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ニコフに聞かせて大丈夫な事なのだろうか・・・。
-668 ニコフのこれからについて-
元竜将軍は社長からの意外な返答に「ぽかん・・・」としていた、ただまだ「暴徒の鱗」内部の者となってはいない元(をもう付けて良いんだよな・・・)将軍長に聞かれても大丈夫な事なのだろうか。
イャンダ(念話)「シューゴさん・・・、流石に社外秘にすべき事だと思いますので『念話』はやめて電話にしませんか。」
改めて言う事では無いのだが、この世界の『念話』は『魔術阻害』を使用しない限り周囲にいる魔法(能力)が『付与』されている者へと駄々洩れとなってしまう(正直能力の意味があるのかどうかが微妙なのだが・・・)。
シューゴ(念話)「いえ大丈夫ですよ、それに実は好美さんからニコフさんについて先にお伺いして「丁度良い」と思っていたんです。イャンダさんが良かったらこのままにしてニコフさん本人にも聞いて頂きたいのですが宜しいでしょうか。」
イャンダ(念話)「そうですか・・・、シューゴさんがそう仰るなら。」
『念話』の向こうで従兄弟が渋い表情をしている事が何となく分かったニコフ、ただ2人が同じ場所にいる訳では無いので別に周囲に漏れている訳でも無い。
ニコフ(念話)「兄さん・・・、もしかして俺が聞いたらまずい話でもしてんの?」
あらま、イャンダったら各々別の場所にいるニコフとシューゴの2人と同時に『念話』で話していたのね。しかも従兄弟に社長との会話が聞こえない様にしているだなんて・・・、何て器用な方なんでしょ(というかそんな器用な事が出来るもんなんだな、この世界の創造主なのに初めて知ったわ)。
イャンダ(念話)「いや大丈夫だ、寧ろ「聞いて欲しい」と言っているみたいだから直接社長から聞いてみてくれ。」
ニコフ(念話)「分かった・・・、兄さんがそう言うなら。」
という訳で『念話』を1度切って改めて2人と繋ぐイャンダ、だから一体どうやったんだよ。好美にでも方法を聞いたのか?
好美「ん?呼んだ?」
いやすんません、呼んで無いっす・・・。というか今日は(多分)出番無いっす。
好美「何それ・・・、まぁ別に良いけど。」
ホンマすんません、では話を続けさせて頂きます・・・(今度家の前にこっそりビールでも置いておこう)。
イャンダ(念話)「それでなんですけどシューゴさん、良かったら一体何があったかを教えて頂けますか?」
シューゴ(念話)「実はと申しますと好美さんからニコフさんの事を伺った際に「料理上手」だとお聞きしましてね、是非厨房でのお仕事に就いて頂こうと思っていたんですが・・・。」
シューゴの言葉に歓喜するニコフ、そりゃあ仕事が決まった時は誰だって嬉しいわな(というかニコフって採用面接とかってしてたっけ・・・)。
ニコフ(念話)「という事は・・・、俺は採用して頂けるという事ですか?」
シューゴ(念話)「ああニコフさんも聞いて下さってたんですね、先に好美さんやイャンダさんからのご推薦を頂いていますのでこの様な形でのお知らせで申し訳ないのですが文句なしの「採用」とさせて頂きます。」
ニコフ(念話)「ありがとうございます、嬉しいです・・・。」
前述した通り「仕事が決まったから」なのか、若しくは「憧れのイャンダと働ける事になったから」なのか分からないがニコフはとても嬉しそうだ。
シューゴ(念話)「ただ入社してすぐの方にイャンダさんのいる新店は荷が重いと思ったので別の場所での研修を受けて頂こうと思ってまして。」
ニコフ(念話)「「別の場所」・・・、ですか・・・。」
憧れの従兄弟と一緒になれない事を聞いて少しガッカリする新入社員、しかし「別の場所」に行く事になった理由を聞いた後にケロッとしてしまった。
シューゴ(念話)「お2人から「ニコフさんは料理上手だ」とお伺いしましたので是非製麺の研修を受けて頂こうと思っているんです、その後イャンダさんのお店でのお仕事に就いて頂こうかと。実はここだけの話、「新店では是非打ち立て麺を」と考えていまして。」
確かに製麺できる者って少なかったもんね




