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守は勘違いしていた様だ。


-⑦ 異世界でも存在する物-


 守は知らなかった、自分が結愛にツッコミを入れた時には既に遅かったという事を。目の前の社長は2人の家に来る前に既に市街地の居酒屋で1杯引っ掛けていたというのだ。それを知るきっかけは貝塚財閥副社長、つまり光明からの『念話』だった。


光明(念話)「守か、まさかお前もこっちの世界に来るとはな。」

守(念話)「確かにな、毒殺された時はどうなるか分からなかったけどまさか俺が異世界に転生できるとは思わなかったよ。」

光明(念話)「それでよ、結愛が迷惑かけてねぇか?あいつ、そっちに行く前に裏路地の店でかなり呑んでたってそこの店主から電話があったんだよ。」

守(念話)「迷惑はしてないけど・・・、今日は無事に家に帰れるかどうか。俺個人は泊めても良いけど。」


 すると光明は「旦那」としてではなく「副社長」として答えた。


光明(念話)「それがそういう訳には行かないんだよ、今日もそうなんだけど隣国にある支社や施設の見回りに行く予定なのに結愛がいなきゃ成り立たないんだ。今も呑んでるって聞いて汗が噴き出ているんだよ。何とかできないか?」


 2人の『念話』をしっかりと聞いていたのか、すっかり顔を赤くしたネクロマンサーが横から入って来た。


結愛(念話)「お前な、副社長なんだから俺抜きでも見回り位は出来るだろう。それに今日まで数カ月の間ずっと休みが無かったんだぜ、今日くらい好きなだけ呑ませろよ。」


 社長の言う事は最もだが副社長も引き下がらない。


光明(念話)「何言ってんだよ、支社の見回りはお前が言い出した事だしお前のサインが無いと承認されない事案がどれだけ山積みになっていると思っているんだ。それと、お前と一緒で俺もずっと休み無しなんだぞ。飯だって最近ずっとカップ麺ばっかりだし・・・、俺の事も考慮に入れてくれないか。」

結愛(念話)「飯の事に関してはお前の所為だろ、機械は得意なくせに料理が出来ないからってずっとカップ麺にしているのは誰だよ!!」

光明(念話)「お前が家に帰ってすぐに馬鹿みたいに呑むのが原因だろうが、せめておつまみやおかずを作ってから呑め!!」


挿絵(By みてみん)


 ずっと夫婦喧嘩を聞かされている恋人達は頭痛がしてきた。


好美(念話)「お前らな・・・、折角の酒と肴が不味くなるから喧嘩はやめろや!!」


 久々の「鬼の好美」の出現にビビってしまう貝塚夫妻。


結愛(念話)「好美・・・、悪かったよ。今日の見回りは無しにして光明も今から休みにするから許してくれよ。」


 結愛が必死に宥めようとしたが好美は一切引き下がらない。


好美(念話)「ビール・・・、ビール追加しろ・・・。」


 『念話』となっても好美の怖さは変わらない様だ、それは目の前にいる社長が一番分かっていた。


結愛(念話)「み、み、光明!!今すぐビール買い込んで好美の家に『瞬間移動』して来い!!」


 結愛は慌てて『念話』を飛ばした様だが、どうやら光明はこうなる事を予期していたらしく・・・。


光明「もう買ってきたよ・・・。」


 『瞬間移動』してきた光明は両手にビールのケースを抱えていた。


好美「光明さん、分かってんじゃん。冷蔵庫空けてあるから入れに行こう。」


 すっかり上機嫌のオーナーの部屋のエレベーターに1階の拉麵屋からかなり長めのレシートと領収書が送られ、一気に機嫌が悪くなった好美はすぐに内線電話を取った。


好美「何よデルア、まだ昼なのにオーダーストップな訳?」

デルア(内線)「好美ちゃんが食い尽くしたから材料の在庫がもう無いんだよ、今から買い出しに行くから暫く何も作れないよ。」

好美「嘘でしょ・・・、これから楽しくなるって言うのに・・・。」


意気消沈する好美。

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