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長女ってめんどくさい

 「ママなんていらん!大嫌い!!」


 「そんなこと言う子はもう知らん!!」



 長女は8歳、次女とは5歳離れていて、

 長女が生まれた時は両家にとって初孫だった。

 めちゃくちゃ可愛がられた。

 うちの母なんて、うちの家に遊びにくるたびに長女に服を買ってたし、

 長女が欲しいと言うものはなんでも買い与えていた。

 みんなに愛され、ちやほやされて育った。


 そんな長女に妹が生まれた。

 長女は5歳だった。



 陣痛が来たのが夜だった。予定日より一週間早かった。

 長女が寝る前だったので

 旦那に車で産婦人科まで送ってもらった。

 コロナが流行っていた時期だったので立ち会い出産も入院中の面会もできないようになっていた。

 産婦人科に着いて私が車から降りれば長女とは五日間は会えない。

 私は長女と1日たりとも離れたことがなかったので

 めちゃくちゃ寂しかった。泣きそうになった。

 けど、長女は「ママ!頑張って赤ちゃん生んでな!」と意外とあっさりしていたので

 私がここで泣いてしまったら長女もつられてしまうかも。と思い我慢して

「頑張ってくるね!」と言って車を降りた。


 分娩室に入るとめちゃくちゃ寂しくなった。

 泣いてないかな?パパと二人でねれるかな?寂しくないかな?大丈夫かな?と・・・

 けど、陣痛も強くなるにつれてそれどころじゃなかった。


 次女が生まれたのが早朝だった。

 パパは起きてるかも。と思ったので、電話した。

 すると長女も着信音で起きたみたいで

 長女の声が聞こえたので、電話を代わってもらった。

「ママぁ?」と少し寂しそうな長女の声、

 それ聞いた瞬間、私も泣きそうになったけど、グッと堪えて

「ちゃんと寝れた?ママ、頑張って赤ちゃん産んだよ。赤ちゃん元気だよ。」と言うと

「え!?もう生まれたん!?おめでとう!!!」と寂しい声から一瞬で嬉しそうな声に変わった。

「うん、ありがとう。今日、保育園お休みするんでしょ?パパとお買い物楽しんでね」と伝えて

 電話を切った。


 産後の処置が終わり、私は個室に移った。

 常に長女のことが気になり、旦那にいつもLINEで「大丈夫?」とか「何してるの?長女の写真送って」と送っていた。

 今考えれば結構しつこかっただろうなぁ。笑 でもそれくらい長女のことが心配だった。

 まだ5歳で、かなりのママっ子。私以外とはお風呂にすら入らないし、寝る時も私以外はダメだ。

 家の中でも少しの時間でも私の姿が見えなくなるだけで泣いていた。

 保育園の送迎も私じゃないとダメだった。そのくらいのママっ子だったから、

 きっと家に私がいなくて寂しくてずっと泣いてるんじゃないか。と心配だった。


 けど、長女は妹が生まれたことですぐにお姉ちゃんになった。

 旦那が送ってくれる長女の様子と長女の写真を見たらパパと仲良く過ごしていた。

 私はそれを聞いて安心したけど、少し寂しかった。

「あぁ、もう私がいなくても平気なのね」と。

 それから私が入院している間の五日間は旦那と長女は旦那の実家に帰ってそれはそれは楽しい時間を過ごしたらしい。


 退院の日は旦那と長女が迎えに来てくれた。

 家に帰ると長女に次女を抱っこさせた。

 長女は目をキラキラさせながら初めてできた妹に「可愛いねぇ」と何度も言っていた。

 私の目に映る長女と次女は本当に可愛くて、愛おしく思った。


 長女は次女のことを本当に可愛がっていた。

 そんな長女に私たちも甘えていた。

 5年ぶりの赤ちゃんにみんな長女の前でもめちゃくちゃちやほやしていた。

 本当はそんな光景を見て長女は寂しいと思っていたなんて私たちは気づいてやることもできなかった。

 何かあるたびにみんな長女に「お姉ちゃんでしょ」が口癖になっていた。


 次女は大きくなるにつれて長女のおもちゃを取ったり、おもちゃを壊したり。

 そうゆう行動が増えると当たり前に長女は次女が鬱陶しく感じるようになってきた。

 おもちゃを壊された時には「妹なんかいらんかった!!」とかよく言っていた。

 それを聞いた私たちは長女を叱っていた。

「なんでそんなこと言うの!かわいそうでしょ!!壊されたくないならちゃんと片付けなさい!」と。

 長女よりも次女を庇うことが増えていった。


 そして次女が1歳と5ヶ月のときに三女が生まれた。

 長女は次女の時みたいに三女のこともすごく可愛がった。

 泣けば一番に三女のところへ行き、「どうしたの?お腹すいたの?おむつ?」なんて

 お母さんになったみたいにあやしたり、

