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まさかね・・・、いやよくある事か・・・?
-587 こういう事-
突然だが話は守がこの世界に転生する数か月前に遡る、この日自ら経営する「暴徒の鱗 ビル下店」及び「コノミーマート」において「人手は足りているから今日は手伝わなくても大丈夫」と言われた夜勤明けの好美は暇を潰す為にネフェテルサ競艇場に来ていた。
好美(当時)「今日は何処も一般戦しかしてないけど楽しめたらそれで良いかな。」
そう言う割には入場してから数秒後には既にネフェテルサを含めた全場分の出走表と赤鉛筆を手にしていた、これは周りの人間からどう見ても本気で戦いに来たとしか思えない。
ピューア(当時)「あんたね・・・、それ「楽しむ」ってレベルの金額じゃ無いわよ・・・。」
いつも午前中に行っている料理教室がこの日場所の都合で休みになってしまったが故に同行していた上級人魚がドン引きするのも無理は無い、好美の衣服のポケットには現金で300万円が入っていた(一度でも良いからやってみてぇ・・・)。
好美(当時)「あのねピューア、これは勝負事なの。いつでも本気で挑まなきゃ失礼でしょ、レーサーは皆気合を入れてボートを走らせているのよ、私達も本気でやらないと。」
ピューア(当時)「あのね・・・、こんな事言って良いのか分からないんだけど「良い事言った」感を出さないでくれる?今の好美、何処からどう見ても「ただのおっさん」よ?」
好美(当時)「ちょっと・・・、私の何処が「ただのおっさん」なの?!」
良いぞ・・・、言ってやれ・・・(棒読み)。
好美(当時)「ただのおっさんがこんな札束を持って競艇場にいる訳が無いでしょうが(飽くまで個人的な見解です)、それにどう見ても可愛い女の子でしょ?!」
ピューア(当時)「あのさ・・・、1つ聞きたいんだけどそう言った言葉に説得力を持たせるテクニックでもある訳?」
未だにドン引きするピューアの横で「そんな事など関係無い」と言わんばかりに予想を始めた好美の目にとある光景が飛び込んで来た、まるでその時の本人の様に見た事のある男性がずっと競争水面と出走表を睨んでいる。
好美(当時)「ねぇピューア、あそこ見て?」
ピューア(当時)「何よ、今集中して予想してんだから邪魔しないでよ。」
好美と違って少額で大いに楽しもうと必死になっていたピューアは先程から予想の為にずっと第一ターンマークを走って行く選手達を凝視していた、まぁ競艇はある意味ここで決まると言っても過言では無いので仕方がない(改めて言いますが個人的な見解です)。
好美(当時)「だってさ、何処からどう見てもビクター神様だと思うんだけど。」
ピューア(当時)「待ってよ。神様ともあろう方が下界の競艇場なんかに・・・、あら本当だわ。」
好美達は何度も目にした姿だったのですぐに分かったのだが、他の住民からすれば周囲に溶け込んで普通に競艇の予想をしているだけのおっさんにしか見え無いので全くもって「一柱の神」の1人である「全知全能の神」だとは気づかれなかったのだ。
好美(当時)「でもさ、天界にも競艇場ってあるんだよね?わざわざ下界に来る必要性ってある訳?」
ピューア(当時)「いや、こっちからすれば多分あんたと一緒よ。」
好美(当時)「ちょっと、それどういう意味?!」
ピューア(当時)「そのままの意味よ、あんただって偶にだけど結愛とダンラルタの競艇場に行っていたりするじゃないの。」
どうやら好美には「ネフェテルサやバルファイで遊んでいると光明に見つかった時に面倒だから」という結愛に合わせてダンラルタ競艇場で遊ぶ時があるらしい(と言っても光明が『探知』を使うと何処でも一緒なのだが)、これは同行していたニクシーからすれば目前の上級古龍と同様だとしか思えなかった様だ。
好美(当時)「別に・・・、私はただ結愛に合わせていただけだもん!!自分の都合でダンラルタ競艇場に行っていた訳じゃ無いもん!!」
ピューア(当時)「そういう割には後から結愛に聞いたけど結構楽しんでいたんでしょ?という事はあそこにいるビクター神様と一緒・・・、って何してんのよ!!」
ピューアが気付かなかったのも仕方が無い、多少だが悪戯心が芽生えた好美は足音を立てる事無くビクターの下にそろそろと近づいていた(因みに舟券は既に購入済み)。
好美(当時)「ビクター神様!!」
ビクター(当時)「うわっ!!倉下好美では無いか、こんな所で何してんだよ!!」
わざとらしいぞ・・・




