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一先ず被害状況を確認せねば・・・。
-573 神々の裏事情-
どうやら地震に似た先程の揺れはダルラン家の中庭を震源に起こったらしいので3人は頃合いを見てそちらの方向へと駆け寄ってみる事に、幸い誰1人そこにはいなかったみたいなので被害者なく事が済みそうだとホッとしていたが・・・。
好美「守・・・、あれ・・・。」
守「ああ・・・、やっぱりか・・・。」
先程と同様に「やっぱり」という言葉を口にした守自身はこの事態を粗方予想していた様だ、しかしそれは何故だというのだろうか。
好美「前にもこんな事があったの?」
好美は守が以前「暴徒の鱗 ビル下店」の前でビクターを呼び出していた時の事を思い出していた、その時はゆったりと舞い降りて(いや飛んで)来たのでこの様にはなっていなかったはずだが・・・。
守「ああ・・・、これはこの世界に来たばかりの俺がケデール店長の店で食事をしていた時の事だ。実はその日の午前中、ビクター神様に「俺自身も久々に使うから1度試しに護符を使ってみてくれないか、時間はいつでも構わないから」と頼まれていたんだよ。ただ俺は数日の間その事自体を忘れていてふと制服のポケットの中から護符がひょっこりと顔を出していたのを見て「まずい・・・」と思いながら慌てて言われていた通りに外へ向かって天高く掲げたんだ、すると神様側も身構えが出来ていなかった様で目の前に墜落してきちゃったって訳。」
守が過去の経験について語っているのを聞きながら3人は中庭に到着した、すると・・・。
守「ほら・・・、この通り・・・。」
守の手差しした先で1体の古龍が横たわっていた(と言うより倒れていた)、結構な勢いで落ちて来たのかそこでは未だに土埃が舞っていた。
好美「本当だ・・・、何処からどう見ても「舞い降りて来た」とは言えないね。」
光「その前に神様自身は大丈夫な訳?」
そう、今考えるべきなのはそこである。3人は慌てて倒れていた古龍の下へと近づいていった、すると・・・。
古龍「いたたたた・・・、護符を使ったのはお前だな?確か「宝田 守」だったか?あのな・・・、「ほら・・・、この通り・・・。」じゃねぇんだよ!!神にだってプライベートって物があるんだから考慮に入れろよな・・・、全くもう・・・。」
目の前の古龍が自分達に語り掛けているのは分かるのだが何となく違和感がある様な無い様な、これはどういう事だ?
守「あれ・・・?この声・・・。」
好美「ビクター神様・・・、じゃ無いね。」
光「でも聞き覚えはあるのよ、でもやっぱりこのままだったら誰だか分からないね。」
どうやら目の前の古龍は呼び出される直前に元の姿のまま遊覧飛行を楽しんでいた様だ、そりゃあこうなってもおかしくは無いわな。
古龍「そうか・・・、このままだったら見分けがつかないもんな。謝るよ、勿論さっきの地響きの事も。ただ約1名勘違いをしているみたいだからそいつは咎めないといけないみたいだな、一先ずその前に・・・。」
古龍は3人が誰だか分かる様に、そして3人と話しやすくする為に『人化』する事に。すると見覚えのある「パンツスーツ姿」の「あの女性」が現れた。
光「トゥ・・・、トゥーチ神様よね・・・?」
トゥーチ「光さぁ~ん、もうその呼び方はやめて下さいと言ったじゃ無いですかぁ。」
聞くところによるとトゥーチは今でもこの家や御厨の所に通って料理を教えて貰っているらしい、ただ古龍自身が「師匠と呼ばせて欲しい」と切望した際に「神様にそう呼ばれるのは忍びない」と光が断ったので「せめて光さんで」という事で話がまとまった様だ。
光「悪かったわよ、というよりその姿って事は就職面接に行ってたって訳?」
トゥーチ「そうなんです、創造主が言った様に「遊覧飛行を楽しんでいた」訳では無いんです!!」
光「というかあんたまだ内定もらえて無かったのね・・・、どんだけかかってんのよ。」
神様も苦労するんだな・・・。




