642
これから「暴徒の鱗 ビル下店」ではボトルキープが出来るようになるそうです・・・、多分
-642 父の壮大さ(?)が故に-
正しく「相も変わらず」という言葉がぴったり似合うと言える行動前の考えなしさ加減を発揮した好美が慌てて店内へと戻り魚人の、いやこれから先現れるであろう客達のキープボトル置き場を探しに行ったのを横目に上級人魚達は出発の準備を順々と終えて行った。どうせ『瞬間移動』で向かうのでそこまで大掛かりな準備をする必要は無いはずなのだがやはりそこは礼儀というか作法というか義務というか・・・、関係無いか。
ピューア「イャンもお父さんも出発して大丈夫?いい加減行かないと向こう側の人達がカンカンに怒って来ちゃうよ?」
「まさかと思うがこの場を仕切っているという事はピューアの愛車で向かうのか?」と思うが恐らくこの流れでは絶対にあり得ない、というより一般的な人間に比べて一回り大きな父親がスルサーティーに乗り込めるとは思えない。
ピューア「あのさ・・・、相変わらずって創造主って失礼な奴だよね。この世の中憶測で物を言うもんじゃないよ、「論より証拠」って言葉がある位なんだから実際に乗せてみないと分からないでしょ?」
確かにそれもそうか、ただ今言ってた「証拠」ってのを見せて欲しいから良かったら今度実際に乗せてみてくれないか?
ピューア「嫌よ・・・、お父さんは筋肉がある分体重が重いはずだから床が抜けちゃうかもしれないじゃない!!」
お前な、さっき言ってた事を思いっきり前言撤回しちゃってんじゃねぇか!!思いっきり憶測で物を言ってんじゃねぇかよ!!
メラルーク「おいピュー、いくら俺でもそこまで重くは無いぞ!!と言うかお前・・・、車なんて持ってたのか?!免許は?!」
親父さん・・・、驚くのはそこですか・・・。ハッキリと言わせて頂きますが「全知全能の神」であるビクター・ラルーによりかなり発展したこの世界は車無しでは生活できない位になってしまってるんですから!!
ご存知の通り娘さんとその彼氏さんは『瞬間移動』の能力(魔法)を持っていますが、それが無い場合車無しでの移動はかなりの苦戦を強いられるはずですよ?!
メラルーク「そうなんですか?!参ったな・・・、俺持って無いんですよ。」
お店のお仕事が落ち着いたら時にでも取りに行けば良いと思いますよ、「軽トラ限定」の免許だけでも持っていると結構便利だと思いますので。
ピューア「そうよ、お父さん。偶に創造主も役に立つんだから。」
メラルーク「それは良い事を聞きました、でも・・・。」
「でも・・・」、どうしたんです?
ピューア「ん?何かあった?」
深く考え込む父親、それを見て思わず心配してしまう長女。これが本当の意味での「親子」というものなのだろうか。
メラルーク「創造主さん、ちょっと相談があるんですが。」
(珍しいなぁ・・・、まぁいいか。)えっと・・・、どうされました?
メラルーク「最近・・・、店の前の道をスポーツカーで走る方々を見かけて「格好いいなぁ、自分も乗れたらなぁ」って思っていたんです。出来れば俺もそんな人たちの仲間入りをしてみたいんですよ、何か最善の方法は無いですかね?」
あの・・・、免許取れば済む話だと思いますし娘さんが即座に「仲間入りしたい」という願いを叶えてくれるはずですよ?
ピューア「もう・・・、創造主に相談する程の事でも無いじゃない・・・、ってあれ?もしかしてだけどこれまさか・・・、私の車を出す空気になってない?」
戸惑う娘の前で目をキラキラと輝かせる父親、これはやはり期待に応えるのが1番か・・・。
ピューア「はぁ・・・、全く・・・、仕方ないなぁ。ちょっとだけよ・・・、って今はそんな事してる場合じゃ無いでしょ!!」
あっ・・・、そうだった・・・