80
神様仏様ヒドゥラ様・・・、ん?
-80 マジなの?-
思ったより大掛かりな作業だった事にかなりの高額を覚悟してサイフを開く秀斗、しかし結愛からの返事は意外な物だった。
結愛「いらねぇよ、こいつも趣味だって言っているし、親戚からは金を取れねぇって。」
いくら大企業の社長でも作業を行った本人がどう言っているのかを聞いてからにした方が良いと思うのは俺だけだろうか。
ヒドゥラ「そうそう、後で結ちゃんの財布から抜いておくから安心して。」
結愛「おいてめぇ、ふざけんじゃねぇぞ!!」
ラミアのお陰でその場は一気に和んだ。何か・・・、助かった・・・。
結局作業代の件は全てヒドゥラの冗談だった様で、人助けと言えども趣味に没頭出来たからそれだけで嬉しいという理由でお金は取らなかった様だ。ただ、1つ確認したい事が有った様で・・・。
ヒドゥラ「社長、先程は大変失礼致しました。誠に申し訳ございません。」
あれ?ラミアが元通りの秘書に戻っているぞ。
ヒドゥラ「あの・・・、本当に宜しかったんですか?あの2人の前では普段とは全く違う態度で自分と接して欲しいと仰っていましたが。」
結愛「良いんですよ、実はあの美麗が貝塚運送に入社するんですが少し堅苦しいイメージを抱いてしまっている様だったのでそれを崩したかったんです。私はたとえ大きい会社と言ってもアットホームな雰囲気は持ち続けたいと思っています、私自身が堅苦しいのが苦手だと普段から言っているじゃないですか。こちらこそ、演技に付き合わせてしまって申し訳ありません。」
ヒドゥラ「私は良いんですよ、何か・・・、新鮮でしたし。いっその事、あのままお2人のママに・・・。」
結愛「それだけはやめて下さい。」
秀斗「え?じゃあお前ら、アイツの為にわざとやっていたのか?」
結愛「そうだよ、美麗に「社長」って呼ばれたくねぇもん(個人的に)・・・、ってなんでここにいるんだよ!!」
秘書の本気度の高いジョークと演技力に少し引き気味になっていた結愛は、自分への協力のお礼と決して敵に回してはいけないという気持ちを兼ねて向こう数か月分の給与を数パーセント程上乗せしておこうと決めた様だ。でもよく考えれば貝塚運送での仕事が本格的に始まれば秘書の仕事が結構増えるのでそれに伴って給与が自動的に増える様な気がするが、それはいずれ分かる事として・・・。
結愛とヒドゥラの協力のお陰でトラックのガス欠の心配が無くなった美麗は早速秀斗の荷物を運ぶために再びネフェテルサ王国までの直進道路を走り始めた(まぁ、結愛は何もしていない様な気がするが)、ただ何か忘れている様な気がするが。
美麗「これでもう大丈夫だね、取り敢えず次の信号で止まった時にジュースでも飲もうか・・・、ね?あれ?秀斗?秀斗がいない!!何で?!」
「何で?!」って、お前が忘れたんだろうが。今頃かよ、1番忘れちゃ駄目だろ。
美麗「あんたもあんたよ、上から見てたんなら何で言ってくんないの!!」
元々俺はこの世界にいない事になってんだから、頼られても困るんだが。でも安心しろや、この世界は日本と違って何でも出来るんだぞ。ほら、助手席を見てみな。
美麗「え?助手席?あ・・・、いた。」
秀斗「「いた。」って・・・、普通同乗者(というか引っ越す本人)を忘れるか?『探知』と『瞬間移動』が無かったら今頃大騒ぎだぞ。」
2人の様子を『察知』したのか、結愛が爆笑しながら『念話』を飛ばして来た。
結愛(念話)「ハハハ・・・、お前ら面白いな。腹が痛くて仕方ねぇ、今度一緒に呑みに行こうや。さっきのお礼は酒代で良いからよ。」
ヒドゥラ(念話)「結ちゃんは何もしてないでしょ、作業は全部私がしたんだから。」
秀斗(念話)「いや、結愛がいなかったら作業をして貰えなかったから感謝してるよ。」
必死に結愛のフォローをする秀斗。
結愛(念話)「ほら見ろヒドゥー、俺のお陰だろ?」
あらら・・・、これはご機嫌とお調子がよろしいこった。
光明がいなかったらいつもこうだな、おい・・・。




