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神様も色々と苦戦しているそうだ
-574 神の優先順位-
「一柱の神」と言っても古龍の三女自身は人間で言うとまだ大学生、就職活動で未だに苦戦している状態である。本人曰くこの日も3社程試験を受けて来たそうなのだが「今はそんなの関係ねぇ!!」と言いたそうになっている者が約1名、そう、先程から泣きじゃくっていた(一応)この話の主人公である。
好美「ちょっと・・・!!「(一応)」って何よ、創造主が蔑ろにしていただけでちゃんとした主人公だもん!!」
すみません、失礼しました・・・。それで?守の護符を使ってまで神様を呼び出したのにはちゃんとした理由があるんでしょ?
好美「そうよ、すっかり忘れてた!!トゥーチ神様、ちょっと来てもらえます?!」
いや待てよ、どうしてここに来たのがビクターではなくトゥーチなのか知らなくて良いのかよ!!それにそれが神様に対する態度か?!
トゥーチ「そうだよ好美、ちょっと待ってくれよ!!俺だって今の状況を把握しきれてねぇんだからよ!!」
確かにトゥーチの言っている事は間違ってはいない、しかし何処か矛盾が発生している様な気がして仕方が無い。
守「ちょっと待って下さい、今仰っていた通り「今の状況を把握しきれていない」というならどうしてトゥーチ神様は俺が護符を使った事が分かったんですか?!」
よく考えてみればこの護符は守がビクターから直接受け取った物、言わばこの事は2人しか知らないはずだ。しかし守の疑問はトゥーチの行動により即座に解決となった。
トゥーチ「これを見てくれるか?」
古龍はそう言うと2人にスマホの画面を見せた(そう言えばビクターもスマホを持っていたな)、そこには「宝田 守が護符を使用しました」という通知が残っていたのだ。
トゥーチ「「一柱の神(俺達)」専用のアプリで「いつ」「誰が」護符を使ったのかが分かる様になってんだよ。」
トゥーチは十分な説明をしたつもりだった、しかし納得していない者が約1名。
好美「じゃあどうしてビクター神様ではなくトゥーチ神様がこちらにいらしたんですか?今までの流れ通りだったら本人が来ないとおかしいじゃないですか。」
トゥーチ「確かに好みの言っている事は分かるよ、だってネフェテルサ王国のペプリ王女が魔法や護符を使っている時はいつもクォーツ姉ちゃんが行っているもんな。」
好美「だったら何でですか?!この護符を渡したのはビクター神様でしょう?!」
トゥーチ「まぁ・・・、そうなんだがな・・・。」
好美が投げかけた質問により頭を抱えるしか出来なかったトゥーチ。
トゥーチ「多分くそ親父の都合が悪くなったから代わりに俺が飛ばされたんだよ。全く・・・、いつもこうなんだから困ったもんだ。」
守「「都合が悪くなった」って、じゃあ本人は今どちらに?」
奴め、何となく想像がつくが一応聞いておこうか。もう・・・、呆れて物が言えねぇや。
トゥーチ「多分・・・、天界のボートレース場だろうよ。」
やっぱりか・・・、そう言えばこの前ケデールも「ダンラルタのG1」って言っていた様な言ってなかった様な・・・。
好美「下界の民より趣味を優先させるだなんて・・・、なんて神様なのよ・・・。」
トゥーチ「面目ねぇ・・・、俺も恥ずかしくて仕方ねぇぜ。」
守「という事は・・・、トゥーチ神様は完全な「とばっちり」でここに?」
トゥーチ「だからさっきからそう言ってんだろうよ、俺は就活の帰りに呼び出されただけなんだよ。」
という事で好美さん、トゥーチは帰っても良いですよね?
好美「うん・・・、何かすみません・・・。」
トゥーチ「いや良いよ、一先ず迷惑を掛けているのはこっちだしこの後時間があるから俺も天界で親父の居そうな所を探してみるから好美と守の番号を聞いといても良いか?」
優しい神様だな・・・




