586
やっと話が進むわ・・・
-586 涙の理由-
長々とした取調べ(いやオチの無かったコントか)を終わらせた時に手紙を書いていた時の感情が再び湧き上がって来たからか、好美は物凄い勢いで出入口のドアを開け閉めして外へと出てしまった(というかやっと終わったのね・・・)。
トゥーチ「好美・・・!!」
今の好美の耳には誰の言葉も入らなかった、たとえ相手が「一柱の神」の三女だったとしても・・・(こりゃ相当だな)。
取調室の外では収穫と姪っ子の相手を終えた守が腹違いの姉と共に帰る準備を進めていた(そう言えばここって光の家庭菜園の中だったな)、因みに外からは室内の様子が見えない状態になっていたので守は中で何があったのかを知らない(それもそうだ)。
守「おお好美、やっと終わったかぁ。こっちも丁度終わったから帰る・・・。」
好美「守・・・!!」
どうやら守の姿を見た好美は過去の物も含めて感情が爆発してしまった様だ、ただ色々とありすぎてどの様な言葉で表現すれば良いのか分からなくなってしまったので勢いに任せて抱き着く事しか出来なかったらしい。
守「おいおい、大丈夫か?中で何があったんだ?というかいつからスーツなんて着てんの?」
突然泣きながら抱き着いて来たので訳が分からなくなってきている守、ただ自分の恋人を泣かせた犯人の事が許せないという感情が湧きだした様で・・・。
守「誰にやられたの?ビクター神様か?それともトゥーチ神様か?」
こういった時でもちゃんと礼儀を忘れない守、良い事と言えば良い事なのだが。
好美が守に抱き着いてから数秒程経過した後にトゥーチが取調室から出て来た、好美と同じ女として涙の理由を察した様で少し気まずい雰囲気を感じていたらしい。
トゥーチ「ああやっぱりか・・・、そりゃあそうだよな?」
守「トゥーチ神様は何かご存知なんですか・・・、ってか貴女もスーツ姿なんですね。」
守はトゥーチが取調室の中で好美の部下(の役)をしていた事を知らない。
トゥーチ「そうだな・・・、まぁ原因が俺のくそ親父にあると言えばそうなんだがどうやらお前に手紙を書いた事と元の世界で起こった事が関係しているみたいだぜ・・・?よく思い出して見な、あっちで好美と最後会った時の事を。」
守「最後の時ですか・・・。」
守は家の玄関先で起こった事を思い出した、確かに圭に無理くりキスをさせられた時の光景は好美にとって衝撃の大きい物だったと言える。
トゥーチ「思い出したか?やっぱりそれまでのすれ違いで会えていなかった分、「裏切られた」って気持ちが大きかったみたいだぜ?」
守は改めて反省した、今目の前で恋人が泣いている原因が自分にあると分かったからだ。
守「あの時の俺は迂闊でした、好美にそう思われても仕方ありません。」
トゥーチ「そうか・・・、そうやって素直に認める事は良い事だし守だけが悪かった訳じゃねぇみたいだから。全くもう・・・、あのくそ親父め・・・。」
トゥーチが取調室の出入口を睨みつけていると中から「くそ親父」こと「全知全能の神」が出て来た、項垂れているその様子から三女に相当絞られた事が伺える。
トゥーチ「・・・ったく、特に今回みたいに助言を与える時には少し考えてから行動しろって口を酸っぱくして何回も言ってんだろうがよ。」
守「「助言」・・・、ですか?」
守はこの世界に来た時にビクターから授かった「助言」の事を思い出した、本人からすればそのお陰で今がある様な物だからどちらかと言えば感謝したいと言いたいみたいだが。
トゥーチ「ほら、「助言をした事を好美に内緒にしておいてくれ」って頼まれたんだろ?」
守「そうですね・・・、「俺が好美に何をやられるか分からないから」と聞いてます。」
好美「そこまで酷い事してないもん、ビールを200ケース程奢って貰っただけだもん。」
トゥーチ「ほえ・・・?そうなの・・・?」
守「と言うより・・・。」
2人「どういう事?」
新事実発覚・・・。




