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守は制限時間をどう使うのか
-568 「思い出の味」の為-
共同経営者と共に魔力保冷庫(冷蔵庫)の中がスッカラカンだという事を改めて確認した守は「時間無制限」というルールを最大限に利用して食材を確保するためにとある場所へと『瞬間移動』した、しかし好美や結愛の様にこの世界で長く生きてない(若しくはただただ運が悪かった)が故に目的地に着いたのは良いのだが・・・。
「ばっしゃーーーーん!!」
大きな音を立てて水しぶきが上がった、どうやらすぐ傍の小川に墜落してしまった様だ。すると守を心配した「あの女性」が近付いて来た、偶然にもこの日は休日だったらしい。
女性「全くもう・・・、ドジなんだから。大丈夫な訳?」
守「ああ・・・、光姉さん・・・。やっぱりまだ『瞬間移動』に慣れていないみたいだ。」
守に近付いて来たのはこの世界で腹違いの姉である事が発覚したダルラン光だった、どうやら夕飯に使用する野菜を収穫しようとしていたらしい。
光「一先ずシャワーでも浴びてきたら?そのままだと風邪引いちゃうよ?」
守「悪い・・・、お言葉に甘えさせてもらうわ。」
やはり姉弟である事が発覚したからか、光自身に「姉として弟をしっかりと見守らなきゃいけない」という気持ちが芽生えて来ていた様だ。
そんな中、ダルラン家でひとっ風呂浴びた守はほぼ反射的にすぐ傍の冷蔵庫へと手を延ばそうとしていると・・・。
光「ちょっと、わざわざそんな事をしに来たの?」
冷えた麦茶で水分補給をしようとした姉に止められてしまった、勿論弟はシャワーを浴びて風呂上がりのビールにありつく為にここに来た訳では無い。
守「おっと・・・、危ない所だった。よく止めてくれたよ。」
光「そんな事言って本当はわざと呑もうとしたんじゃないの?」
守「そんな事無いって、俺一応就業時間中だし。」
光「じゃあ何でここに来たって言うのよ、説明してもらわなきゃ納得できないでしょ。」
光が言っている事は勿論正論だった・・・、という事で守はここに来た経緯を本人なりに説明する事に。
光「成程ね・・・、テーマに沿った料理を作らないといけなくなっちゃったと。でも何でここに来る必要があるのよ。」
守「いや・・・、ここに来たら必要な食材が手に入るかなと思ってさ。」
光「ふーん・・・、別に私は良いけど何を作るつもりな訳?」
この場に来る前から決めていたという「思い出と感謝」というテーマに沿った料理を弟が伝えると姉は顔をしかめていた、守は何を作ろうとしていると言ったのだろうか。
光「ちょっと・・・、そんなシンプルな物で良い訳?審査する人って味にうるさいんでしょ?こう言っちゃ悪いけどもう少し手の込んだ物にした方が良いんじゃない?」
守「「これ」で良い、いや「これ」でなくちゃいけないんだ。」
光「じゃあ責めてナルにヒントでも貰ったらどうなの?うち一応レストランだからさ。」
守「有難いけど気持ちだけ受け取っておくよ、審査をするメラルークさんは俺自身の味を求めているからそれで勝負しなきゃ。」
光「成程ね・・・、一先ず畑にでも行ってみる?あんただったら欲しいやつを好きなだけ持って行って良いからさ。」
親指で畑を指差す光、その姿が何となく心強く見えたのはきっと俺だけでは無い。
守「い・・・、良いの?」
光「勿論よ、この前呑ませて貰ったビールのお礼をしなきゃだし弟から頼りにされたら姉として聞かない訳にもいかないじゃない。」
本人は頼もしい台詞を言ったつもりだったみたいだがこの言葉を聞いて誰よりも黙っていないのが約一名。
ナルリス「おいおい、そんな事をしてしまったら店に使う食材が減っちゃうだろう!!」
焦る旦那をギロリと睨みつけた妻、その表情は必死に弟を守る姉その物だった。
光「何?あんたは家族のピンチより商売を優先する訳?」
究極の選択って奴か?




