表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

612/666

615

やっと調理再開か?


-615 「よしよし」-


 女子2人が調理場での呑みを存分に楽しみながら「今後新鮮な魚を肴に酒を楽しもうとする時はどうするのか」を多少(いやかなり?)ふざけながら話し合っているのを横目に守は恋人が忘れずに入手して来た食材を調理していく事にした、自らの身に覚えのあるパッケージを開封してオリーブオイルを入れたフライパンへと入れていく。


挿絵(By みてみん)


守「好美・・・、好美・・・?」

好美「えっ、呼んだ?!」


 突然呼ばれたために少し焦り気味だった「暴徒の鱗 ビル下店」オーナー、ただ敢えて苦言を呈すとすれば「今から呼ぶ」と宣言してから呼ぶ者などいないと思うのだが。


守「そんなに驚く事は無いだろう?」

好美「いやだって・・・、調理に集中しているはずの守から声をかけられるとは思わなかったんだもん。」


 恐らくこのままずっと厨房でのビールを楽しんでいようという魂胆だったかも知れないが、正直お客さんがいるホールから丸見えになっているのでこのまま呑んでいると印象がかなり悪くなるのでは無いだろうかと危惧してしまう。


守「まぁそれは良いとして、これってもしかして・・・。」

好美「そう、守が働いているケデールさんの店で買って来たの。」


 そう、守が好美に頼んでいた食材とは豚のロース肉だったのだ。商品の形態からどうやら「トンカツ・トンテキ用」の物を買って来たらしい。


守「だったらすぐそこでも買えたんじゃないの?」

好美「守、忘れちゃったの?さっきケデールさんが「在庫が無い」って言ってたじゃん。」


 酔っている割に守以上の記憶力を発揮する好美、「まさかもう酔いが冷めてきたのか」と疑ってしまうのは俺だけだろうか。


守「あれから結構時間が経っているから新しい商品を入荷させているんじゃないの?」


 守がこう聞きたくなるのも分からなくも無いがこれに関して好美を疑うのは良くないのでは無いだろうか、寧ろ買い物に行って来てくれた事に感謝するべきだと思うのだが。


好美「いや、実はさっきからずっと『探知』していたんだけど店の前にそれらしきトラックが止まった事なんて1度もなかったの。一応念の為に『瞬間移動』をして目視でも確認しているから間違いないと思うよ。」


 あらら・・・、意外と気にしてないみたい。


守「そうなの、だったら悪かった。それと買って来てくれてありがとう。」

好美「もう、やっと言ってくれたね。ずっと待ってたんだから「よしよし」して?」


 好美はただ「ちゃんとお使いをしてきた事」を褒めて欲しかっただけだった様だが守は心中で「もっと深い意味があるのではないか」と考え込みそうになっていた、ただ今更言う事では無いのだが好美はもう「今カノ」であって「元カノ」では無いのだ。それが故に守にはその資格が十分に有ると言えるだろう、というか2人で旅行に行って一緒の部屋に泊まった位なんだから「よしよし」位で抵抗してんじゃねぇよ。


守「うん・・・、よしよし。」


 先程「冷めてきているのでは無いか」とは言ったがやはりまだ酔っているからか、それとも嬉しかったからか顔を赤くしていた好美。


好美「えへへ・・・、何となく「今まで頑張って来て良かった」って思えて来ちゃったよ。」


 どうやら守の考察はあながち間違っていなかった様だと推測出来る、好美の「今まで」に「圭との突然のキスを見てからずっと」という意味が含まれていると思えて仕方が無かったからだ。守個人はまだ過去の過ちや裏切りから抜け出せていないのかも知れない。


守「そっか・・・、今まで悪かったな。」

好美「「謝る位ならその分これからを存分に楽しもう」って考えようよ、それと・・・。」

守「ん?」

好美「早くしないと焦げちゃうよ?」

守「あっ・・・、ヤベェ!!」


 そう、守がちゃんと見るべきなのは「今」という「現実」なのだ(2つの意味で)。


「上手くない」って?すんません・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