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なんで好美の名前を・・・?
-647 何方が偉い?-
どうしてパルライが好美の名前を出したのかは不明だが堅苦しいのが苦手なのは分かる、ただネイアは「しかし国王様を名前で軽々しく呼ぶなんて」と思ったのだがその通りにしないと王命に背く事になるので頭を悩ませていた。
ネイア「で・・・、では・・・、パルライさん?」
パルライ「はい、何なりと仰って下さい。」
やはり気が引ける、しかしこれも慣れるしかない。
パルライ「それでどうですか、新店は無事に開店出来そうですか?」
イャンダ「いや・・・、実は・・・。」
重い口を開いて先程までの経緯を話す新店の店長、怒られるのは覚悟の上だったが・・・?
パルライ「ほう・・・、これがそのスープですか。どれ、私も1口。」
ネイア「王・・・、いやパルライさん。おやめになった方が・・・。」
必死に止めようとする女将を横目にスープを1口飲むバルファイ国王、ただその反応は意外な物だった。
パルライ「あのこれ・・・、冷たい状態でお出しすれば良いのでは?」
提案された通り粗熱を取った後に冷蔵庫で冷やして1口、すると・・・。
イャンダ「イケる・・・。」
ネイア「美味しいじゃない・・・。」
目を丸くする弟たちを見た兄は飛び上がっていた。
ベルディ「そりゃあそうさ、これは元々冷やし用なんだからな!!」
イャンダ「調子乗んな!!嘘つけ!!」
ネイア「さっき「拉麺のスープ」って言ってたじゃない!!」
ベルディ「でもな、俺がいつ「温かい」と言った・・・?」
ぽくぽくぽく・・・、ちーん・・・。
イャンダ「そう言えば言ってないな・・・。」
ネイア「でも「拉麺」って言うからつい温かい物を想像してしまうじゃない。」
ベルディ「その「「拉麺は温かい物」っていう先入観を捨てないと」と思って作ったんだ。」
めっちゃどうでも良い事なんだがお前、「「」(鍵括弧)」を重ね過ぎだ。
イャンダ「兄ちゃん・・・、その場しのぎはやめろよ。本当は偶然出来たんだろ?」
ベルディ「・・・。」
口をつぐんで黙り込む兄、やはり図星という事なのだろうか。
ベルディ「そう思うなら部屋の中を見てみろよ。」
案内されるがままに部屋を見てみると中に作られた簡易的な調理場には沢山の食材と氷が置かれていた、よく見てみると食材の多くが温かな拉麺に使わない様な物が多く見受けられた。どうやらベルディは本当の事を言っている様だ。
イャンダ「じゃあ何で温かな状態で試飲させたんだよ。」
ベルディ「いややっぱり、どんな物でも出来立てが美味しいと思うじゃ無いか。」
確かに一理ある、「空腹」と「出来立て」に勝る調味料など無いと思っているのは俺だけだろうか。
イャンダ「でもよ・・・、これって冷やし中・・・。」
ベルディ「まぁまぁやってみれば良いじゃ無いか、一先ず作ってみようや。」
パルライ「宜しければ私も参加させて頂けませんか?」
これも断るとやはり王命に背く事になってしまう、しかし・・・。
ネイア「あの・・・、パルライさんご自身のお店は大丈夫なんですか?」
パルライ「そうだ、忘れてました!!」
これが一国の王なんだから驚きだわ・・・、あはは・・・。
はぁ・・・。




