選択の行方
選択の行方は─!?
果たして─
─第4話A─
『リン!危ない!!』
そう声を掛けつつも、大きな鎌を持った人型の腹に向けて持っていた短刀を突き刺すと、タックルをしながら193型から離す事に成功していた。
『193!リンを!!』
相手と共に倒れる間際に、リンを見据えながら叫んだレンの言葉に反応した193型は、リンと刀の間に入る様に立ち塞がると、リンを突き飛ばし、その刀の一撃を自身の右肩で受け止めていた。
その光景を見ながら素早く立ち上がるや、間合いを一気に詰めたリンが、刀を持った人型に突進して行く。
リンは自身の持っていた左手の短刀で、相手の刀を持つ右手に対して一撃を加える。
衝撃で、腕が一瞬上下に揺れるのを見逃さずに、そのまま回転しながら、右手の短刀で背中を刺していた。
ジジジジジ……。
刺された背中からは、明らかに人間の物ではない音が聞こえ、目の前の相手がカナではない事を告げていた。
レンの方も素早く立ち上がるや、鎌を持つ手を踏みつけながら腰に装備していた特殊スタン棒を、先程の短刀による刺し傷を負っていた、大きな鎌を持った人型の腹にねじ込むと、躊躇もなくスイッチを押す。
高圧電流を体に流され、内部からスパークした人型は、それ以降動く事はなかった。
よろめきながら、目の周りを点滅させて片膝を付いた刀を持った人型の背中にも同様に、スタン棒をねじ込むと、スイッチを押した。
『カナ……では、なかったね。』
安堵の表情を浮かべるレン。
もしかしたら、、と考えてから、口に出す事を辞めた。
それよりも、193型は?と、目を向けると右肩を刺され、右手がブラブラしている。
修理をしなければダメだろう…。
これ以上、無理をさせる訳には行かなかった。
ジャンク屋の2人が隠れる所まで戻ると、レジスタンスメンバーも到着し、5人程が合流していた。
そのメンバー達に、前方で倒れる人型の回収をお願いしつつ、ジャンク屋の2人にも声を掛ける。
『もう、ココも安全ではないね。』
そう話すと、頭に手を起きながら、今後は仕入れには行かない様に!と忠告をしてから、2人を送り届ける事にした。
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ネリ博士事務所─
『この人型はどこで手に入れたんだい?』
事務所へ戻ると、博士の質問攻めが待っていた。
ジャンク屋の仕入れに付いていく事から始まり、戦闘の様子から、手に入れた経緯に至るまでの説明をもう一度、最初からする事になった訳だが。
『ふむ。とても興味深いな。少し、解析させてもらうよ。』
そう言うと、博士の目は子供の様にキラキラと輝いていた。
早速、目の前に横たわる敵の人型についてあれこれ弄り始めた博士は、解体していた作業の続きを忘れたかの様に、新しい玩具を与えられた子供の様に、夢中になっていた。
そんな様子を微笑ましく見守るレンと、生温かい目で見守るリン。
『193の修理もいつになる事やら。。』
呆れるリンをたしなめつつも、さっきは戦闘に必死で最後まで見れていなかった事を思い出し、端末を見ると位置情報の他に、間取り図の様な物も添えられ、コチラはまだ元気!と、メッセージが締め括られていた。
きっと、カナは生きている。
確信に変わった瞬間だった。
もしかしたら……と、考えていたカナではなかった事に安堵の表情を浮かべつつも、必ず助ける決意を固めたレン。
どの様な未来が待つのか─!?
今後の展開を、お楽しみに─