第3話:雷と炎、ぶつかりあう二人
「おい、サンダー坊主。調子こいてっと火傷すんぞ」
火を纏う少年――レイ・カグツチは、皮肉めいた笑みを浮かべながら俺を睨んでいた。
「レイ・カグツチ、召喚系・火属性特化。成績は全体3位。
実戦スコアも高く、あのクソ教官ですら『炎の狂犬』って呼んでるくらいだ」
隣で情報をひそっと囁いたのは、情報分析特化型の少女・シェリス。
透き通る銀髪に、機械の義手。感情は薄いけど、頭は回る。
「オレはレイ。お前はアラト、だったな」
「そうだ。雷属性の異世界人――転生者だ」
「転生者がどれほどのもんか、試してみたかったんだ。お前の召喚獣、扱えるようになったか?」
その言葉に呼応するように、俺の背後で雷が鳴った。
《雷迅のグリム》が唸り声を上げ、炎の気配に牙を剥いた。
「行け、グリム!」
「おもしれぇ!」
レイもまた、炎獣を召喚し、俺たちの初の【模擬戦】が始まった――!
◆ ◆ ◆
雷と炎、轟音と熱風が訓練場を包み込む。
だがただの力勝負じゃない。機動力、魔力制御、そして召喚獣との連携。
そのすべてが要求される高難度バトル。
「やるな……雷の軌道、読みにくい……!」
「お前も、ただの火使いじゃねぇ。速度と操作、えげつねぇな!」
お互い息を切らせながらも、笑っていた。
その瞬間、訓練場のスピーカーから声が響いた。
「訓練停止。アラト・レイ、共に戦闘評価:Sランク。
即日選抜チームへの配属が決定。集合せよ」
「……へぇ、Sか。オレと組むなら、せいぜい足引っ張んなよ、雷坊主」
「そっちこそ、火傷すんなよ」
雷と炎、真逆の属性を持つ二人が、最前線へと駆り出されることになった。