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エルフを口説くときは用心が必要なのかも知れない
-644 代償とその価値-
恐らく(いやガチで)ウン百年もの年月を生きて来たと思われる女将が・・・、えっ?
ネイア「創造主ね、噂に聞いていたけど本当に失礼な奴ね。私はまだ385歳、そこまで年老いている訳じゃ無いの!!本当に・・・、長命種(私達)の事全く分かってないのね。」
大変失礼致しました、全くもって勉強不足だったようです。この通りですからお許しくださいませ・・・、と言っても俺の姿は住民達に見えてはいないのだが。
イャンダ「義姉さん、仕方ないよ。創造主は昔からこういう奴だった様だから俺達がどうこう言っても何も変わらないって、それより兄さんは何処にいるの?」
ネイア「コイツに関してはイャンが言った通り「仕方ない」と思って納得したって事にしておくけど・・・。」
未だに何処か不満そうな表情を見せるネイア、これも仕方ない事なのかも知れない。
イャンダ「な・・・、何があったって言うんだよ。」
ネイア「そちらの方は謝ってくれたけどあんた達は何事も無かったかのようにしているじゃないのよ、突然出て来てからずっと人の上に乗っていたんだからせめて「ごめんなさい」位は言えないの?!」
確かにその通りだが・・・、あれ?何となく身に覚えがある件に思えるのは気の所為か?いや「世間は広いようで狭い」というが、気の所為であって欲しい。
ネイア「もう・・・、折角新調して昨日届いた着物が台無しになったじゃないのよ。これ高かったんだけどどうしてくれるのよ。」
イャンダ「悪かったよ、ちゃんと直すから許してよ。」
ネイア「あのね・・・、いくらあんたが元竜将軍だったとしても着物職人だった訳では無いんだから無理に決まってるじゃないのよ!!」
うん、正論だわ。ただ改めて言う事でも無いがここは「何でもありの世界」である、それが故に・・・。
イャンダ「ほら、直ったよ。」
ネイア「何言ってんのよ!!あれから数秒しか経っていないのに着物が直った訳・・・、あら本当だわ。」
好美に『状態異常無効』を『付与』して貰う様に頼んでおいたことが功を奏した様だ、ただ・・・。
イャンダ「能力を得る為の代償が缶ビール10ケースって・・・、好美ちゃんらしいっちゃ好美ちゃんらしいけど高いよな・・・。」
すると3人の事を気にして『探知』していた好美から『念話』が・・・、まぁ「やっぱりか」と予想はしていたけど。
好美(念話)「何よ、私が『付与』してなかったら今頃ウン十万以上の請求が来る事になってた癖に!!!」
イャンダ(念話)「悪かったよ・・・、でも俺の財布事情の事を誰よりも把握しているのは好美ちゃんだろ?」
イャンダの言った通りだ、本人の財布事情(というより給与面)に関してはこれまでずっと好美が握っていたと言っても過言では無い。
好美(念話)「でも着物の修理代に比べれば缶ビール10ケースなんて安いもんでしょ?」
イャンダ(念話)「でもさ・・・、給料から家賃とかその他諸々が天引きされていたから手取りは結構安かったりしてたんだよ?俺・・・、店長だったのに・・・。」
好美(念話)「待ってよ!!家賃や食事代とかは従業員割引きにしてたじゃない、それでも文句ある訳?!」
店のオーナー、いやマンションの大家の一言はかなり重かった。俺・・・、知~らない。
好美(念話)「それに知ってたんだよ、イャンが手取りの殆どを給料日当日に下ろしてすぐ競馬やSMクラブに突っ込んだりしてた事!!」
ピューア(念話)「やっぱりか・・・、だから給料日の次の日によく「金が無い」って嘆いてたのね・・・。」
好美(念話)「遊ぶのは結構だけどちょっとはお金の配分を考えた方が良いんじゃない?!」
ネイア(念話)「ちょっと待って・・・、今の本当なの・・・?」
マジです・・・