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好美にとっての「デュラハン」って一体・・・
-662 結愛がため息をつきたくなる理由-
元々デュラハンは「首なしの騎乗者、または御者」であると定義されている(らしい)が、好美本人は「自分の首を片手に持っていたり、持っていなくても首から上の部分の代わりになる物を身につけている」と思っていた様だ(ハッキリ言ってラノベの読みすぎやアニメの見過ぎである)。
好美「ねぇ・・・、この人(?)達の首は何処に置いてあるの?すぐ傍に置いてないと可哀想じゃん。」
結愛「別にない訳じゃ無いんだ、ただな・・・。」
どうやら貝塚財閥代表取締役社長にしか分からない事情がある様だ、一先ず結愛の2人の会話に耳を傾けてみるか。
好美「このままだと意思の疎通(特に会話)が出来ないよ、仕事に支障が出ちゃうって!!」
2人の目の前では結愛が降霊術で出現させたデュラハン達が静かに佇んでいた、恐らくこのままでも支障は出ないと思われるのだが・・・。
結愛「その「意思の疎通(特に会話)」が問題なんだよ、だからこいつらの首は俺が預かっているんだ。別に体だけを降霊させた訳じゃ無いから安心してくれ。」
好美「「安心してくれ」って言われても・・・。首から上がある状態の事を知らないからどうも出来ないじゃん、結愛が良かったらなんだけど1回首がある状態を見せてくれない?」
結愛「うん・・・、好美がそう言うなら仕方が無いな・・・。でも絶対後悔すんなよ?」
好美「「後悔」も何も・・・、ね・・・。」
確かに好美の言葉も一理ある、という訳で巨大財閥の社長は渋々とした表情で頬を搔きつつ『アイテムボックス』から鎧の首部分を取り出した、もしも何も知らない人がこの光景を見ると結愛が鎧の戦士を討ち取って首を奪った様に思われるだろう(ただこの世界では戦闘行為が禁止されているので即座に逮捕されてしまう)。
好美「何か「人の首だけ」っていう光景を見ると気持ち悪いね、ただよく考えたら目の前にいるのがアンデッドだからそれだけでも怖くなっちゃうんだけど。」
敢えて訂正しておくがデュラハンは悪しき「妖精」なんだそうだ、今はどうでも良いか。
好美「もう・・・、創造主は余計な事を言わないの。」
結愛「一先ず創造主の事は放っておいて・・・、首を戻すぞ?」
おいコラ、また俺の事を「アホ」って言ったな?今度こそ本当に天罰を下すぞ?
結愛「もう・・・、創造主の癖に器が小せぇっての。」
好美「結愛・・・、時間が勿体ないから早くやってよ。」
俺の扱いが偉く雑な感じがするんだがまぁ良いか・・・、話を進めないとな。
鎧を含めているからか、その重さが故に手を震わせながら結愛が首を戻すと・・・?
デュラハン①「プッハー!!やっと喋れますわ!!社長はん、もう堪忍してくださいよ。地上に降ろされてからずっと喋れんかったからしんどかったんでっせ。」
え・・・、まさか・・・、そうなんですか・・・?
デュラハン②「「地上に着いたらすぐに首を返す」って言ってはりましたやんか、待ちくたびれましたがな!!」
結愛「悪かったよ、ただ俺にも色々と事情がある事は予め言ってただろう?」
デュラハン①「そうは言われましてもね、わいらデュラハンはお喋りが好きなんやから困りまっせ!!」
あ・・・、やっぱりそうなのね・・・。
好美「結愛・・・、これってまさか・・・。」
結愛「そうなんだよ、こいつらは体に首を戻すと似非関西弁で喋りまくるから五月蠅くて仕方が無くてな。「流石に夜中にこれはまずい」と思って首を預かってた訳、でも仕事が終わって朝になったら戻すつもりだったんだぜ?」
デュラハン②「それを先に言って下さいよ、ずっと首なしの状態を続けるのも喋りのわいらからすれば地獄ですわ。」
結愛「勘弁してくれ、静かに警備に当たってくれたらクビは切らないと思うからよ。」
デュラハン①「流石は社長さん!!それは助かりますわ・・・、ってわいらは元々首無いですがな!!」
デュラハン②「全然上手くないですって、寧ろサブいですわ!!」
好美「何となくだけど結愛の気持ちも分かるわ、というかどんだけ関西に染まってんの。」
関西弁の住民多くね?