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好美と結愛が「打ち合わせ」・・・、だと・・・?!
-70 「抜き打ち」にしていた理由-
ライカンスロープ達を襲った嫌な予感は、どうやら的中したらしい。好美の夜勤が終わった時点で駐車場に関する話し合いは終わっていたので勿論、好美と結愛の間での「打ち合わせ」などある訳が無かった。
結愛「思った以上に結構貰えたな、早速好美の家に行こうぜ。」
好美「結愛、私は良いけどあんたは仕事中じゃない訳?」
結愛「ま・・・、待てよ・・・。俺は昨晩から仕事してんだぜ。午前中で仕事が終わる計算でいても良いだろうがよ。」
しかし、大企業のいち社長がそんなので良いのだろうか。念の為に好美は社長から離れた場所へと向かい、結愛の夫であり貝塚財閥の副社長である光明に『念話』を飛ばした。
好美(念話)「光明さん、結愛って昼間から休みにして良いの?」
光明(念話)「えっ・・・、何で好美ちゃんから結愛の名前が?!」
何処からどう考えても光明の様子からは貝塚財閥がざわついている事を察した好美。
好美(念話)「もしかして、結愛って誰にも言わずにこっちにいる訳?!」
光明(念話)「言ってないのも何も、俺が今朝起きた時点で部屋にも社長室にもいなかったんだから無断欠勤の扱いだよ。」
どうやら副社長は「抜き打ち検査」の事は知らされていなかったらしく・・・。
光明(念話)「何だって?!結愛自らメーターの検査をしているだって?!またか・・・、これで何回目だよ・・・。」
好美(念話)「「また」ってどう言う事?」
光明によると「メーターの抜き打ち検査」など真っ白な嘘で、なかなか有休を貰えない結愛がそれを口実に無断で社外へと出かける事が多かったのだという。
光明(念話)「好美ちゃん、1つ聞いても良いか?」
好美(念話)「え?私で良かったら何でも答えるよ?」
光明(念話)「えっとさ・・・、はぁ・・・。」
副社長はため息をつきながら好美に質問した、どうやら何度もあったパターンの様で飽き飽きしているらしい。
光明(念話)「もしかして・・・、今から昼飯だったりする?」
好美(念話)「昼ごはん?うん・・・、そうだね・・・、今から焼肉サンドを食べようかって話していたんだけど。」
光明はより一層深くため息を吐いた。
光明(念話)「はぁー・・・、やっぱりか・・・。申し訳ないんだけど、その焼肉サンドは好美ちゃんが1人で食べてくれるか?」
好美(念話)「良いけど・・・、どうするつもり?」
次の瞬間、結愛の真横へと『瞬間移動』して来た旦那が数人の従業員と共に妻の腕を後ろへと回して強く拘束した。
結愛「お・・・、おい!!テメェら!!何しやがる!!」
光明「それはこっちの台詞だ、また仕事サボって昼間から酒浸りするつもりだったな。」
結愛「何言ってんだ、俺は一晩かけて王城に設置しているメーターの点検をしてたんだぞ。通常の8時間労働だったらもう既に終わっていてもおかしくねぇだろう、それとも俺の会社はブラック企業だとでも言いたいのかよ!!」
社長を拘束していた従業員の中には秘書にヒドゥラもいた、以前に比べて『人化』に一層慣れた今でもラミア特有の力強さは変わらないらしく・・・。
ヒドゥラ「社長、困ります!!未処理の書類が山積みなんですからすぐに戻って下さい!!」
光明「ほら、ヒドゥラさんもこう言ってんだから仕事に・・・、もど・・・、れ・・・!!」
結愛は魔力の高いネクロマンサーではあるが体力と筋力にも自信がある様だ。
結愛「お前らな・・・、ちったあ休ませてくれよ!!それにおれは抜き打ち検査をしていたって言ってんだろうが!!」
光明「それに関してはいつも言ってんだろうが、お前がしなくても専門の従業員がいるからって・・・!!」
ヒドゥラ「ほら、副社長もこう言ってんですから分かったら戻って下さい、戻れっての!!」
会社での結愛の扱いって一体・・・。