556
苛つかないでね?
-556 全くもう・・・-
毎度お馴染みと言える件が繰り広げられる中、眼前の光景を微笑ましそうに眺めていた者がいた(何となく苛ついているようにも見えるが気の所為であって欲しい。)
メラルーク「ケッちゃん・・・、相変わらずなんだな。何年前から連敗中だよ。」
ケデール「えっと・・・、お前とバルファイでSGの観戦をしてからだから多分80年位前じゃ無いのか?」
メラルーク「待てよ・・・、俺らってそんなに長く生きる生物だったか?」
まず2人共が同じ種族では無いという事から思い出して欲しいが今語るべきなのはそこでは無いのかも知れない。まさかこの世界における競艇の発祥が日本より前だったとは・・・(多分そこでも無いはずな上に光がこの世界に来る際に世界が作り替えられたので恐らくビクター・ラルーにより記憶の操作が行われたものと思われる)。
メラルーク「ケッちゃん・・・、いい加減学べよ。80年間ずっと負け続けてたら流石に諦めるだろうよ、まさかと思うが「あの時」の興奮を再び味わいたいってのか?」
ケデール「マリン・・・、お前だって一緒になって興奮してた癖に忘れたってのかよ。」
メラルーク「流石に80年以上経ったら誰だって忘れるって、俺なんて「昨日の晩飯に何を食ったのか」も覚えていない位だもん。」
ダンラルタ王国にある小さな居酒屋で偶然席が隣になって以来、休みが合う度に遊びに行っていた2人はお互いの事を「(ケデールから)ケッちゃん」「(マリューから)マリン」と呼び合う仲になっていた。勿論他の場所へと遊びに向かう事もあったが3国にある競艇場に通う事が多かったという、そんな中で先程ライカンスロープが語っていた様にバルファイ競艇場で大穴を当てていた本人はその興奮をもう1度味わいたいという一心で今はネフェテルサ競艇場へと赴いている様だ。言ってしまえば重度の「ギャンブル依存症」である、全くもう・・・。
ケデール「それで?マリンがこんな所にいるなんて珍しいじゃ無いか、どうかしたのか?」
確かにトンカツ屋を始めてからダンラルタ王国を出る事が極めて少なくなったメラルークがネフェテルサ王国にあるマンションの裏にいるなんて思いもしなかったケデール、ただ久々の再会を喜ぶ余裕があると言えば嘘になる様な・・・。
メラルーク「いやな・・・、本当は・・・。」
ピューア「イャンと呑みたかったからここに来たのよね、ね?」
「元竜将軍であるイャンダの失敗によりここに来た」だなんて言ってしまうと「バルファイ王国の竜将軍も大したことは無い」というレッテルを貼られてしまう可能性があるので慌てて止めたニクシー、ただ父親が早くボーリングがしたい一心でいるのは未だに変わらない。
メラルーク「い、いや・・・、俺は・・・。」
ピューア「なのよね?」
メラルーク「そ・・・、そうです・・・。」
数歩ほど後退りをして頭をペコペコと下げるメラルーク、やはりこの世界でも父親は娘に勝てない様だ。
ピューア「好美と一緒に守君の焼いた焼鳥でビールを楽しもうと思ってたのよ、ね?」
何処からどう見ても「今考えました」感が否めない返答をしたピューア、ただそれを聞いていた「暴徒の鱗 ビル下店」のオーナーも実はそういう気分になっていた様だ(夜勤族だから時間的にね・・・。)
メラルーク「そ・・・、そうなの?」
マーマンは「初耳なんですけど」と言いたがっているがニクシーに推されて自分の意見をハッキリと言えていない様だ、正直目的地にはいつになったら着くんだろうか・・・。
好美「そうじゃないですか、早速生中を3つ注文しておきますね!!」
ルンルンと鼻歌を歌いながらタッチパネルで注文を行う好美全く・・・、相変わらず酒が絡むと表情が変わる奴だなもう・・・。
好美「何よ、創造主も人の事言えないでしょ?」
すんません・・・、確かに俺も酒が絡むとテンションが変わります・・・。
メラルーク「ボーリング・・・、いつできるんだろう・・・。」
ホンマそれ・・・