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朝ごはんは良きアイデアだった様だ
-711 恋人達の朝食(?)-
旅館の宿泊客も利用出来る事も手伝っていたのか、朝ごはんが結構好評だったので「くっちゃべっている場合じゃねぇんじゃねぇの?」とツッコミを入れたくなったが調理場に数名の料理人達がいるから大丈夫との事。
安心しきっていた者達が談笑していると誰も居ないはずの食材庫から物音がしたので副店長は恐る恐る近づいてみた、どうやら中では店長が昼営業に向けて仕込みを行っていた様だ。
ピューア「イャンだったのね・・・、おはよう。」
イャンダ「おはよう、朝ごはんは好評かい?」
ピューア「そうね、旅館の料理人の方々のお陰で美味しい料理が出せているから思った以上にお客さん達が美味しそうに食べてるみたい。」
イャンダ「そうか、それを聞いて安心したよ・・・。」
数秒の間静寂がその場を包んだ、何だこの朝の調理場にそぐわない雰囲気は・・・。
イャンダ「なぁピュー、ちょっと良いか?」
ピューア「何よ、唐突に。」
ただならない空気を読み取った上級人魚、正直目の前で顔を赤くしている恋人が何を言い出すのかが想像できなかった。
イャンダ「いや別に大した事じゃないんだけど、俺達ずっと「店長と副店長」として働いてるから最近恋人らしい事してないだろ?」
いやあんたら・・・、旅館の混浴風呂に入っていただろ。
ピューア「そ、そうね・・・。」
いや何であんたまで顔を赤くしてんだよ、それより早く店に戻らないと色んな意味で大変な事になるんじゃないか?
イャンダ「それでさ・・・。朝のキス位はさせてくれないかな・・・、なんて。」
朝っぱらからお熱い様で、でもやめておいた方が良いと思うんだよな。でも2人に任せておこう、何となく面白そうだし(本当は恋人達のこういう現場を見るべきではないんだけどね)。
元竜将軍は顔をより一層赤くしながら唇をゆっくりと近づけたがニクシーは手でそれを拒否して周辺を見廻していた、店には多くの人がいるので当然の行動と言えるだろう。
イャンダ「ど、どうしたの・・・?」
まさかの拒否が故にあからさまに動揺するイャンダ、しかしピューアにはちゃんとした理由があったのだ。店長は恋人としてその事をちゃんと理解するべきだろう。
ピューア「実は・・・、私達が付き合っている事を板長達には言って無くて・・・。」
顔を赤らめ俯きながら理由を話すピューア、ただ気持ちはイャンダと同じの様だ。
イャンダ「じゃあ・・・、軽くね?」
それから数十秒の間唇を重ねていた恋人達、「軽く」って言う割には長いキスを交わす2人をまさかの人物が発見してしまった。
メラ「お姉ちゃん・・・、こんな所で何やってんの!!」
明らかに否定ができない状況なのだが今は顔を赤くする事しか出来ない姉。
ピューア「あんたこそ・・・、何でここにいるのよ!!」
メラ「お姉ちゃんがなかなか来ないからお代わりを貰いに来てたの、テーブルの所にいるケバい人には許可を貰ったから!!」
ピューア「板長ね・・・、それより大き目の丼に沢山入れたのに何で・・・!!」
「「何で・・・」と言われても困るのは妹の方だろう、お釜から直接食う様な女子高生達に対して丼飯は少なすぎると思わなかったんだろうか」とイャンダが心中で囁いているとメラの傍らから板長が・・・。
ヴィンゲル「ちょっと、騒がしいけど何があった訳?」
イャンダ「ま・・・、板長・・・。」
「板長呼び」は定着しているのね・・・




