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15:植物魔法【植物改良】とマヤ

「魔法で新たな麦を創るなら、ぜひこの麦を使ってくれ」


「ワシからはこの麦じゃ・・・・」


 ワタシが米の研究をしたいと申し出ると、村人達は喜んで麦の種もみを譲ってくれた。

 この村で種もみと言えば、大変貴重なものだ。だがこれまでのワタシの活躍が、功を成したのか、村人達は進んで種もみを、ワタシに差し出してくれたのだ。


 研究に使う畑の土地は、【操土】で村の岩山を切り開いて造った。この村では自分で切り開いた土地は自分のものになるので、もうその土地はワタシの土地と言っても良い。


 ワタシは麦を使い、【森羅万象】のスキルで、米を作りたいと考えたのだ。

 米はもちもちとして、粘り気があり、柔らかいのが特徴だ。その特徴をイメージしながら、麦の成長を願っていく。


「植物改良?」


 その結果得た魔法が、植物魔法の【植物改良】だ。


 習得魔法一覧

  

  土魔法 【操土】【結晶抽出】

  生命魔法 【身体強化】

  闇魔法 【黒渦】

  精神魔法 【思考加速】

  植物魔法 【植物改良】


 残り奇跡ポイント3・・・・


 【植物改良】は望むとおりに、植物を成長させる魔法で、その成長も急速に行われる。対象は植物の種子で、育ち切った物には、成長促進の効果はあるが、それ以外の効果は見られないという。


 そして【植物改良】を使った麦は、粒が大きくなり、平たい形となっていた。


 ただこの改良麦1本だけでは、試食するにも心もとない。その数を増やす必要があるだろう。その数を増やすには、最初にできた種もみを、全て育てきる必要がある。


 ただ【植物改良】の魔法を使えば、植物の成長の促進も行うことが可能なのだ。そこでこの改良麦は、出来るだけ【植物改良】の魔法を使い、育てることにしたのだ。その方が普通に育てるよりは、早く育つとワタシは考えた。


 ところが【植物改良】の魔法は、消費魔力が激しい。この作業には数日を要した。それでも普通に種もみを育てるよりは、断然早く育てることができた。


 米作りの仕上げには、脱穀、籾摺り、精米の工程がまだ残されている。この村ではどの工程も手作業で、大変な作業だ。だがワタシには、土魔法の【操土】がある。以外にも【操土】で中身の胚乳だけを取り出すことが可能だった。そして中身の胚乳だけを取り出せば、あっという間に3つの工程を終えてしまうのだ。

 そしてついに、米もどきの改良麦、試作第1号が、完成したのだった。

 

「若干茶色い?」


 それは前世で見た米とは違い、若干茶色い色をしていた。しかもその見た目は、やはり米とは違い、麦そのものの見た目だ。中央に独特のラインがあり、それが麦らしさを、主張しているのだ。


 さっそくその茶色い改良麦を、炊いてみることにする。前世とは違い、炊飯ジャーがあるわけではないので、その炊く作業も、焚火の火と鍋だよりとなる。

 昔キャンプでカレーを作った時に、キャンプ用飯盒でお米を炊いたことがある。その経験を生かして、炊いてみることにする。


「上手く炊けたかな?」


 パカ・・・・


 炊き上がったら、焚火から鍋をよけ、蓋を開け、その中身を確認してみる。若干周囲は焦げ付いたが、その炊け上りは、悪くないものに仕上がった。

 さっそくしゃもじにその麦を乗せ、味見をしてみる。

 

「もくもく・・・・まあ悪くはないかな・・・・?」


 それは前世で食べた米には、及ばないまでも、もちもちとした食感と、粘り気があり、悪くない感じではある。気になる点は、ぼりっとした食感が若干あることと、ざらっとした舌触りがあることだろうか。

 今後はその辺りの改善を心がけながら、【植物改良】の魔法を、さらに重ね掛けしていこうと思っている。 

 

