。だがその反面、木製の道具は壊れやすくもある。
「それではそろそろ鉄製の農具に手を出して見られてはいかがですか?」
「無理だ・・・・。鉄製の農具なんて高価すぎて、この村では手に入らないし、領主様から融通されることもないだろう」
この領地の領主はケチで有名だ。そんな領主に相談しても、追い返されるだけだろう。なら自分で造ってみるか?
鉄を操る魔法があれば、ワタシにも農具くらい、造れるかもしれない。
「ちょっと試してみます・・・・」
ワタシはそう言うと、そこらで拾った錆びた鉄の破片を取り出した。
「それは?」
『また例のやつをやる気かい?』
カロンにはいまだに、【森羅万象】のことは話していない。だが幾度となく目の前で使ってみせたので、その存在には気付いているのだろう。
鉄も石の一種なら、【操土】で動かせないかと考え、何度か挑戦したことがある。だがその試みは失敗し、鉄を動かすことは出来なかった。
それなら【森羅万象】のスキルを使い、それを願えば、あるいは上手くいくかもしれない。
そしてワタシはこの願いに、【森羅万象】が失敗しない確証があった。鉄の製品ならこの世界にも既にあるし、ワタシが魔法でそれを、造れない道理はないだろう。
「やったできた!」
ワタシが錆びた鉄の破片の形を、変えたいと願うと、その道筋が頭の中に、イメージとして描かれていく。それは【操土】を強力にした魔法で、【操鉄】という魔法だった。
習得魔法一覧
水魔法 【操水】
土魔法 【操土】【操鉄】【結晶抽出】
生命魔法 【身体強化】
闇魔法 【黒渦】
精神魔法 【思考加速】
植物魔法 【植物改良】
残り奇跡ポイント4・・・・
「お前その魔法は!?」
『操鉄だね? すごく高度な土魔法だ』
ワタシは錆びた鉄の破片を、彼らの前で、ぐにゃぐにゃと形を変えてみせた。
「どこかに鉄くずか、鉄の鉱脈はありませんかね? この操鉄で鉄を操って、農具を造りましょう」
「それなら赤い鉄の鉱脈を含んだ地層が、少しだけならこの村にもある」
「では明日にでもその場所へ案内していただくということで・・・・」
翌日朝早くに、ワタシはヴィルおじさんに連れられて、その鉱脈に向かった。
鉄の鉱脈は、村に面した岩山の一部に含まれており、それなりの量が期待できた。
「今までよく誰も手を出しませんでしたね?」
「危険の多いこの村に、この程度の量の鉱脈を取りにくるにはリスクが高すぎるからな」
「この村は危険なのですか?」
「経験したろお前も? ビッグボアに殺されかけたろ?」
そうだった。ワタシは以前この村に乱入してきた、ビッグボアに殺されかけたんだった。これは鉄の農具とか言う前に、村の周囲の防壁を固めた方がいいのでは?
まあ鉄の鉱脈を目の前にして、今更防壁造りに変更なんて、できなかったがね。
「・・・・操土!」
まずは土魔法の【操土】を駆使して、岩山の赤い部分を抽出して、目の前に山のように集めていった。すると赤い砂山が、目の前に出来上がっていく。
次に集めた赤い砂から、【結晶抽出】を使い、鉄の結晶と思われる物質を抽出していく。
するとごつごつとした、鉄の結晶を含んだ鉄の塊が、目の前に集まった。鉄の結晶は初めて目にするが、不揃いな感じの、カクカクした物ばかりだ。
そしてその鉄の塊から、【操鉄】で鍬を造ってみた。
「まてマヤ・・・・。全部鉄製にしてしまったら、重くて村人には使いづらい・・・・。せめて柄の部分は木製にしよう」
試作した100%鉄の鍬は、お気に召さなかったようだ。
そこでヴィルおじさんの用意した、木の棒を使って、農具を造っていくことになったのだ。
農具が粗方完成してヒマになったワタシは、今度は自分の身を護るための、武器を造ることにした。今までにも短剣は借りていたけど、いつまでも借りものというのも気が引けるからね。
「黒塗りの短刀完成!」
そして完成したのが、この黒塗りの短刀だ。
背の小さなワタシには、短刀が使いやすいと思い、この黒塗りの短刀を造り上げたのだ。
鉄は多めに使い、圧縮して丈夫さも増した。その分重くもなったが、その重さがまた身体強化を使ったワタシには丁度いい。
刃も微小な形の、のこぎりのような構造にして、鋭さを付けてみた。黒塗りの部分はやってみたら出来た。ようは酸化のイメージだ。
鞘も黒塗りの鉄製で、なかなかかっこいいものに仕上がった。
シュン!
「見てくださいカロン! 居合抜きですよ!」
ワタシは調子に乗ってカロンに、居合抜きを披露した。
前世で密かに練習を重ねた居合抜きは、身体強化を加えることで、さらにその鋭さを増している。まあ前世で居合の真似事をしたのは竹刀だったし、今は本物の刀だから、余計にかっこよく見える。
『その攻撃の合間にわざわざ鞘に戻す無駄な動作はなんだい?』
「このかっこ良さがわからないとは・・・・やっぱりカロンは猫ですね・・・・」
まあ実戦中に、わざわざ抜いた刀を、鞘に納めるようなことは、しないだろうけどね。あれはゲームかアニメの技だよね。かっこいいけど・・・・
「マヤ・・・・大変だ・・・・」
あれから3ヶ月が経過したころ、ヴィルおじさんが、再び血相を変えてやってきた。今度は何だ?
「村長が視察にやってくる!」
あのシムザスの街にこもりきりの村長がこの村に視察に? なんで今頃この村なんかに視察にやってくるのだろうか?
「あ! もしかしてワタシの創った植物目当てか!?」
ワタシはすでに村中にばらまかれた、ワタシの植物達を眺めながら、そう思い至っていた。
この3ヶ月でこのボーロ村には、ワタシの【植物改良】の魔法の手助けもあり、ワタシが創造した植物達が、各家々の畑に溢れかえっていたのだ。
すでにボーロ村中が、ワタシの植物庭園のように、姿を変えていたのだ。
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