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598

このお預け感は堪えがたい・・・


-598 守にとっての「思い出」とは-


 店長デルアは自分の知り合い含めて店内にいたお客さん達に「申し訳ない」と思っていた、ただ店の者としてではなく同じ場に漂う香りを共に共有する者として。


デルア「俺だって耐え切れないんだよ、この何とも言えない「お預け感」はさ。中華居酒屋(いや拉麵屋だろ)にはに使わないかも知れないがこんなに芳しいハヤシライスのかおりがしているのに食えないなんて最悪だもんな。」

客「じゃあ何とかして見てくれよ、昔のよしみでお願いだからさ。」


 この様子から見るにこの客と元黒竜将軍ブラック・ドラグーンは長い付き合いの様だ、ただ周囲の客の目もあるので「この人だけ特別」という訳にもいかない(ましてや自分が店用に作っている訳でも無い)。


デルア「いくらお前の頼みでもこれだけは駄目なんだよ、1番近くで見ている俺だって食えないんだから勘弁してくれよ。」

客「出さないんだったら何で作ってんだよ、まさかデルアってこの店を辞めるのか?!」

デルア「何でそうなるんだよ、俺は店長になったばかりだぞ?流石にそれは無責任だろ。」

客「じゃあ何で作ってんだよ、それ位は教えてくれたっていいじゃねぇかよ。」


 先程来たばかりのこの客が店の裏での事情を知らないのは当然の事だ、よく考えてみれば別に「暴徒の鱗」自体がいち企業として絡んでいる訳でも無いので内緒にする必要もない。しかし作っているのが好美オーナーの恋人である守だ、下手に動けば今度は好美本人に相当なお仕置きをされる可能性だってある。


客「何なんだよ、バルファイ王城にいた頃のお前はそんなに付き合いの悪い奴じゃ無かっただろう?」


 あら昔のデルアを知っているのね、良かったら教えて欲しいわ(棒読み)。


デルア「それとこれとは話が別だろうが、それにお前とは偶に呑みに行く程度だっただろ?あと創造主さんも何で(棒読み)なんだよ!!」


 すんません・・・、必要のなさげな脱線だったのでつい・・・(謝る気ゼロ)。


客「気になるんだよ、教えてくれよ!!「実は賄いでした」ってオチでも良いからさ。」

デルア「あのな、もしもそのオチ通りだったとしてもお前の所為で言い辛くなっただろう?その上にちゃんとした商品でもない「賄い」を客に出す店が何処にあるってんだよ。」


 この「暴徒の鱗 ビル下店」のメニューには好美が自信をもって提供出来る料理を厳選して記載している(と言っても元々「松龍」で提供されていたメニューが殆どなんだが)、「お客さんには上質なクオリティの料理を提供したい」という想いがあるからだそうだ。

 と言ってもデルアが店内に漂う香りに関して全くもって気にならなっていないと言えば全くの嘘になってしまう、一先ず「代わりのサービス」として店内の客に小皿に入った焼き餃子を渡して調理場に戻る事に(因みに少し在庫過多だったので困っていたとの事)。

 そんな中、守はとある大事な事をすっかり忘れていた事に気付いた。


挿絵(By みてみん)


守「ヤベェ・・・、米炊いてねぇ!!」

デルア「おいおい、大丈夫か?米が無いと命取りじゃ無いか。」

守「ただ忘れていたのは本当ですがハヤシライスの時は「炊き立ての米」に拘っていたので丁度いいかも知れないです。」

デルア「そうなんだ・・・、君って結構ポジティブな人間なんだな。」

守「そうですか?俺自身はそう思った事無いですけど。」

デルア「あらま、じゃあ俺の勘違いなのかな。」


 勘違いにより頭を掻いていた店長の隣で守は少し考え込んでいた、今は少しでも早く米を早く炊かないといけないのだが本当に大丈夫なんだろうか。


デルア「ん?どうした?」

守「いや・・・、元の世界では白飯にしていたんですけど今回はちょっと趣向を変えてみようと思ったんです。」

デルア「待てよ、それだとまずいんじゃないのか?」


 確かにまずい気がする、今回の料理のテーマが「思い出と感謝」だからだ。


守「実はちょっと考えたんですよ、「思い出」と言えば過去の物を連想するかも知れませんがこれから作る「新しい思い出」も大切に出来る物にしたいと思うんです。」

デルア「「新しい思い出」か・・・、良いかも知れないな。」

守「それに美味しい物でもずっと続くと飽きちゃいますから「食べやすさ」もプラス出来たらと思いまして、ただベースとなる白飯も別に作りますのでご安心ください。」

デルア「いや・・・、俺が安心しても仕方が無い気がするが・・・。まぁ、良いか。」


守の新たな趣向とは・・・

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