「これは美味い麦だな!」「普通麦を炊いたりしても食感が悪くて、食べられたものじゃないぞ!」


「もちもちしていて甘みもある!」「最高の麦だ!」


 村人にその米を振舞ってみたところ、思ったよりも好評だった。


「ならこの粒が平たいし、もちもちしているから、ヒラモチ麦でいいんじゃないか?」


「なるほど・・・・ヒラモチ麦ですか・・・・」


 その麦は村では、ヒラモチ麦と呼ばれるようになった。

 ワタシが植物魔法で手掛けたのは、ヒラモチ麦だけではない。ヒラモチ麦はあくまで成功例の1つにすぎないのだ。


「この小さくて柔らかいペーダの実すごく甘いね!」


 現在ペトラちゃんが口にしているのは、ワタシがペーダの実に【植物改良】を使って、創り上げた、甘みだけを引き上げたペーダの実である。

 ペーダの実は糖度を重視したところ、その大きさは縮み、黄色いリンゴのような見た目に変化したのだ。

 食感は極度に柔らかく、まるで熟れ切った柿のようである。ただ聞いたところ、そのようなやわらかい実は、長持ちしないため、保存には向かないようだ。そこで砂糖に加工して、残りは肥料にすることになった。そのあまりの甘さから、そのペーダの実を、皆シュガーペーダとよぶようになった。


 それによってワタシは、気軽に砂糖を、入手できるようになったのだ。


 それだけで面白くないので、ワタシは前世の知識から、ペーダの実を使い、あの赤いリンゴを、創り出すことにした。


「赤くてちょっと光ってる!」


「確かに良く見れば、光っているような気もしなくないです」


 そのリンゴは若干赤光りしてしまっているが、味は間違いなくあのリンゴの味だ。しかもシュガーペーダまではいかなくても、ペーダの実よりは断然甘い。


「甘くてしゃりしゃりしてて美味しいね!」


 その実はペトラちゃんのお気に入りとなり、毎日ワタシの植物庭園に、食べにくるようになった。呼び名はワタシがリンゴとよんでいたので、今のところそのままリンゴとよばれている。


 ちなみに植物庭園というのは、ワタシが村の岩山を切り開いてつくった土地で、植物の品種改良場に使っている場所である。

 今ではそこにはワタシ専用の小屋もあり、そこで寝泊まりすることも多くなっているのだ。


 他にはビーラーの実の糖度を上げ、ぶどうのような木の実や、ブルーベリーのような木の実も開発した。

 その見た目からその木の実は、ブラックビーラー、ブルービーラーなどと、呼ばれるようになっている。

 胡椒を創ろうとして巨大な食虫植物が出来上がり、失敗もしたが、それはそれで害虫駆除などの役に立っているので、許容範囲である。

 他にも前世の記憶にある野菜を、次々と再現しようと試みて、さまざまな野菜を、野菜庭園に追加していった。すべて元の野菜のモドキではあるが、どれも味も見た目も、悪くない仕上がりである。

 

 そんなわけで畑を維持する過程で、水も必要となってきた。だが川や湖のないこの村では、水も大変貴重な資源だ。この村では井戸や雨水からしか、水を得られないのだ。

 

『新たな美食との出会いにより、奇跡ポイントに2加算されました!』


 そして今回奇跡ポイントを2ポイント得ることができた。

 今回は多くの食材を生み出したとは思うのだが、そのほとんどが、美食とは判定されなかったのか、加算には至らなかったようだ。

 ヒラモチ麦は若干遺恨を残す結果となったし、開発した木の実は甘みが増したものの、前世のフルーツと比べてまだ劣る部分があった。

 唯一驚かされたのが、シュガーペーダの甘みくらいだった。

 

 この美食との出会いの加算は、明確な条件が、いまだによくわかっていない。

 なので残り1ポイントの原因は、見当もつかないのだ。


 残り奇跡ポイント5・・・・


 お読みくださりありがとうございます!!


 マヨネーズが好きな方★

 冒険が好きな方★

 食べるのが大好きな方★


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