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転生者達は何の話をしていたのだろうか・・・。
-61 「あれ」の正体と副店長のやらかし-
拉麵屋の前で1人話について行く事が出来てない秀斗は、美麗が以前「あれ」を使った時には既に元の世界からいなくなっていたので2人の言う「あれ」が何なのか気になって仕方がなかった。ただ、隣にいた守は会話の流れから分かっていた様で・・・。
守「確か美麗、「あれ」でドリフトしたって聞いたけど。」
美麗「いやー、成功した時はスッキリしたよ。一度やってみたかったんだよね、「ドリフトでピッタリ駐車」。」
好美「だからって「あれ」でやらなくても良いじゃない、自分のがあるでしょ。」
美麗「よく言うでしょ、「大は小を兼ねる」って。大きいやつで成功したら小さいやつでも出来る様になるはずだと思ってさ。」
やっと美麗達の言う「あれ」が母・王麗所有のトラックである事が分かった秀斗は、内心スッキリとしていたが流石に車を持って来る事には抵抗があったらしい。
秀斗「美麗、使っただけでも怒られてるなら持ってくるなんてもっての外だよ。やっぱり『アイテムボックス』を使った方が良いって。」
美麗「ごめん、たださ・・・。」
必死に止めようとする恋人の前で頬を掻きながら焦りの表情を見せた美麗。
美麗「もう、持って来ちゃった。」
いつの間にか『転送』を会得した美麗が全員の反対を押し切って母所有のトラックを出現させると、辺りに土埃が舞い、ズーンと大きな地響きが鳴った。
好美「ゲホッゲホッ・・・、あんたね、「持って来ちゃった」じゃないの。持って来るにしても場所考えてよ、うち一応飲食店なんだけど。」
ただ事態はそれ所ではなかった、地響き見驚いた客達やバイト達が一斉に飛び出して来たのだ。
客①「何だ何だ、地震でもあったか?」
客②「結構揺れたよね、私スープこぼしちゃったんだけど。」
店の前でざわつく客達を必死に止めようとするバイト。
バイト「皆さん、落ち着いて下さい。きっと何も無いはずですから・・・、ってうわあ!!」
どうやらバイトはトラックではなく、クォーツがいた事に驚いていた様だ。すると、バイトの声を聞きつけたデルアがお玉片手に出て来た。
デルア「おいおい、何やってんだよ。騒がしいったらありゃしねぇぞ。」
未だに勘違いをしているバイトは、そのまま上司に報告した。
バイト「副店長、古龍です!!古龍が降りて来ました!!」
どうしてバイトが『人化』したクォーツを見て古龍だと分かったのか不明である中、デルアはずっと店外の様子をチラチラと調理場の小窓から見ていた様だ。
デルア「何言ってるんだお前は、クォーツ神様はさっきからここにいらっしゃったじゃないか。ほら、あの赤いトラックが出て来て・・・、って何でトラックが赤なんだよ。」
そこにいた全員に「突っ込む所そこかよ」と言われていたデルアは、バイトとは別の勘違いをしていた。
デルア「好美ちゃん、駄目じゃないか。必要だからっていきなりトラック出しちゃ。」
好美「何で私なの、私免許持って無いもん!!」
美麗「すみません・・・、私です・・・。」
デルア「何だ君か・・・、だったら良いや。」
好美「何で美麗なら許す訳?!ぶー!!」
副店長の言動に頬を膨らませて拗ねたオーナーは、「ムカついたから」という超個人的な理由で2か月分の給料を40%程ダウンさせる事を密かに決めたらしいが今の問題はそこではない。
好美「「持って来ちゃった」ってどうすんのよ、龍さんも女将さんも警察の人間なんだからバレたらまずいって。」
クォーツ「好美・・・、それがさ・・・、もうバレてるみたいだぜ・・・。」
美麗、緊急事態か?!