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兎に角美味しく作る事に限るよな
-599 工夫-
白飯以外にハヤシライスソースと共に食べるとしたらバターライスだろう、諸説あるが元々「ハッシュドビーフ」が起源となっているのでピッタリだと思われるのだが元黒竜将軍は納得いっていないみたいだ。
デルア「なぁ・・・、別の米を用意するのは良いけど飽くまでメインの味を邪魔しない物にしないと駄目なんじゃ無いか?」
前述した通り守が今作っているハヤシライスソースにもバターが入っている、ベタなバターライスを作ってしまうとくどくなってしまうはずなのだが。
守「そうですね、作るとしたらあっさりとした味付けの物と考えています。」
デルア「米で「あっさり」か・・・、料理にするなら難しいんじゃ無いか?炊き込みご飯ならあっさりとしているはずだが流石に味付けを濃くしてしまうと折角のソースの味を潰してしまう様な気がするんだが。」
味の濃い物同士をぶつけてしまうと互いが互いの美味さを活かさずに相殺してしまう可能性がある、これだけは絶対に避けたい。
守「だったら・・・、ちょっと待って下さいね。」
懐からスマホを取り出して何かを検索し始めた守、過去の経験から使えそうなアイデアを思い出したとでも言うのだろうか。
単なる興味本位で守が見つめる画面をのぞき込むデルア、本人には罪の意識は無かったのだろうかと聞きたくなってしまう。
デルア「何だよ、レシピを調べてんのかよ。」
守「ちょっと、何を覗き込んでいるんですか!!」
デルア「いや・・・、何となくだけど個人的に興味が湧いて来たと言うか・・・。」
きっと「熱心に料理の研究をする守」にという意味だと思うのだがもしも別の意味だというのなら吐き気がしてきそうで怖い、傍らから見ているだけの俺が言う位だから守は相当だろうな。
守「デルアさん・・・、あの・・・、俺そっちの気無いんですけど。」
デルア「あ・・・、アホか!!お前って奴は何言ってんだ!!俺は異性愛者だぞ!!」
おいおい、調理場でする様な話なのかよ。きったねぇなぁ・・・。
守「創造主まで何言ってんだよ、俺は別に何も言ってねぇだろうが!!全面的にデルアさんが悪いんだ、俺は被害者だぞ!!」
デルア「そうそう、俺が加害者だ・・・、って俺は何もしてねぇ!!」
そっすか・・・、これ以上掘り下げても話が進まなくなるだけだからやめておこうか。
デルア「それにしても何を調べていたんだ・・・、って「ピラフ」?いや守、ピラフにもバターを使うから意味が無いんじゃないのか?」
守「大丈夫です、バターを使わなくても作れる方法がありますので。」
そう言うと守は先程炒めた玉ねぎの一部をフライパンで加熱することにした、しかしこのままでは焦げ付いてしまうので最後に加える事に。
守「そうだ、そろそろ食べ頃のアイツも使おうか。」
デルア「おい!!「アイツ」って誰の事だよ・・・!!」
デルアさん・・・、どう考えても流れ的に食材でしょう。
守「あの・・・、デルアさんは人間を食った事があるんですか?」
守も聞いちゃうんだ・・・、ただデルアは「暴徒の鱗 ビル下店」の店長や元竜将軍である前に吸血鬼である事を忘れてはいけない。
デルア「ある訳ねぇだろう、今は仕事に支障が出ない位までになったが血を見るのも怖いんだから無理だよ!!」
そうだったわ、もう血を吸う事もない事をすっかり忘れてたわ。
デルア「おいおい、創造主さんが忘れたら駄目だろう!!」
守「本当だよ、しっかりしろよ!!」
すんません・・・、って何で俺が起られてんだよ!!




