610
ベースとなる米選びは重要だったりする
-610 ルールはちゃんと守ろう?-
確かに神出鬼没に出て来た「鬼」を恐れる吸血鬼の言う通り「中華居酒屋を中心とした思い出」を表現するなら西洋のピラフよりは炒飯の方が相応しいと思ってしまう、しかし守自身には敢えてピラフを選択した理由がない訳では無かった様だ。
守「炒飯で作る事も一応考えていましたがそれだと米一粒ひとつぶが油を纏う為にくどくなってしまうかも知れないと思ったんです。やはり料理人としては食べる方への配慮も大切にしないといけないと思ってピラフにしようと考えました。」
デルア「守自身に理由があると言うなら俺はこれ以上何も言わない、いや言ってはならなかったかも知れないな。余計な事を言って悪かった、許してくれ。」
深く頭を下げる店長、ただ守はデルアの言動を否定するつもりは全くなかった様だ。
守「頭を上げて下さいよ、プロ目線での大切なアドバイスや意見の1つとして大切にしようと思ったんで助かりました。」
デルア「守・・・、俺を許してくれるのか?」
守「許すどころか感謝しなきゃいけない位ですよ、ありがとうございます。」
何らかの罪を犯した訳でも無いのに自らを許してくれたオーナーの恋人への感謝の念が溢れ出していたデルア、ただ何か大切な物を忘れている気がするんだが・・・?
好美「デルア・・・、何処に行ってたの・・・!!」
やっぱり?これは修羅場になるぞ・・・。
デル「いや・・・、あの・・・、えっと・・・、ちょっとトイレに・・・。」
好美「嘘言わないでよ!!さっきから見てたけど従業員用のトイレには誰も入って行かなかったし明かりも消えてたもん!!」
デルア「つけ忘れてたんだよ、好美ちゃんだって経験あるだろう?」
好美「私はちゃんとつけてたもん、つけなきゃあのトイレは真っ暗じゃん!!」
実はと言うとこの「暴徒の鱗 ビル下店」と隣接する「コノミーマート」の従業員には利用客用とは別に専用のトイレが設置されていた、ただ1日中日陰の中に入ってしまっている為に昼間でも真っ暗なのだ。
デルア「おいおい、忘れたのか?俺はここの店長や元黒竜将軍である前に吸血鬼なんだぞ(血は相変わらず怖くて吸えないけど)、暗い所に目が慣れてるから平気なんだよ。」
よく聞く昔話でも吸血鬼が人間を襲って血を吸うのは大抵夜のイメージが強い(まぁ元々夜しか起きていない方々だったからね)、そのDNAが引き継がれているからか暗い所がお得意の様だ(という事は兄のナルリスも?)。しかし好美も引き下がるつもりは無い様だ、ただこの口喧嘩はいつまで続くのだろうか。
好美「待ってよ!!だったら何で鍵を閉めて無かったの!!この店を開店した時からのルールだったじゃん!!」
皆さんは経験無いだろうか、家のトイレの明かりがついていないし鍵が開いてるから「誰も入っていないんだろうな」と思って扉を開けてみると中から「入ってます!!」と大きな声をかけられた事が。それを防止するために「入室時は必ず鍵をかける様に」と好美がルールを制定していたのだ。
デルア「仕方ねぇだろう、急に行きたくなったんだから。」
まぁ「早くトイレに入ってスッキリしたい」という気持ちは分からなくも無いが、それでも入った後に冷静さを取り戻して鍵を閉めると思うんだが?
好美「そうだよ創造主、言ってやってよ!!」
あの・・・、期待してくれるのは嬉しいんですがもう何も思い浮かばないんです・・・。
好美「何よ、この役立たず!!」
えー・・・、何その変わり様は・・・!!
好美「でもさ、急に行きたくなって長くなるって事は少し前から色々と食べていたんじゃないの?」
デルア「何言ってんの、俺がそんな訳・・・。」
好美「じゃあそのほっぺに付けたお土産は何?」
デルア「いや・・・、その・・・、ごめんなさい・・・。」
サボり(=減給)確定