600
次は何を使うっての?
-600 『アイテムボックス』はプライベートな空間なのか?-
守の言っていた「アイツ」が何を意味しているのかが未だに分からない店長、先程からの流れで「何の食材を使うのかもなかなか言ってくれそうに無いな」と踏んだのでオーナーの恋人の動向を見守る事しか出来なかった(いや仕事しろよ)。
守「えっと・・・、確かこの中で・・・。」
何もすることが出来ない元黒竜将軍を尻目に『アイテムボックス』へと体を突っ込む守、デルアはただただその光景に驚きを隠せなかった様だ。
デルア「守・・・、その中に入っても大丈夫なのか?」
守「大丈夫ですよ、結構快適ですし。」
確か・・・、好美の『アイテムボックス』の中で宿泊していた住民がいた様な気がするが今は関係のない事か。
デルア「そうなの?入ってみても良い?」
守「良いですけどあんまり中の物を触らないで下さいね?」
デルア「分かってるって、「触らない」から安心しろって。」
何となく今の言葉に信憑性を感じない守、というより自分でデルアに「触るな」と振ったんだろうがよ。
そんな中、ワクワクしながら守の『アイテムボックス』の中へと入って行く吸血鬼は一先ず試しに頭だけを突っ込んでみる事に。
デルア「よいしょっと・・・、結構広いんだな。一応呼吸も出来るみたいだ、よし入ってみるか。」
体をねじ込む様に中へと入れていく、出入口が少し窮屈な様に思えたので全身が入った時には何となく達成感があった。
守「本当に入っちゃったよ、大丈夫なのかな・・・。」
デルアに関しては問題無いと思われるが守自身には別の問題が浮上していた。
守「正直早く食材を採りたいんだけど。」
そうだよな、早く料理を作ってしまいたいもんな。気持ちは分からなくも無いんだけどそれがデルアに理解してもらえるかどうかだよね。
すると中から守が肩を落としている事など知る由もないデルアの楽しそうな声が。
デルア「おーい、何だこの大量の本はよ!!見た事の無い文字で書かれているんだが!!」
どうやら会話は出来るらしい、ただ今回は好美の様に出入口をこじ開けている訳では無いので少し声量が小さく感じた様だ。
守「それね・・・、元の世界の大学に行っていた頃の教科書や資料に料理本ですよ!!」
デルア「へぇ・・・、「元の世界」ねぇ・・・。何が書かれているか全く分かんねぇや。」
守「あの・・・、もうそろそろ良いですか?」
俺がそうなのだが誰しもプライベートな空間に土足で入られるのは余り好きでは無いはずだ、正直言って中で何をしているかが分からないから落ち着かないというか・・・。
デルア「まぁ待てって、もうちょっとだけ・・・。」
守「何も無いでしょう、必要以上に物を入れない様にしているので。」
デルア「そんな事言って・・・、エロ本の1冊でも隠しているんじゃないの?」
守「な、無いですよ!!そんなの!!」
あったとしても言える訳が無い、すると自分がより一層落ち着かなくなっているのを感じている守の元に店のオーナーが・・・。
好美「どうしたの?料理は進んでる?」
守「ああ・・・、何とかね・・・。」
好美「あれ?そう言えばデルアは?」
辺りを見廻すがデルアはいない、まぁ知らぬ間に外に出てたらビックリするわな。
デルア「なぁ・・・、好美ちゃんのエ〇い写真とか無いの?彼氏だから持っているんだろ?」
守「えっと・・・、あの・・・。」
好美「守・・・、今の声とその動揺はどういう事?!もしかしてあるの?!」
男の子やな・・・