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ボーリングまではまだまだ遠い・・・
-557 あらら・・・-
早速オーナーが注文した生中が『転送』されて来たので3人は一先ずすぐ近くの席に座る事にした、ただ必ずと言って良いほど確認しておかなければならない事がある。
メラルーク「さっきから気になっていたんですが好美ちゃんは・・・、あの・・・、未成年では無いんですか?」
恐らく大学を卒業してから数年後にこの世界に転生して来たが故に、本人の顔が少し若く(いや子供っぽく?)見られていたので疑われていた様だ。ただこの光景も本人にとってはもう慣れてしまっている物の様で・・・。
好美「勿論20歳超えていますよ、何ならギルドカードを見ますか?」
メラルーク「すみません、そこまで疑っている訳では無いんですが少しあどけなく見えたのでつい。まぁ・・・、自分も好美ちゃんと同様に飲食業で働いている者ですのでお許しいただけますか?」
好美「大丈夫ですよ、それに何となく嬉しいです。えっと・・・、確かこの辺りに・・・。」
好美はそう言うと懐から冒険者ギルドのギルドカードを取り出してマーマンに提示した、やはり履歴書として使えるこのカードを持ち歩いていると何かしら便利の様だ。
メラルーク「確かに・・・、大変失礼致しました。お詫びと言っては何ですがここは私に奢らせて下さい。」
あっ・・・、メラルークさん、その言葉は非常にマズいです!!
ピューア「創造主の言う通りよ・・・、好美の耳に入っていなかったら良いんだけど。」
勿論今の言葉を当の本人が聞き逃している訳もなく・・・。
好美「えっ?!奢って貰えるんですか?!じゃあ早速ビールを追加しちゃいますね!!」
ピューア「好美!!まだ1杯目を呑んでいないのに何を考えているの!!」
ニクシーは正論を言っている、しかしそれ以上に重要な事を忘れてはいないだろうか。
デルア(念話)「好美ちゃん・・・、いくらお昼だからって今は仕事(と言うよりお手伝い)中でしょ。忘れちゃってた訳じゃ無いよね?」
今がランチタイム真っ只中である事を思い出して欲しかったデルアが思わず『念話』を飛ばして来た、そりゃあ忙しいから来て貰ったのにこれでは意味無いもんな。
好美(念話)「えっ・・・、私ってもう仕事終わったんじゃないの?それに今朝夜勤を終えて帰って来たんだから呑んでも良いじゃない!!」
デルア(念話)「いつもは良いよ、でも今日は事情が違うだろう。好美ちゃんが1番理解してくれているんじゃ無いの?!」
勿論そうである、好美はいち店舗のオーナーとして店長であるデルアと共にシフトを共有している為にしっかりと理解しているはずなのだが・・・。
好美(念話)「分かっているからちゃんと手伝いに来たんじゃん、でも時間的にそろそろ交代のパートさんやバイト君が来る頃じゃ無いの?」
好美も間違ってはいない、それにしっかりとシフトを読み込んで記憶していないと今の様な台詞は決して出てこないはずだ。
デルア(念話)「そうは言うけど交代まではしっかりと働いて貰わなくちゃ、もう調理場に皿洗いが溜まっているんだから頼むよ。」
好美(念話)「そうしてあげたいのは山々だけど・・・。」
デルア(念話)「な・・・、何?!」
唐突にスマホの画面を見つめる好美。
好美(念話)「はい、さーん、にー、いーち、お疲れ様でした!!お先に失礼します!!」
デルア(念話)「全く・・・、こういう事だけはしっかりしているんだから。まぁ良いや、丁度バイト君も来たから構わないか。でもくれぐれも呑み過ぎないでね?」
好美(念話)「何よ、親でも無いのにそんな事言わないで!!給料下げるよ?!」
確認の為に供述しておくが好美の両親は娘が帰郷した際に隣で一緒に呑んでおり、決して「呑み過ぎないで」という言葉を娘にかけた事はなかった。ただ、今言えるのは・・・。
デルア(念話)「好美ちゃん、また減給?勘弁してよ・・・。」
もうすっかりお馴染みの件・・・




