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だから・・・、何時料理を作るんだよ・・・
-592 事実ですからね・・・-
確かに店長の言った通り紛らわしく書いてしまったオーナーが悪いのが事実として言える事なのだがちゃんと好美がメモを書いてあった事も紛れもない事実、ただ今はこんな事で言い合いをしている場合ではない事も紛れもない事実。正直いつになったら守の料理は出来上がるのか、そしてこの話だけで何回「事実」と言わなければならないのかが心配である(どうでも良いって)。
好美「ほら守、あそこの寸胴使ってくれて良いからね。早く作っちゃってよ。」
守「いや・・・、そう言われましても・・・。」
走り走りといった様子で恋人に料理を何とか作らせようとする拉麵屋のオーナー、まぁ料理人がお客を長時間待たせる事は言語道断であるが今回は「時間無制限」なので気にする必要もない(と言ってもこの時点でかなり時間が経っているので本心を言うとすれば気にして欲しい)事も事実。ただ2人の傍らでデルアが納得していない事も事実、だから何回「事実」って言わせるつもりなんだよ。
デルア「いや待ってよ、あんな紙切れ1枚で関係者以外の人を調理場に入れるなんて俺は許可できないよ。」
デルアは店長、つまり店舗の責任者として衛生面等の観点から守をバックヤード(特に調理場)に入れる事を拒絶していた。しかし好美にもオーナーとしての意地があった様だ。
好美「何でよ、私が許可したんだから良いじゃない!!」
デルア「駄目だよ、こっちが普段から好美ちゃんの知らない所でどれだけ店内の清掃や殺菌処理を行っていると思っているの!!特に食材を扱う調理場なんて無理に決まっているじゃ無いか!!」
店長にここまで拒否された場合は本来なら諦めるべきだと思われるが前述した通り好美にも意地があったので「何とか出来ないか」と熟考していた、日本(元の世界)でなら不可能である事もこの世界では可能なのだから必ず方法はあるはずだ。
好美「じゃあさ・・・、こうすれば良いんじゃないの?」
あら、結構早く思いついたみたいだな。
デルア「え?何か策でもある訳?」
好美「簡単な事じゃん、こうすれば良いんだよ。」
好美は守に『状態変化』を施した、すると恋人の能力により守の姿が一瞬にして「暴徒の鱗 ビル下店」の従業員のと同様の物となった。
守「うわっ!!何だこれ!!」
守の姿を見て目を丸くするデルア、まぁ当然と言えば当然の事か。
デルア「好美ちゃん、何で守君に制服を貸したのさ!!」
本来なら従業員のみに貸与するはずの制服を何故か守が着ている、これは守がこの場で働いてはいない限り決してあってはならない事実。
好美「この服だったら洗濯したままの状態だし、髪の毛に関しても大丈夫だよね?」
デルア「ま、まぁ・・・、衛生面に関しては大丈夫なんだけどさ・・・。」
好美「何?他に何があるっての?」
デルア「いやさ・・・、社外秘になってる情報が書かれてある書類がちょこちょこ調理場にあるから流石に見られるとマズいというかさ・・・。」
好美「え?!何だって?!」
店長の一言によりオーナーの圧が先程以上に強くなった様に思えた、気の所為だったら良いと願うばかりなんだが・・・
好美「何でそんな書類が調理場に置いてあるってのよ、いつも「社外秘にしている書類は奥の事務所で保管して適宜シュレッダーにかける様に」っていつも言ってんじゃん!!」
これは好美がこの店を開店させてからずっと口を酸っぱくして言っている事だった、やはり「いちオーナーとしてこういう事はしっかりしないといけない」と心に決め込んでいるからだった様だが・・・。
デルア「何言ってんの、ここの書類は全部好美ちゃんが持って来た物じゃない。」
好美「え・・・?あれ?嘘でしょ?」
デルア「好美ちゃん・・・、事実だよ・・・。」
最後の最後に・・・




