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好美の行動には理由があった・・・
-596 改めまして-
好美自身の「自らが所有する店やお客様、そして自分の周囲の方々を大切にしたい」という気持ちも分からなくはない(と言っても呑みながらの言葉だったので何となく説得力に欠けていたが)、守は改まったかのように一息ついて作業を開始する事にした。腹違いの姉の家庭菜園(いややはり畑か?)から持ち込んだ野菜と好美が「一柱の神」の三女・トゥーチと取調べ(の様なコント)を行っていた間にこっそりと職場へと連絡して取り置きして貰った肉の端材を恋人が「使っても良い」と許可していた寸胴の中へと放り込んで火にかけていく、因みにだが肉の端材に関してはケデールも了承済みであるとの事(本当かどうかは分からんが)。
守「おい、俺を好美と一緒にすんなよ!!ちゃんと許可取ったわ!!」
すいません、失礼しました。でもよ、そんな事言ってたら・・・。
好美「そうだよ!!」
ほら、本人が出て来たぞ。
好美「守は私と違ってしっかりしてる・・・、ってどういう意味よ!!」
まさかのノリツッコミ・・・、やはり好美自身の笑いに関するセンスがどんどん良くなって来たのでは無いかと思う今日この頃。
まぁ何だ、これに関しては一先ず置いといて・・・。
好美「何でよ!!置いとかないでちゃんと説明してよ!!」
いや・・・、多分これに関しては俺より貴女の同僚であった上級人魚の方に聞いた方が宜しいかと・・・(ってこの場にいなかったわ)。
取り敢えずもう既にかなりの時間が経ってしまっているので調理を続けた方が良いのではないですかね、いくら「時間無制限」でも店の裏にいる当事者が痺れを切らせてしまいますよ?
守「分かってるよ・・・。今やってんだろうが・・・、ったく・・・。」
はぁ~・・・、本当この2人はこの先どうなっていくんでしょうね。まぁ前述した通り転生者の方々は歳を取らないので心配する必要は無いと思われますが先に進ませたいので一先ず話を続けましょうかね。
サラダ油を敷いた寸胴で野菜と牛肉の端材を炒めていく守、何となく良い香りが漂って来た所で水と味のベースにするコンソメを加えていく(それだけで十分美味と思うが恐らく完成では無い)。
好美「ねぇ・・・、いい加減何を作ろうとしているのか教えてくれない?」
好美の言う通りだよ、勿体ぶらないで教えろよ。
守「好美が好きだった「アレ」だよ、「アレ」。」
好美「「アレ」ね・・・、ああ「アレ」」か!!」
何か思いついたみたいだが本当に分かってんのか?
好美「何よ、本当に失礼ね!!この流れで作るとしたら「アレ」しか無いじゃん!!」
ほぉ・・・、一応好美の回答を聞こうじゃ無いか。
好美「「肉じゃが」でしょ、牛肉に玉ねぎがあるんだからそうに違いないよ!!」
守「ふふふ・・・、残念でした!!」
好美「もう、ぶー!!」
あらあら・・・、仲が良いのは分かるが皆が仕事している所でイチャイチャすんなって・・・。
守「じゃが芋は淹れる予定無いんだよね。」
守のヒントを得た上で改まったかの様に食材を見廻す好美、そう言えば肉じゃがには入れることの無い「あの食材」が目立っている気がする様なしない様な・・・。
好美「そう言えば結構な量のトマトを使うんだね。」
そう、今回守が作ろうとしていたのは「トマトベース」の「アレ」なのだ。これで何となく「アレ」の正体が分かったはず・・・。何かを思いついた好美はまるでクイズ番組であるかの様に手元のボタンを押して解答権を得る事にした(何処にボタンがあったんだよ)。
必要なおふざけ・・・