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良い匂いにいつまで耐えれるかな?
-555 拘りは必要なのか-
先程から仄かに、ただ香ばしく香って来る匂いに何とか耐えながら上級人魚は改めて質問してみる事に。
ピューア「好美・・・、色々あって聞き逃したんだけどここへの配膳って結局どうしているの?」
好美「ピュー、「色々あって」で流すつもりなんだろうけど私結構傷ついたからスルーさせないからね。」
ピューア「いや・・・、これは全部創造主の所為じゃないの?」
ちょっと待て、元はというとあんたら親子の所為だろうがよ。
好美「そうだよね、このアホの所為にしておけば良いんだよね。うん、納得。」
いやいや、何でお前まで納得してんだよ。俺は決して納得してねぇぞ!!
ピューア「良いじゃ無いのよ、早く好美にビールをケースで渡しちゃなさい。そうしたら速攻で解決するから。」
それに関しても待てよ、好美ってビールさえあったら何でも許しちゃう簡単な女の子だったか?俺個人はちが・・・。
好美「そうだよね、コイツからビールを徴収すれば済む話だもんね。」
マジかよ・・・、コイツのビール代がどれだけかかってんのかが分かってんのかな・・・。まぁいい、話が進まなくなるよりマシだから後でビールを注文しておくか。
一先ずだ、このビアガーデンの席への料理の配膳はどうしてんんだ?
好美「そんなの簡単な話じゃん、『転送』を使ってしまえば1発で解決だよ。」
「『転送』(というより能力)を使えばどんな事でも解決出来てしまう」ところは「流石は異世界」だと言えるが、そんな世界でも拘りを持って商売をしている店主が必ずいるものである。
ピューア「確かにね・・・、好美の言った通り『転送』を使ったら料理を出来立ての状態で提供出来るけどあれは・・・?」
好美「え?「出来るけどあれは」ってどうしたの?何の事?」
ピューアが示した方向へと好美が振り向くとそこではヤンチやケデールが焼肉及び焼鳥、いや肉屋の店主として拘りをもって商売をしているが故の光景が広がっていた。
好美「ま・・・、守!!」
好美が驚くのも無理は無い、この時間帯だと豚舎が併設されているケデールの肉屋でガッツリ仕事中のはずだった守が焼き鳥を焼いていたからだ。
守「おいおい・・・、好美に全然気づかれないまま焼き続けるの結構辛かったんだけど。」
好美「それよりそんな所で何やってんのよ、仕事はどうしたっての?!」
守「いやいや、これも仕事だっての。好美の癖にここの店主が誰なのか忘れたのかよ。」
すると焼鳥屋側の裏口から2人の会話を遮る様に聞き覚えのある男性の声が。
男性「こらこら、いくら恋人でも今となってはすっかり有名人となった好美ちゃんに「癖に」とか言っちゃ駄目だろうが。」
好美「ケデールさん!!」
守「店長!!あれ・・・、今日は休みでしたよね?!」
ケデール「驚かせてすまないね。ただ守ってうちの店だけとは限らずに料理上手で有名だから「お客さんの側で焼き鳥を焼いたら好評になるんじゃ無いか」と思ってね。」
好美「そうですね、私もそうですけどやっぱり焼鳥は串のまま「アチアチ」といきたい人が多いですから。」
「何処かで聞いた事のある様な台詞じゃないか」と言いたくなったが好美自身には別に気になる事があった様だ。
好美「それにしてもケデールさんは守の言っていた通り休みなのにどうして職場に?まさか休みを返上して手伝いに来た・・・、って訳じゃ無さそうですね。」
ケデールの胸ポケットからわずかに顔を出していた「アレ」を引っ張り出した好美。
好美「やっぱり・・・、また競艇で負けたんですか?」
またかい・・・