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好美の「アイテムボックス」内で快適に過ごす社長。
-60 休みを満喫していた社長とベタな件、そして久々の「あれ」-
好美の言葉を受けた社長は、中の環境に適応してしまったらしく、平泳ぎのスタイルで浮かんで来た。
社長「この中最高ですね、住めちゃいますよ。」
こう言いながら出て来た社長は、奥の部屋から妻を呼び出し、近くにあった書類に何かを記入して再び中に入ってしまった。書類を受け取った夫人はその場で頭を抱えていた。
妻「呆れた・・・、何て人なのかしら・・・。」
好美「どうしたんですか?」
妻「好美さん・・・、こちらをご覧頂けますか?呆れて物が言えないですよ。」
妻は先程の書類を好美に見せた、よく見てみれば「連続有給休暇申請書」とあった。期間の欄を見てみると「週休・有給合わせて1ヶ月」と書かれていたが、理由はもっと酷かった。
好美「何々・・・、「別荘で休暇」ですって?!何勝手に人の『アイテムボックス』を別荘にしちゃってんのよ~・・・。」
そして、今に至る。社長の休日はまだ残っていたが、多少ではあるが好美に迷惑をかけていた事を自覚していたので秀斗の話を聞く事にした。
社長「ほほう・・・、これからは好美さんの所のマンションにお住まいになるという事ですね?」
秀斗「はい、職場がネフェテルサにあるので近い所から通おうと思いまして。」
社長「そうなんですね・・・。それはそうと・・・、そちらの女性の方はどちら様でしょうか?私は初めて御見かけ致しますが・・・、名刺何処だっけな・・・。」
美麗に初めて会ったバルタンは、美麗の方を優しく手差しした後で名刺を懐から取り出して渡した後尋ねた。
秀斗「こいつは俺の友・・・。」
「友人」と言いかけた秀斗の二の腕を抓りながら恋人を睨んだ美麗。
秀斗「いてて・・・、か・・・、彼女です。」
元々柔道部だった秀斗でも格闘技経験のある美麗の一撃はかなり痛かった様だ、美麗は目の前にいる優しい表情の男性から渡された。
美麗「「貝塚不動産 代表取締役社長 ポルカト」さん・・・、で良いんですか?」
ポルカト「はい、以後お見知りおきを。それにしても羨ましいですね、綺麗なだけではなくてお強い彼女さんだなんて。私が惚れそうになっちゃいますよ。」
美麗「「綺麗」だなんて、やだもう!!」
秀斗「いってえ!!」
バルタンにベタな褒められ方をされて顔を赤くした美麗に後頭部を強く叩かれた秀斗、何処かで見た事のある件の様だが気にしないでおく事にした。
じんじんと痛む後頭部を摩りつつ、秀斗はポルカトに聞きながら書類を記入していき契約解除はどんどん進ませて行った。
ポルカト「うん・・・、そうですね・・・。これで全部大丈夫だと思いますのでお預かりいたしますね、鍵はお荷物を運び出してから私のお店にお持ち頂ければ大丈夫ですのでね。
それでなんですが、そのお荷物はどうされますか?『アイテムボックス』で運びます?」
社長の質問に質問で返したのは秀斗ではなく美麗だった、何か考えでもあるのだろうか。
美麗「因みにお部屋はいつまでの契約になっているんですか?」
店に電話して秀斗の借りている部屋の契約期間を確認した社長。
ポルカト「来週いっぱいまで大丈夫ですよ、なのでゆっくりと運び出して頂いて結構です。」
美麗「じゃあ・・・、一先ず「あれ」を持って来ないと話が始まらないですね。」
美麗の「あれ」とは何かが分かってしまった好美は嫌な予感がして仕方がなかった。
好美「美麗、「あれ」は持って来ちゃまずいよ。だって、あんたのじゃないじゃん・・・。」
美麗「え?ま・・・、まずいかな・・・。」
好美「前に「あれ」使って女将さんに怒られたでしょ、あんたどんだけ馬鹿なの・・・。」
確かに作者も「あれ」を持って来るのはまずい気がする・・・。