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当たり前・・・、にしちゃ駄目なんだよな・・・
-590 はよせぇや・・・-
この世界ではすっかり当たり前(?)となってしまっていたが「まさか自分が仕掛けた料理対決が神様までをも巻き込んでしまっている」なんて全く考えていなかったマーマン、こちらからすれば正に「時間無制限」にした本人の自業自得だと言えるのだが「流石に遅すぎる」と業を煮やしていた様で・・・。
メラルーク「社長さん・・・、まさかと思いますけどあの2人って私達を待たせている事を忘れている訳では無いんですよね?」
結愛「流石にそれは無いと思います、ただただ本当に美味い物を提供したいが故に素材に拘っているのではないでしょうか。」
確かに貝塚財閥代表取締役社長の言った事は間違いでは無いのだが守はもう既に収穫を終えてしまっている、どちらかと言うと時間をかけてしまっているのは余計な「取調べ(の様なコント)」を行っていた好美の方だった様な気がするが結愛は知る由も無かった(まぁその場にいないから仕方が無いよな)。
メラルーク「これだけ時間をかけているんですから相当美味しい物を食べさせてくれるんですよね?社長さんが保証してくれるんですよね?」
結愛「い・・・、いや・・・。私の口からは何とも言えないんですけど・・・。」
ハッキリ言って守が作れるとしたら本当に「一般的な物」と言えるごくごく普通の家庭料理のみだ、結愛は心中で「これほどにハードルを上げた上で提供できる物なんてアイツに作れるんだろうか」と心配になっていたそうだ(余計だったら良いと願うばかりだね)。
やけに心臓の鼓動が速くなって来た事を感じていた結愛はメラルークに苦笑いをして見せながらこっそりと『探知』を行ってみた、どうやら一安心だけでもしたかったと思っていた様だが・・・。
結愛(小声)「大丈夫なのかな・・・、アイツ何を作ろうとしてんだよ・・・。」
マーマンにお酌する事で何とかその場を誤魔化そうと頑張って来た結愛の脳内に飛び込んで来たのは「まさかの光景」だった、それにより守が何を作ろうとしていたのかを即座に理解したネクロマンサーは「どうやってこれ以上に時間を引き延ばせば良いんだよ」と1人頭を悩ませていたとの事・・・。
メラルークと同様にイライラがピークに達して来ていた結愛は思わず守に『念話』を飛ばしてしまった、「流石に邪魔をするのは悪い」と思っていたのだがこれに関しては致し方なかったと言えるだろう。
結愛(念話)「おい守、いつまで待たせんだよ?まさかと思うが今回の趣旨を忘れてんじゃねぇだろうな?」
イライラを募らせていた分、少し言葉に圧があった様な無かった様な・・・。
守(念話)「仕方ねぇだろうがよ、光姉さんの家庭菜園がこんなに広いと思わなかったんだよ。」
確かにダルラン家にある光の家庭菜園が広大であるのは認める、しかし守自身はそんなに言う程移動してはいないはず(と言うよりずっと1箇所に留まっていたんじゃないか?)。
ただそれ以上に結愛が気になっていたのは守が持っていた籠の中身だった、何処からどう見ても中に入っていた野菜は2種類だけ。
結愛(念話)「それにしてもお前、時間が掛かった割には少なすぎやしねぇか?まだ別の場所や『アイテムボックス』ン中に他の野菜が入ってんだろ?」
守(念話)「いや・・・、使う野菜はこれだけだけど?今回は敢えてシンプルに作ろうと思っているからこれで十分なんだ。」
寧ろ籠の中の食材を手に入れることが出来て物凄く嬉しそうな表情をする守、何となく結愛はその表情が恍惚に満ちている気がしてならなかった。
結愛(念話)「それにしてもお前何処か嬉しそうだな、何があったか聞いて良いか?」
守(念話)「「何があった」ってこんなに美味そうな野菜が手に入るとは思わなかったから嬉しくなっちゃっただけだよ、それ以上に何があるってんだよ。」
結愛(念話)「ああ・・・、逆に聞かれてしまうと何も思いつかねぇわ。」
悩ませていた頭の中をスッキリする為に『念話』を飛ばしたというのにこれでは全くもって逆効果である、それにしてもいつになったら守の料理は出来上がるのだろうか(いやそれ所か作り始めるのだろうか)。
守(念話)「取り敢えず出来るだけ早く帰る様にするからもうちょっとだけ待っていてくれるか?と言ってもそっちに着いてからも出来上がるまで時間が掛かるんだけどな。」
結愛(念話)「そうだろうな・・・、ただそっちで何があったって言うんだよ。」
俺からは言わないでおこう