 6歳になっていた長女は三女を寝かしつけることまでできるようになった。

 私たちはまたそんな長女に甘えていた。


 1歳でお姉ちゃんになった次女が「かわいそう」だという感情から

 次女ばかり構うようになっていた。

 6歳の長女はもう大きいから私たちの感情や気持ちは分かってくれるだろう。と勝手に思い込んでいた。

 まだまだ6歳なのに。


 長女が小学校に入学した。

 緊張と日頃のストレスからか、長女の中のキャパがオーバーしてしまい、

 入学した次の日の下校後に長女が爆発した。


 家に帰ってくるなり、ただいまも言わず、ランドセルを投げ捨て、すごく態度の悪い長女に私はキレた。


「は?何その態度。なんでただいまも言えないの?ランドセル雑に扱うとか許さないよ。

 そのランドセルいくらしたと思ってるの?じいじとばあばが一そのランドセルのために生懸命仕事してお金稼いで買ってくれたのに!!いい加減にして」

 めちゃくちゃむかついた私は早口で長女に頭ごなしに怒鳴った。


 さすがに反省するかと思ったら


「うるさい!!もう私のことなんてどうでもいいんやろ!私なんていらんのやろ!!

 ママやパパやじいじばあばもみんな私のことなんて嫌いなんやろ!!

 いっつも次女と三女に構ってばかりで私と遊んだりしてくれんやん!

 次女と三女がおればいいんやろ!もう私なんて死んでもいいんやろ!

 生まれてこんければよかった!!もう死ぬ!!!」


 今までに見たことのないくらい長女は泣き叫びながら

 入学式と今朝の二回しか付けていない名札を服から無理やり引っ張って安全ピンを壊した。

 私は長女からの一生懸命な訴えよりも、名札を壊したことに頭が更にカッとなってしまい

 長女の頬を叩いてしまった。

 その瞬間「あっ、やってしまった……」と思った。

 長女は更に激しく泣きながら「ごめんなさい」と何度も謝ってきた。

 少し冷静になった私は

「こんなに可愛いのに、あんなに死ぬ思いで頑張って産んだのに、

 死ぬ思いで生まれてきてくれたのに。すごくすごく大事な子なのに、

 死ぬなんて言わないでよ。」と言葉と同時に涙も溢れ出てきた。


 まだ7歳でまだまだ子供の子に「死ぬ」なんて言わせるようにしてしまった私たち親は最低だ。


 たまに長女と二人だけでおでかけしたり、映画見たり、美味しいもの食べたりしていたけど、

 多分長女はそれだけじゃ寂しい気持ちは満たされていなかったんだと実感した。


「ごめんね、ママやパパが悪かったよね。あなたの気持ち考えてなかったよね。寂しかったんだよね

 教えてくれてありがとうね。

 今度からは思ったことをその都度、ママやパパに教えてくれると嬉しい

 ママやパパやじいじやばあばはあなたのことを嫌いになったんじゃないよ。

 可愛くてすっごく大切なんだよ。ごめんね、本当にごめんね」

 そう言うと長女は泣きながら「うん、うん」と頷いていた。


 その日の夜、三姉妹を寝かせた後、私は長女の手を握りながら指で手のひらをさすった。


 「いつの間にこんなに手が大きくなったんだろう。あんなに小さくて柔らかかったのに。

 鉄棒や登り棒頑張ってるって言ってたもんなぁ。硬い豆がたくさんできてる。

 というか、この子と手を繋いだのはいつぶりだろう」

 そう囁きながら私はまた涙が溢れてきて止まらなくなった。

 「ごめんね、ごめんね、お姉ちゃんになりたくてなったわけじゃないのにね。

 まだまだ甘えたかったんだよね、気づいてあげられなくて本当にごめんね。

 頬も痛かったよね。ごめんね、ごめんね」

 声を押し殺しながら泣いて長女の頬をさすった。


 


 そんな大事件があったにも関わらず、今でもほぼ毎日長女と私は喧嘩をする。

 

 「ママなんていらん!!大嫌い!!」


 「そんなこと言う子はもう知らん!!

 

 その後に仲直りはするけど、

 喧嘩した日の夜に長女の寝顔を見ながら

 「今日も怒ってごめんね、大好きだよ」といいながら頭をさする毎日。


 私もまだ母親になって8年。毎日が勉強。

 正解がわからない育児に疲れたり、嫌になることもあるけど

 毎日子供達の笑顔が見れれば、それが正解なんだと思うことにしている。

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― 新着の感想 ―
 子どもって、親御さんが弟や妹にかまけるようになると、知らず知らずのうちに寂しさを堪えてため込んでしまうのですね。  私も甥っ子を一時預かってた時、あの子をきつく叱ってしまったことがあります。その夜…
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